このサイトはCookieを使用しています。 サイトを閲覧し続けることで、Cookieの使用に同意したものとみなされます。 プライバシーポリシーを読む>

ファーウェイ、Polar符号の父 エルダル・アリカン博士の長年にわたる基礎研究と探究を称える

2018.07.30

ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は7月26日、同社本社において、第5世代移動体通信(5G)に用いられるPolar符号を発明したトルコ・ビルケント大学のエルダル・アリカン(Erdal Arikan)教授が通信技術の発展に果たした多大な貢献を称える式典を開催しました。ファーウェイは同時に、同社で標準規格の策定と基礎研究に携わる100人以上の科学者および技術者も表彰しました。

基礎研究は産業の発展のカギです。理論的ブレークスルーは、多くのケースにおいて長年の科学的な努力を経て成し遂げられ、技術的進歩の方向性を定める指針となります。まもなく商用化される5Gにとって、アリカン教授が2008年に発表したPolar符号に関する論文は、データ伝送速度と信頼性を最大化するこれまでにない新しいアプローチを定義するものでした。Polar符号は、特定の帯域幅を用いた際に誤りなしでデータ伝送が可能な最大通信速度を意味する「シャノン限界」に迫る初の符号化スキームです。Polar符号は5Gにおける符号化性能を大幅に改善すると同時に、設計の複雑性を低減し、サービス品質を確かなものとします。2016年には、移動体通信に関する国際的な標準化団体である3GPPにより、5G New Radio(NR)のコントロールチャネルに用いる正式な符号化スキームとして採用されました。

エルダル・アリカン教授)にメダルを授与するファーウェイ創業者兼CEO任正非

ファーウェイ創業者兼CEO 任正非(レン・ジェンフェイ)は式典において、アリカン教授にパリ造幣局製のメダルを授与しました。同メダルには、世界を前進させるうえでの新たな通信技術の重要性を象徴するバカラ製の赤いクリスタルを手にした勝利の女神が彫られています。

アリカン教授は受賞後のスピーチにおいて、次のように述べています。「本日の表彰を光栄に思います。ファーウェイの経営陣や技術者のビジョンと技術的な貢献がなければ、Polar符号が10年に満たない短い年月で、ラボにおける理論から標準規格にまでなることはなく、嬉しく思います。また、技術者の一人として、アイデアが現実になるのを見届けるほど報われることはありません」

ファーウェイ 輪番会長の徐直軍(エリック・シュー)はまた、次のように述べています。「5G標準仕様は、基礎研究と無線通信技術の進歩に向けたグローバル規模の努力の結果です。これらの標準仕様が形作られるまでには、何万人という科学者や技術者、そして世界各地の企業による数十年にわたる献身がありました。アリカン教授と学術界の皆様、科学者、そして5G技術の研究開発に貢献したすべての当社従業員に深く感謝いたします」

ファーウェイは2010年、チャネル符号化技術を最適化するPolar符号の可能性に気づき、アリカン教授の発明を基礎に、さらなる研究に投資してきました。長年の努力の結果、Polar符号化技術において複数のブレークスルーを実現し、学術的研究の段階にあった同技術を実用化しました。

徐は続けて、次のように述べています。「5G標準の策定は、新たな旅路のはじまりに過ぎません。当社は今後も、Polar符号を含む5G技術が、社会により大きな価値を迅速に創出できるよう取り組んでいきます。同時に、ファーウェイとアリカン教授がそうであったように、企業と学術界の緊密なコラボレーションが持続し、より多くの科学的な驚きを生み出すことで、ICT産業と社会全体の発展が加速することを願っています」

ファーウェイは同式典で、同社内で基礎研究と標準規格の策定に携わる100人以上の科学者も表彰しました。これは5GNRの研究における成功と、新たな波形や符号化スキームに関するものを含む8つの革新的なイノベーションを称えたものです。こうした科学者たちは、業界パートナーと協力して重要技術の検証を進め、標準仕様の策定を推進し、3GPP Release15標準仕様の策定に重要な貢献を果たしました。

ファーウェイはこうした社員の先駆的な取り組みにより、国際電気通信連合(ITU)で定められたビジョン「IMT-2020」のすべての段階における5G技術の試験を世界で最初に完了した企業となりました。試験では、超高速大容量通信(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大量のマシンタイプ通信(mMTC)という5Gの3つのユースシナリオにおいてITUが定めた主要指標を遥かに凌ぐ結果を示しました。

ファーウェイは5G標準仕様策定における主要なコントリビューター兼特許権者として、特許のライセンスにあたって、FRAND(Fair, Reasonable, and Non-discriminatory:公平、合理的、かつ非差別的)原則をこれまで同様に今後も堅持するとともに、他のプレーヤーと協力して堅牢な5Gエコシステムの構築を目指します。

ファーウェイにとって研究開発は長年のフォーカスであり、過去10年間で約4,000億人民元(約6兆5,160億円1)を投資してきました。今後は基礎研究への投資を増加し、年間の研究開発予算150~200億米ドル(約1兆6,683億円~2兆2,246億円2)のうち、20~30%を割り当てる予定です。

※1人民元=16.29円で換算(2018年7月26日現在)

※1米ドル=111.23円で換算(2018年7月26日現在)

<ご参考>

  • 1948年、情報理論の父と呼ばれるクロード・エルウッド・シャノン(Claude Elwood Shannon)が誤りなしでデータ転送が可能な最大通信速度の限界を定める。データを速く転送すればするほど、誤り率が高くなる可能性を示す(シャノンの通信路符号化定理)

  • 業界は長年にわたり、チャネル符号化と呼ばれるプロセスを通じて、シャノンが定めた最大通信速度の限界に近づき、より速く、誤りなしに信頼性の高い通信を行う方法の実現に取り組む

  • 2008年、アリカン教授がデータ転送における誤り訂正に、これまでにないまったく新しいアプローチを採るPolar符号を発明

  • 2010年から、ファーウェイはアリカン教授とともに、Polar符号の実用的応用に取り組む。Polar符号は現在、3GPPが策定する5G標準仕様となる

  • Polar符号はシャノン限界に迫る速度の実現を可能にする

本参考資料は2018年7月26日(現地時間)に中国・深圳で発表されたプレスリリースの翻訳版です。