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オプタス

オーストラリアの三大通信事業者の1つであるオプタスは、約900万人のユーザーにコンシューマー向け、中小企業向け、法人向けといったさまざまなサービスや、ホールセール・サービスを提供している。2012年4月、同社は国内の通信事業者では2番目となるLTE商用展開を本格的に開始した。同社が「オープン・ネットワーク」によって、人口の97%に対してどのようにして選択をもたらし、競争を生み出しているのか、オプタス・ネットワークの業務執行取締役であるギュンター・オッテンドルファー(Günther Ottendorfer)氏が語ってくれた。

成熟したデータ通信市場

WinWin:オプタスは、2010年11月にモバイル・ネットワークのブランドを「オープン・ネットワーク(The Open Network)」に変更しました。このブランド名には、どのようなメッセージが込められていますか。

オッテンドルファー氏:オプタス・オープン・ネットワークは、当社のネットワークが2G、3G、そして将来的には4Gに対応することをオーストラリアの人々に知ってもらうための手段です。また、オープン・ネットワークはすべての顧客にオープンであり、オーストラリアの全顧客に選択を、通信事業者に競争をもたらします。これは重要なことです。というのも、オーストラリアは国土が広いため、これまでは選択と競争が存在しない地域が多かったのです。今やオプタスのネットワークによって、オーストラリアの全人口の97%以上に、競合する複数のサービスから選択する自由があります。

WinWin:あなたは昨年ドイツのT-モバイルからオプタスに移られましたが、世界的によく知られているドイツ市場と比較して、それほど知られていないオーストラリア市場はいかがですか。ユーザーのニーズや技術的な観点から見て、大きな違いは何ですか。

オッテンドルファー氏:オーストラリア市場は、ヨーロッパ市場と比較してスマートフォンの普及率が非常に高いということは確かだと思います。グーグルが最近行った調査でも、オーストラリアはスマートフォン普及率がカナダに次いで世界第2位の市場であることが明らかになっています。実際、当社が販売するプリペイド以外の携帯電話10台のうち9台がスマートフォンですので、実に驚くべき普及率の高さです。したがって、スマートフォンによりデータ量が急速に増加し、モビリティが急激に拡大しているといえます。また、膨大なシグナリング・トラフィックによって、ネットワークは特に厳しい状況にさらされています。これまで見た限りでは、こうした大きな違いがあります。

データ通信市場は非常に好調ですが、そのために膨大なシグナリング・トラフィックが生じています。特にホットスポットには大量のトラフィックが集中するため、スモールセル・ソリューションが必要とされています。例えば、メルボルンには世界最大級のスタジアムの1つ、MCG(Melbourne Cricket Ground :メルボルン・クリケット競技場)がありますが、ここは収容観客数が10万人を超えています。

ユーザー・エクスペリエンスの向上を目指して

WinWin:膨大な数のスマートフォン・ユーザーに快適なモバイル・データ・エクスペリエンスを提供するためのプロジェクトや戦略について教えてください。

オッテンドルファー氏:すでに、世界最大規模のUMTS900リファーミング(再分配)・プロジェクトの1つとなるモダナイゼーション・プロジェクトに乗り出しています。その点では、当社は他社をリードしています。そのほかにも、オーストラリア市場を牽引しているものとして、フェムトセルがあり、この戦略は順調に立ち上がっています。近い将来スモールセル戦略に発展させて、より多くのスモールセル・ソリューションを統合できるようにしていく予定です。これはスマートフォン普及率が高い市場において不可欠であり、どの通信事業者もいずれ対応を迫られるようになるでしょう。

WinWin:モダナイゼーション・プロジェクトについて、もう少し詳しくお聞かせください。

オッテンドルファー氏:当社では、大規模なモダナイゼーション・プログラムが進行中です。

その中心となるのがUMTS900のリファーミングです。世界最大規模のUMTS900リファーミング・プロジェクトとなる予定で、これによって屋内カバレッジの強化とキャパシティ増大を図ります。これは、特にスマートフォン・ユーザーにとって、ユーザー・エクスペリエンス向上につながるはずです。

このリファーミングは現在、大都市で進んでいるところです。都市近郊部および地方部では、ファーウェイのUMTS900用リファーミング機器を使用して、すでに十分なユーザー・エクスペリエンスを確保できています。

