ファーウェイ、欧州委員会による第5世代携帯電話技術に関する新たなイニシアチブ「5GPPP」の主要メンバーに
100Gbpsを超えるデータ通信速度の達成をMWC2014で発表
世界有数のICTソリューション・プロバイダーであるファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は、このたび、欧州委員会が新たにスタートしたイニシアチブ「5GPPP」(5G Public-Private Partnership)の主要メンバーに就任しました。「5GPPP」は、欧州連合(EU)の研究とイノベーションの枠組みである「Horizon 2020」において最重要と位置づけられる研究プログラムです。ファーウェイはまた、Mobile World Congress 2014において、自社の研究施設で第5世代携帯電話(5G)向け無線技術のプロトタイプを使用し、115Gbpsのデータ通信速度を達成したことを発表し、5G技術の発展に向けて強いコミットメントを示しました。
5G技術研究における主なブレークスルー
ファーウェイはMWC 2014での5G技術における画期的な研究成果の発表により、光ファイバーに匹敵し、現在のスマートフォンやスマート・デバイスでの通信の100倍以上となる10Gbpsの速度を利用者に提供するという同社のビジョンの実現に向けて一歩近づきました。この5G向けプロトタイプは70~90GHz帯で機能する新たなトランシーバー・アーキテクチャを採用しています。
このプロトタイプでは、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output:多入力、多出力)やOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)向けの高度な伝送技術と、画期的なマルチアンテナのプリコーディング技術を用い、帯域外発射による漏れを克服してスペクトル利用に柔軟性を持たせるとともに、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク電力対平均送信電力比)を減少させエネルギー効率を高めることで、端末のバッテリー寿命が向上することが実証されました。
さらに、高いマルチパス耐性を備え、単一周波数の全二重無線通信を実現した5Gアーキテクチャにより、周波数リソースが2分の1に節約され、5G向けに従来のTDD(Time Division Duplex:時間分割複信)とFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)のスペクトルが統合できることが実証されました。
これまでの主な研究
通信業界が現在5G研究の黎明期にあるなか、ファーウェイは5G無線アクセス分野のイノベーションで大きな進歩を達成しており、今後も主要な5G技術の確立において重要な役割を担うことが期待されています。5G無線インターフェース、仮想無線アクセス・ネットワーク、新たな5G無線技術などの主要技術は、適応型かつソフトウェア定義型の無線インターフェース・システムを実現し、スペクトル効率を最大化しつつ、遅延を最小限に抑えます。
これまでに、SCMA(Sparse Code Multiple Access)や、新しいサブキャリア技術を用いた非直交多重アクセスによって、キャパシティの増大やスペクトル効率の向上を目指す新しい無線インターフェースのプロトタイプの概念実証試験が実施されています。
新たな5G無線インターフェースを導入することにより、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)アプリケーションには超狭帯域を、仮想現実アプリケーションには超広帯域を使用するといったように、ネットワークがより最適なソリューションを提供できるようになります。また、より多様なモバイル・アプリケーションに対応させるため、ソフトウェア定義ネットワークをカスタマイズして構築することも可能となります。
ファーウェイは5Gソフトウェアを導入した基地局で多くのフィールド・トライアルを実施してきました。このような基地局ではファーウェイのHyperTransceiver™アルゴリズムを利用し、全体で400を超えるセクターの無線インターフェースをクラウド型でクラスター処理しています。また、無線信号のシャドーイングや相互干渉を防いだ上で、数十年間にわたり主流だった「ユーザーがセルにアクセスする」という構造を再定義し、「ネットワークがユーザーを追跡する」機能を実現する画期的なV-RAN(Virtualized Radio Access Network:仮想無線アクセス・ネットワーク)コンセプトを開発中です。ユーザー端末のセルフ・ネットワーキングと統合させる場合、「Inverse-CoMP」(協調マルチポイント)技術を利用することでネットワークのスペクトル効率がさらに向上します。
ファーウェイは5Gの超高速無線通信の分野でリードを続けており、新たなデジタル無線フロントエンド・アーキテクチャを使用し、セルラー・バンド向けに50Gbpsから100Gbpsの速度を実現する基地局や、71~76GHz帯と81~86GHz帯向けに100Gbpsを超える速度を実現する基地局の開発を推進してきました。より高度なアルゴリズムを使用することでアンテナと無線ユニットを完全に統合し、セルラー向けの周波数帯に加え新たな高周波数帯のスペクトル効率も大幅に増大させるRadiotenna™技術の研究も進められています。
同社の5Gに向けたビジョンでは、端末アクセスとバックホーリングの両方に対し、超高速無線トランシーバー・アーキテクチャを統合することも目指しています。こうした機能は、これまでの1,000倍の容量を実現するようなより高密度なネットワーク環境で必要となります。超高速無線はまずバックホール・ネットワークに実装される予定で、4Gおよび5Gにおけるユーザー体験が大きく向上する見込みです。
主なコラボレーション
ファーウェイは通信業界の主なステークホルダーや団体と緊密に協力し、5G主要技術の研究についての枠組みを策定してきました。同社は「5GPPP」におけるETP(European Technology Platform:欧州技術プラットフォーム)の運営委員会メンバーであり、FP7(seventh Research Framework Program:第7次欧州研究開発フレームワーク計画)においてMETIS(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty Information Society:次世代モバイル通信規格プロジェクト)への重要な貢献をしています。また、イギリスの5GIC(5G Innovation Centre:5Gイノベーション・センター)設立メンバーであり、中国では5G研究プログラムの開設や役割の策定、調整を支援してきました。
ファーウェイは5G技術について国際的な協議の場を積極的に設けており、「5G@Canada」や「5G@Europe」など一連のサミットを含む数多くの5G関連の業界フォーラムを開催しています。今年2月初旬、ドイツのミュンヘンで開催された「5G@Europe」サミットには、5G技術において主要な役割を担う企業から160人近くの参加者が集いました。参加者には、欧州委員会、ETNO(European Telecommunications Network Operators:欧州電気通信ネットワーク事業者)協会のほか、ICTベンダーや欧州の主要通信事業者、独BMW、伊フィアット、独シーメンス、独ローデ・シュワルツ、欧州の主要な研究機関や大学からの担当者などが含まれます。
ICTによる変革
ファーウェイは2020年までに5Gネットワークが出現し、5Gの無線技術が通信技術を本質的に進化させるのみならず、ICT産業にもグローバル規模で多大な影響を及ぼすと予想しています。5Gネットワークの出現によりビジネスや日常生活のあり方が変化し、グローバルにつながった新たなデジタル社会が作り出されます。最終的に5Gが成功するか否かは、開かれたイノベーションと共同研究によりエコシステムが進化できるかどうかにかかっています。
ファーウェイは次世代の無線技術への投資を続けていきます。ファーウェイは2009年に5Gの研究開発プログラムを立ち上げ、2013年末には2018年までに5G無線技術に対し6億米ドル(約607億8,000万円※)を投資することを発表しました。現在、全世界に設置されたファーウェイの研究開発センターのうち9か所で5G技術についての研究を実施しています。
※1米ドル=約101.30円で換算(2014年3月3日現在)
※本参考資料は2014年3月3日(現地時間)にスペイン・バルセロナで発表されたプレスリリースの翻訳版です。