ともに開拓する5Gへの道
華為技術日本株式会社
代表取締役社長
王 剣峰 (ジェフ・ワン)
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
今年の干支は酉(鶏)です。鶏は人に時を報せる動物ですが、商売を「とりこむ」縁起のよい干支ともされています。この場を借りて、皆様のご多幸、ならびに事業のますますのご発展をお祈り申し上げます。
2017年の幕が開け、東京オリンピック・パラリンピックの開催まであと3年となりました。世界中から観戦に訪れる方々に第 5 世代(5G)ネットワークを体験していただけるよう、ファーウェイは日本の通信事業者の皆様と密接な協業を進めています。
昨年はそうした取り組みがより大きく前進し、ソフトバンクおよびWireless City Planning(WCP)が世界で初めてMassive MIMO商用サービスを開始するにあたって通信インフラを提供したほか、NTTドコモと共同で4.5 GHz帯域を使用した世界初の5G大規模フィールドトライアルを横浜市で実施しました。同時に、ボーダフォン、チャイナ・モバイル(中国移動)、ドイツ・テレコムといった世界各国の通信事業者や、3GPP、5GPPPなどの標準化団体とも5Gの実現に向けた歩みを進め、その成果を日本市場で活かしてきました。また、11月にはこれまで各国で開催してきた『グローバル・モバイル・ブロードバンド・フォーラム』を日本で初めて開催し、通信事業者、垂直産業、標準化団体などから1,500名以上の皆様をお招きして、5Gをはじめとする新技術の研究開発の成果やパートナー企業との協業を披露しました(Special Report参照)。
振り返ってみると、2008年にスマートフォン・アプリが誕生したとき、その数はわずか500ほどに過ぎませんでした。それから8年後の現在、iOSとアンドロイドのアプリは700万以上に増加し、さまざまなサービスがアプリを介してモバイルで提供されています。今後は動画サービス、家庭向け、垂直産業向けを中心としてさらに多くのモバイル・アプリケーションが登場し、市場は拡大を続けるでしょう。
こうした成長のチャンスを前に、通信事業者は2020年までに5Gの商用化を実現することを目指しています。2018年の標準化完了を経て、5G産業が急速に発展していくにあたり、通信事業者には迅速なスタートダッシュが求められています。それを成功させるためには、アプリケーション中心のネットワーク構築とオープンなエコシステムの確立が不可欠です。
モバイル・ブロードバンド・フォーラムでファーウェイは、新たな研究プラットフォーム『Xラボ』を発表しました。『Xラボ』は、通信事業者、技術プロバイダー、垂直産業パートナーとともにモバイル・アプリケーションの活用を探求し、オープンな産業エコシステムの構築を進めることで、5Gがもたらす未曾有の商機を最大限に活かすための取り組みです。
通信業界における今後のビジネスの成功は「インフラ×オペレーション×エコシステム」という方程式で導かれます。5Gへの移行に向けて「ネットワーク中心から、アプリケーション中心へ」「ヒト中心から、モノ中心へ」という2つの大きなパラダイム・シフトが必要とされる中、私たちはその変革の時が来るのを待たずに、自ら変革を起こすことを迫られています。通信事業者は、5G時代の到来を加速するための基盤の構築にすぐにでも着手しなければならないのです。
通信事業者が5Gに向けてオペレーションを変革する際、ひとつの足がかりとなるのがIoTです。とりわけ、2016年6月に3GPPによる標準化が完了し、今年から本格的な商用化が期待されるNarrow Band IoT(NB-IoT)は、LPWA(省電力広域ネットワーク)技術として、IoTのさまざまなアプリケーションをサポートするうえで独自の優位性を有しています。通信事業者はNB-IoTベースのサービスを展開することで、モノの大量接続や多岐にわたるアプリケーション・シナリオに対応できるオペレーション・システムを構築し、5Gの運用に備えることができるでしょう。
いまだ誰も踏み入ったことのない5Gへの道には、数々のチャレンジと発見が待ち受けています。お客様やパートナー、ICT産業プレーヤーの皆様とともにこの新たな道を開拓し、イノベーションを生み出すことで、より“つながった”世界を実現する――2017年は、そんな志を共有する仲間をたくさん「とりこむ」年になるよう願っています。