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【寄稿】ファーウェイ 輪番会長 徐直軍(エリック・シュー)

2018.07.19

2018年7月19日、ファーウェイ 輪番会長 徐直軍(エリック・シュー)が英Financial TimesのOpinion欄に以下の記事を寄稿しました。

ファーウェイの学術界とのパートナーシップに対する米国議会の誤った疑念

当社が資金提供した研究に対する成果は、アメリカの脅威ではなく、むしろ公益である

ファーウェイ 輪番会長
徐直軍(エリック・シュー)

最近、ファーウェイは米国議会の数人の議員から強い批判を受けています。彼らは米国教育長官に対して、基礎科学研究における当社と米国の大学との連携は米国の国家安全保障上の脅威となる可能性があるとして、調査を要請しました。私は、こうした批判が現代の科学やイノベーションのあるべき姿を無視したものであると考えており、最近のメディアとのインタビューのなかで「事実無根の情報」と述べました。

私のこうした発言は個人的な攻撃を意図したものではありません。むしろ私は、学問の自由は現代の大学が持つ必須の特長として重要なものであり、すべてのテクノロジーの発展と、科学技術に従事する次世代の人材育成を支えるものであると強調したのです。

学問の自由は、教育の発展の礎となるものです。政治やその他の干渉から影響を受けないという学問の自由があるからこそ、米国は常に学問と研究を志すものにとって世界で最も輝かしい場所であり続け、テクノロジーリーダーとしての地位を維持してきました。

私自身は工学の博士号を取得しており、基礎研究の経験もあります。全米科学財団の定義によれば、基礎研究とは「プロセスや製品への具体的な応用を考慮せず、より優れた知識や理解に向けた研究」を指します。

企業の研究開発がビジネスでの結果に注力する傾向がある一方で、大学は決して直接的な利益に結びつかない数学、アルゴリズム、材料化学、その他の応用分野に時間を割いています。最終的に研究を通じて利益が生まれたとしても、理論と商用製品との間の溝を埋めるには数十年を要することもあります。

こうしたプロセスにかかる時間を短縮するのが、大学と企業間の連携です。民間企業、学術界、研究機関における知識とリソースの交流は「ナレッジの移転」といわれ、科学とテクノロジーの進歩に向けたきわめて重要な原動力になっています。

しかし、高等教育研究に対する米連邦政府の予算は過去10年間にわたって徐々に削減されています。現在、米国の大学における研究資金全体に占める政府からの補助金の割合は50パーセント以下に過ぎません。

残りの研究資金の大部分については、ファーウェイなどの企業がスポンサーとなって提供しています。当社が米国の大学での研究に割り当てた資金の総額は比較的小規模で、昨年度は約1,000万ドル(約11億2,750万円)でしたが、これによって資金、設備、ラボ装置など大学が必要とする支援を提供しています。ファーウェイと大学との連携を通じ、大学生や大学院生はトレーニングと実地体験の機会が与えられます。当社では、直接的な見返りを期待することなく、こうした支援を実施しています。

当社を批判する人たちの主張とは異なり、こうした研究の成果は米国の脅威となるものではなく、むしろ公益となるものです。

当社と大学とのパートナーシップを通じて実現した研究結果は、教授、博士号を持つ学生、大学院生による論文等を通じて世界中に発表・公開されます。

大学研究を支援する他の企業-――中国の大学を支援する米国の企業も含め――と同様に、ファーウェイは自社が支援する研究の結果に対する独占的な所有権やアクセス権を有していませんし、発表する内容に対して指示することもありません。

科学がボーダレスになるなか、当社はパートナーシップの成果ができる限り多くの人に恩恵をもたらすことを願っています。

他のテクノロジー企業と同様に、ファーウェイは世界中で進む科学とテクノロジーの全般的な進化の恩恵を受けています。しかし、最終的には、当社が競争力のある製品を提供できるのは、当社が長期的にR&Dへの投資を続けてきた結果です。

昨年度、ファーウェイはグローバルでの研究開発に138億ドル(約1兆5,560億円)を投資し、過去10年間に投じた金額は600億ドル(約6兆7,650億円)にのぼります。また、ファーウェイは米国での1万件の特許を含め、全世界で約8万件の特許を取得しています。こうした特許の多くは、通信業界にとって不可欠な必須特許です。このように、当社はデジタル経済の発展に微力ながら貢献しているのです。

基礎研究が社会にとって有形の恩恵をもたらすためには、大学と企業が長期的かつときに困難な旅に向けてともに歩みを進めていかなければなりません。これには、無数の科学者やエンジニアによる惜しみない努力が必要になります。こうした人たちはその功績を称えられるべきであり、懐疑的な政治家に言われのない批判を浴びせられるべきではないのです。

オープンな姿勢を持った政治リーダーは、米国の大学が学問の自由を引き続き謳歌し、米国が科学やテクノロジーの発展をリードできるように尽力すべきです。理想をいえば、彼らが世界をリードする科学者と同じぐらい深い理解と好奇心、事実を追究する精神を堅持して、こうした任務にあたることです。

※ 1ドル=112.75円で換算(2017年12月29日現在)