ファーウェイ、OFC 2016で100G PONの中核技術の研究成果を披露
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は3月23日、OFC 2016(3月20日~24日、米アナハイム)で同社の100G PON中核技術に関する最新の研究成果と、製品プロトタイプを用いたデモを実施しました。同プロトタイプはすでにフルサービス環境におけるさまざまな指標についての検証に成功しており、ODN(Optical Distribution Network)の再利用およびPONシステムの共存において卓越したパフォーマンスを発揮し、100G PON標準化への重要なレファレンスとなる見込みです。
4K/8K映像サービス、バーチャル・リアリティ(VR)/拡張現実(AR)、スマート・ホーム、IoTなどの新技術とアプリケーションの発展により、世界のウルトラ・ブロードバンド業界はさらなる帯域の高速化の需要に直面しています。こうしたなか、光アクセス分野では100G PONの標準化が進んでいますが、高速なPON信号を1つの波長で伝送することが最大の課題となっています。
2014年12月から、ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)は1波長での25 ギガビット/秒伝送の実現を目指す議論を開始し、2015年末には802.3ca標準化に向けた研究が正式にスタートし、25G/50G/100Gの3つのレベルで目標速度が提案されました。
100G PONに関する標準では、既存のアクセス網との共存や円滑なアップグレードを考慮する必要があります。100G PONシステムでは、一般の宅内ユーザー向けには1波長25G PONを主要技術とし、政府機関や企業ユーザー向けには波長多重化により4 x 25 ギガビット/秒(100 ギガビット/秒)の帯域を提供します。しかし、現在のネットワーク技術との共存を図りながら1波長での速度を従来の10 ギガビット/秒から25ギガビット/秒に高速化するには、分散ペナルティや非線形効果など多くの技術的課題を解決する必要があります。ファーウェイが今回OFC 2016で展示した100G PONプロトタイプは、こうした課題に対応可能であることを示すものです。
ファーウェイの100G PONプロトタイプはモジュール設計を採用し、分散型アーキテクチャを特徴とする次世代の大容量OLT MA5800を活用することで、4 x 25 ギガビット/秒の多重化により、下り100 ギガビット/秒、上り40ギガビット/秒の伝送速度を実現します。同プロトタイプ・システムでは、業界初となる25G OLTおよび25G ONUの光トランシーバーを利用し、上り/下りで33 dBを超えるパワー・バジェットに対応し、既存のODNネットワークとも互換性を有しながら、1波長で下り25.78125ギガビット/秒、上り10.3125ギガビット/秒という速度を実現します。また、距離30 km、分岐率1:64という条件で長時間稼働した場合でもパケット・ロスがなく、1波長で25 ギガビット/秒という高速化技術の可用性を実証しています。
1波長で25 ギガビット/秒を実現する技術は、変調/復調、分散補償技術により実現されています。これらの技術は、ファーウェイの光アクセス・イノベーション・ラボが40G TWDM PONをベースに提案したものです。ファーウェイは、OFC、欧州光通信国際会議、アジア通信フォトニクス会議などの世界有数の国際会議で関連技術に関する複数の論文を発表しており、今年のOFCにおいては変調方式やシグナリング処理プラットフォームが異なる4つの1波長25G PONソリューションを紹介した4本の研究論文など、同分野での最新の研究成果を発表しました。これらのソリューションはお客様の多様な需要に合わせてさまざまな光パワー・バジェット要件に対応できるものです。
ファーウェイは100G EPON標準化に向けて大きく貢献しており、約30件の論文を提出してきたほか、IEEE 802.3caの作業部会の事務局長に就任しています。ウルトラ・ブロードバンドのアクセス技術の研究と標準化に継続して積極的に取り組み、ITU-T、IEEE、BBF(ブロードバンド・フォーラム)など多くの標準化団体で要職を務め、パートナー各社と連携してウルトラ・ブロードバンド業界の健全な発展を推進しています。ギガバンド時代における固定アクセス分野のパイオニアとして、ファーウェイは将来を見据えたネットワーク構築を実現するSingleFANソリューションを提案するとともに、ひとつの統合プラットフォームであらゆるメディア(ファイバー、銅線、同軸)によるギガビット級のアクセスを提供する「Gigaband Access@Any Media」を実現していきます。
※ 本参考資料は2016年3月23日(現地時間)に米国・アナハイムで発表されたプレスリリースの翻訳版です。