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ボーダフォン・スペイン:中小企業に最高のコスト・パフォーマンスを

Vodafone Spain

ボーダフォンは、1985年に創業したイギリスに本社を置く世界最大の多国籍携帯電話事業会社。現在、世界30ヵ国以上に3.6億人のユーザを擁する。社名はVoiceData FONE(PHONE)に由来する。ボーダフォン・スペインは2000年に設立、本部はマドリード。

大多数のマーケティング最高責任者にとっては、大企業が最も魅力的であり、SME(Small & Medium Enterprise:中小企業)市場は地味な印象があるようだ。しかし、スペインでは違う。特に我が社にとって、SME市場は魅力的だとボーダフォン・スペイン法人事業部門でマーケティング・ディレクターを務めるクリスティーナ・リーバース氏は語る。同社が、なぜSMEを優先顧客として考えるか理由をたずねる。

中小企業の重要性

本誌:ボーダフォン・スペインの事業におけるSME市場の重要性についてお聞かせください。

リーバース氏:スペインの法人向け市場において、SMEは最大のセグメントです。スペインには50名以上の従業員を有する企業は、わずか2万8000社しかありません。当社の法人顧客に関しても、98%が従業員数50名未満の会社です。

無論、重要なのは企業の数ではなく、総従業員数だと言うこともできるでしょう。大企業であれば、SMEの従業員数の10倍100倍もの従業員が在籍していることもあります。ですが、私たちの顧客で、大企業に勤めている方は全体の25%にも達しません。SMEに対応する多くのプラットフォームを開発してきたのは、このような背景からです。

本誌:SMEならではの特徴やニーズとは、どのようなものでしょうか?

リーバース氏:今日、スペインのSMEにおける通信サービスの普及率は、非常に高いといえます。たとえば、携帯電話の音声通話の普及率は95%であり、また90%を超えるSMEは固定ブロードバンド・アクセスを整備しており、その半数はモバイル経由のブロードバンド・アクセスも利用しています。

ただし、アプリケーションやIT機能の整備という面では、SMEは大手の同業者に遅れを取っています。従業員数50名未満の企業のうち、アプリケーションに投資しているのは30%程度にとどまっており、多くはERP(統合型業務ソフトウェア・パッケージ)を導入しているのみです。企業別ニーズに応じてカスタマイズされたアプリケーションになると、利用している企業は1%に過ぎません。

SMEは、大企業が生産性向上のために使用するサービスと同等のものが必要ですが、同一モデルや価格ではコスト的に導入できないのです。だからこそ同じものを別の方法で取り入れたいと考えているといえます。

マルチアクセス、マルチデバイス環境

本誌:SME特有のニーズを満たすためのボーダフォンの戦略とは何でしょうか?

リーバース氏:当社の戦略は、テクノロジーのトレンドを活用することです。これには、モビリティ・データと固定データ、統合通信サービスやクラウド・サービスが含まれます。こうしたサービスは、ブロードバンドの利用やIPネットワーク、新たなデバイスの増加によって加速されており、新たなテクノロジーによって、SMEの生産性向上と費用削減を実現できます。具体的には、顧客ニーズに合わせて、主に3つを提案しています。

第一に、クラウド上でのサービス構築です。SMEは、プラグアンドプレイでサービスを利用でき、サービス利用ごとに課金されます。設備投資や保守が必要ないので、SMEでも手が届きやすいと言えます。また当社にとっても、効率的な販売や運用ができるので、理想的です。

第二に、私たちの中核業務である携帯電話の音声・データ通信の活用です。スペインのSMEは「モビリティ」に高い関心を寄せており、どのセグメントよりも、携帯性・機動性を重視するため、スマートフォンなどに満足しているのです。

第三に、大企業に提供しているものと同等のサービスをSMEにも提供することで、競争力の強化を可能にすることです。これによって、私たちも「規模の経済性」を実現でき、他の業態にもサービスを提供することができるようになるのです。

本誌:SME向けに提供しているサービスの中で、特に成功したのはどんなものでしょうか?

リーバース氏:音声サービスに関しては、初のクラウドベースのサービスとして2006年に提供を開始したOficina Vodafone(オフィシーナ・ボーダフォン)があります。これは、FMS(Fixed Mobile System)およびIMS(IPMultimedia Subsystem)ネットワークを基にした、固定とモバイルを文字通り融合したソリューションです。

具体的には、SMEで働く従業員の方を対象に、固定およびモバイルの音声サービスを、PC、ノートパソコン、携帯電話、固定電話のいずれからも利用できる統合型ユーザ・インターフェースで提供しています。また、このシステムは当社のIMSネットワークを利用するため、SMEにアプリケーションのインターフェースを開放でき、PBX(構内交換機)機能を追加することが可能です。これらすべては同じVPNを使用しますので、統一されたユーザ体験ができます。Oficina Vodafoneは、SMEの通信費用を20~30%削減することができるので、市場で非常に高い評価を受け、ユーザ数は3万人を超えるまでになりました。

本誌:音声通話以外に、ボーダフォン・スペインは、ボーダフォン・ビジネス・プレイスと提携して、2009年からビジネス・アプリケーションにも参入しています。このソリューションは、SMEにどのような価値をもたらすのでしょうか?

リーバース氏:音声通話分野の課題を乗り越えたところで、次のレベルへのステップアップが必要となりました。それがファーウェイと提携して開発したボーダフォン・ビジネス・プレイスというプラットフォームです。SMEにクラウド・テクノロジーを活用することにより、ITアプリケーションの法人レベルの利用とモバイルアプリケーションへのアクセスを提供します。

これは、マーケットプレイスつまりSMEを対象にビジネスや生産性に関するアプリケーションを展開するアプリケーションストアです。現在、50を超えるパートナーがビジネスアプリケーションを提供しています。

また、ファーウェイのecoSpaceプラットフォームを採用して開発環境を構築し、当社法人顧客やパートナー、開発者が簡単にアクセスできるようにしました。これを採用することで、アプリケーション・ストアや開発者評価、コンテンツ管理、IT機能など必要な機能はすべて容易に構築できます。

これらのソリューションにより、SME顧客に最高の体験をお約束できます。当社の新サービスの多くは、イノベーションに注力した結果から生まれたものです。ファーウェイとは2008年のマドリードにあるイノベーションラボ開設以来の提携ですが、同社と共に多くのアイデアを導入し、ボーダフォン・ビジネス・プレイスに限らず、デバイスや多くのアプリケーションも含む商用化をスムーズに実現しています。