WinWin:ネットワークのアップグレードやモダナイゼーションでは、主にどのような課題がありますか。また、それらの課題にどのように対処していますか。

オッテンドルファー氏:ネットワーク・モダナイゼーション・プロジェクトにおける最大の課題はロジスティクスです。大規模なロールアウトを毎週行う必要があるため、すべての歯車がうまくかみ合うようにしなければなりません。そこがロジスティクスの大きな課題ですが、これまでのところ特に問題は発生していません。一晩に3~4クラスタの作業を完了させることもあります。2番目の問題は、ユーザー・エクスペリエンスと品質です。ユーザーに影響する作業はすべて、サービス断を発生させないよう夜間に行います。3番目の課題はUMTS900のリファーミングです。これは、高度な専門性を要するプロセスですが、当社には各サイトで得られた豊富な専門知識と、都市近郊部でのリファーミング・プロジェクトによる豊富な経験があります。

ファーウェイのソリューションから大きなキャパシティときわめて高い品質が得られることは、最近のモダナイゼーション・プロジェクトの経験によって証明されています。両社の協力関係が今後さらに発展し、ともにLTEプロジェクトを展開していくのを楽しみにしています。

WinWin:ファーウェイの最近の活動で、興味を引かれることはありますか。

オッテンドルファー氏:ファーウェイのSingleRANアーキテクチャーがどう発展していくのかには興味があります。AtomCell(ファーウェイのスモールセル・ソリューションの一部)は、SingleRANアーキテクチャーの拡張として実に有効であり、通信事業者にとって有用な手段です。いずれは、LTE-A機能、特にスペクトル・アグリゲーションがモバイル業界において非常に大きなテーマになるはずで、ここでもファーウェイの貢献が重要になります。もう1つは、ファーウェイが進めているアンテナの研究開発です。現在提供されているアンテナ・ソリューションをさらに発展させれば、サイトの有効活用がよりいっそう進むでしょう。これもまた、この先数年間にわたってモバイル業界における注目すべきテーマになると思います。その背景には、ますます多くの周波数がLTEで利用可能になりつつあるという状況があります。そのため、アンテナ技術は、LTEロールアウト戦略を成功に導くために不可欠な要素となるのです。

積極的なLTE展開

WinWin:今年4月には、御社初となるLTEサービスを立ち上げました。どのようなネットワーク・ロールアウト計画がありますか。また、これまでの進捗状況はどうですか。

オッテンドルファー氏:当社は、2011年9月からLTEの展開に取り組んでいます。2012年4月には、シドニー北部のハンターバレー地区とニューカッスル地区において、1800MHz帯を使用したLTEサービスを立ち上げました。さらに、年末に向けてシドニー、メルボルン、パースでロールアウトを進める計画です。こうした重要な技術に関して、ユーザーの選択肢が最初から2社あるということは、オーストラリアでは今回が初めてのことです。今回は、選択の自由が最初からあるという点で画期的なことなのです。

WinWin:オプタスは、2011年11月にファーウェイと共同で700MHzパイロット・プログラムを開始しました。700MHzのトライアルはこれまでのところいかがですか。また、トライアルの次のステップは何でしょうか。

オッテンドルファー氏:オプタスとファーウェイの取り組みは、LTE 700MHz帯をアジア太平洋地域標準として展開していくにあたり、明らかに他社をリードしています。700MHz帯は、アジアの大半の地域において、今後数年間でアナログ放送終了により空きができるため、通信に転用されます。オーストラリアでは2014~2015年頃に利用可能になることがわかっており、それに向けて今から準備を進めています。幸い、ファーウェイのようにトライアルに前向きなパートナーを得て、現在はビクトリア州ベンディゴでトライアルを進めていますが、これまでのところ非常によい結果が出ています。700MHzは、屋内浸透率がとても高いことに加え、モビリティについても問題ないことが証明されました。また、実証実験として、シドニーの当社オフィスと700km離れたベンディゴを結んでビデオ会議を何度か行い、すべて成功しています。さらに、スループットのほか、待ち時間についても非常に良好な結果が得られました。次のステップに関して言えば、最も重要なのは規制プロセスを迅速に通過することです。今後はそこに重点的に取り組んでいくつもりです。

WinWin:最後に、オプタスの今後の展望を聞かせてください。

オッテンドルファー氏:オプタスは、常にチャレンジャーの立場で、この広大なオーストラリア大陸に選択の自由をもたらしてきました。それは今後も変わりません。当社は何事にも積極的です。実際、LTEの展開も、スイッチング・ネットワークのネットワーク・モダナイゼーションも積極的に進めています。優れたスイッチング・ネットワークに加え、LTEネットワークを数年以内にリソースとして確保することを目指して、両方の開発に注力していくつもりです。