ファーウェイ、英BTと共同でFTTdp/G.FAST技術に関するフィールド・トライアルを開始
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は、このたび、イギリスの大手通信事業者BT(ブリティッシュ・テレコム)と共同で、超高速データ通信の新規格であるG.FAST技術をFTTdp(Fibre To The Distribution Point:ファイバー・ツー・ザ・ディストリビューション・ポイント)に活用するフィールド・トライアルを開始しました。
G.FAST技術は、既存の銅線を活用して光ファイバーと同等の通信速度を可能にする技術で、FTTP(Fibre-to-the-Premises:ファイバ・ツー・ザ・プレミス)技術に大幅な変更を加えることなく1ギガビット/秒のブロードバンド・アクセスが実現できると期待されています。そのため、既存の銅線による通信インフラの活用を可能とする同技術の商用化に成功すれば、イギリスにおける超高速ブロードバンド・サービスの実現が加速されると見込まれています。
イギリス、イプスウィッチにあるBTのアダストラル・パークR&Dセンター近郊で開始された今回のフィールド・トライアルでは、マルチポートG.FAST機器を地下の分岐ポイントに設置。従来は光ケーブルによってのみ可能だった超高速ネットワークの最終区間を銅線接続に代え、光ファイバー接続と同等のスピードの実現を目指します。
BTにおいて研究およびイノベーションを担当するマネージング・ディレクターであるティム・ウィットレイ(Tim Whitley)博士は、同フィールド・トライアルの開始にあたり、次のように述べています。「今回のフィールド・トライアルを通じて、G.FAST技術が既存技術より効率的に家庭や企業に超高速アクセスを提供する手段となり得ることを実証できる可能性があります。このトライアルの結果を注意深く見守り、G.FAST技術がBTのネットワークを短期的、また、中長期的に最適化する技術として活用できるのかを見極めていきます」
また、ファーウェイで西ヨーロッパ地域を担当する戦略およびマーケティング責任者、高戟(ガオ・ジイ)は次のように述べています。「現在も銅線は通信事業者にとって重要なリソースであり、潜在的にはまだ活用の可能性が秘められている資産と言えます。ベクタリング、G.FASTなどの新たな銅線技術を活用することで、通信事業者は既存のリソースをより効率的に活用するとともに、より迅速に帯域戦略を実践し、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。ファーウェイは今後も銅線技術に関するR&Dへの投資を継続し、さらなるイノベーションを牽引していきます」
G.FASTフィールド・トライアル 技術概要
ファーウェイが2011年12月に世界初のG.FASTプロトタイプを発表して以来、G.FAST技術には多くの期待が寄せられ、商用化に向けた開発も急ピッチで進められています。TDD技術を採用し、上りと下りの速度に柔軟性を持たせることで、100メートルの範囲において1本のツイストペアケーブル(電話線)でVDSL2接続の10倍となる1ギガビット/秒の超高速アクセスを実現することが可能となり、既存の銅線による通信インフラをそのまま活かしてギガビット級のアクセスを実現することができるようになります。
また、混信を取り除くベクタリング技術を活用することで、G.FAST技術に対応した端末では平均1ギガビット/秒の超高速アクセスが実現できることがテストで実証されています。この際、各家庭での配線の再構築も不要です。現在、G.FAST技術は最大250メートルの距離まで対応可能ですが、イギリスで設置されている一般的な光ドロップ・ケーブルはこれより大幅に短いことを考慮すると、今回のフィールド・トライアルでは良好な結果が得られることが予想されます。ファーウェイはG.FAST技術に関連する標準や製品の開発に積極的に取り組んでおり、ITU-TのG.FAST標準化組織に提出した提案には、ポイント・ツー・ポイント・アーキテクチャ、TDDモードおよび基本フレーム構造、伝送周波数スペクトラム、FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)チャネル・コーディング、回線起動ネゴシエーション・メカニズム、マルチ回線混信オフセット、オンライン再構成、省電力稼動モードなどが含まれ、G.FASTのコア技術を幅広くカバーしています。ITUは2013年末までにG.FAST技術の標準規格に関する公開草案を発表すると予想されています。
※本参考資料は2013年10月21日(現地時間)に英国・イプスウィッチで発表されたプレスリリースの翻訳版です。