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ファーウェイの公開書簡

2011.02.28
ファーウェイの公開書簡

ファーウェイ・テクノロジーズ副会長兼ファーウェイ USA会長

我々は、ファーウェイへの大きな注目を集め議論の対象となった先の米スリーリーフ(3Leaf)買収案件において、その背後にある基本的事実を示したいと思います。これら事実は、提案した買収案の背後にある実態のみならず、本案件に対する当社の姿勢においてもご理解頂けることと思います。また、長期にわたり飛び交ったファーウェイを巡る事実に反する噂や主張が解明されることでしょう。

ファーウェイの米国子会社であるフューチャーウェイ(Futurewei)は、2010年5月および7月に、経営破たんした新興テクノロジー企業スリーリーフ(本拠地:カリフォルニア州サンタクララ)から特定の資産を取得しました。その当時、スリーリーフは事業を停止しており、知的財産の買い手が現れていない状況でした。ファーウェイは、5月の知的財産の買収完了に先立ち、米商務省産業安全保障局に、適宜、輸出許可の要請書を提出し、米商務省はスリーリーフの技術の輸出には免許は不要であると認定しました。対米外国投資委員会(CFIUS)がスリーリーフの資産買収取引への関心を示したことが判明した後、ファーウェイは2010年11月、買収取引に対するCFIUSの審査開始の申請のための届出書の草稿と正式版を自発的に提出しました。

2011年2月11日、CFIUSは、決定した条件に基づき資産買収の撤回を求める勧告を正式に通告してきました。当社は当初、ファーウェイについての真実を明らかにするためにあらゆる手段を講じることを前提とした上で、この通告を拒否する決定を下しました。しかしながら、今回の案件でもたらされた多大なる影響や注目は我々が意図するところではなく、2月18日、スリーリーフの一部資産の買収に対する申請の撤回を求めるCFIUSの勧告を受け入れる決断を下しました。

米国は偉大な国であり、ファーウェイが常に最大限の敬意を払ってきた国です。米国の民主主義、自由、法の支配、人権に関する価値観は、まさしく我々ファーウェイが尊重し、提唱し、指針としている価値観であります。一企業市民として、我々は米国の人々との密接なつながりから多くのことを学んでいます。オバマ大統領は就任演説の中で次のように述べました。「今日この日、我々がここに集っているのは、恐れではなく希望を選んだからです。対立と不和ではなく、目的における一致を選んだからです。今日この日、我々は、さもしい不平や偽りの約束に終止符を打ちにきました。あまりに長いあいだこの国の政治を抑えつけてきた、非難の応酬や古びた独断的な主張を我々は終わらせにきました。」これまで10年間にわたり米国で投資を行い、事業を成長させてきた当社は、このビジョンを共有しており、これは当社が米国企業との協調を構築する基盤となっています。

ファーウェイ・テクノロジーズについて

ファーウェイ・テクノロジーズは1987年に中国深圳(シンセン)にて設立され、従業員がすべての株式を保有する非公開企業です。現在、世界第2位の通信機器メーカーです。

ファーウェイは、米国への長期投資に力を注いでおり、既に米国内で1,000名以上の従業員を擁しています。2010年には、米国企業から総額約61億米ドルの製品およびサービスを購入しました。米国内の研究・開発事業に対する当社の投資額は、平均して年66%ペースで伸びており、2010年には6,200万米ドルに達しました。当社は長期間にわたり米国のお客様へ革新的な製品およびサービスを提供してきており、投資家、雇用主、納税者、企業市民として常に責任ある行動をとってまいりました。

事実と誤解

残念なことに、当社は、米国への投資を行ってきた過去10年間にわたり、数々の誤解に直面してきました。これらの中には「中国軍部との密接な関係」「知的財産権に関する紛争」「中国政府による資金援助疑惑」および「米国の国家安全保障に対する脅威論」など、根拠も確証もない主張が含まれます。

これらの誤った議論は当社の事業活動に多大な悪影響を及ぼしてきました。したがって、事実を正確に伝えるための努力の一環として、当社はこうした誤解に対して然るべく対処しなければなりません。

第一に、軍部とのつながりという主張については、偏に、ファーウェイの創始者でありCEOのレン・ジェンフェイ(任正非)氏が、かつて人民解放軍に所属した経験を持つという事実を、その根拠とするものです。レン氏は1944年10月25日、共に教師であった父と母の間に農村で生まれ、貴州省の山間部の町で小中学校に通った後、重慶建築工程学院へと進学し、同校を1963年に卒業しました。その後、土木工学関係の業務に1974年まで従事した後、フランスからの技術を導入した遼陽化学繊維工場の建設担当兵士として、軍部の工兵団に加わりました。その後、技術者、エンジニア、さらには副長官へと昇進しますが、これは副連隊長に相当する、軍人階級のない専門家としての役職でした。その卓越した業績を背景に、レン氏は1978年に全国科学大会に、また1982年には中国共産党の全国代表大会に招聘されています。

中国の中央政府が工程兵団を全面的に解散した1983年に中国軍を辞した後、深圳南海石油のロジスティクスサービス拠点における仕事に満足できなくなった彼は、1987年、21,000人民元(約2,500米ドル)の資本金でファーウェイを設立することを決断しました。1988年にファーウェイの社長に就任し、現在に至ります。

レン氏が、軍に仕えた経験を持つ世界各地の多くのCEOの一人に過ぎないことは明白な事実であり、またファーウェイが民間規格に適合する通信機器のみを提供してきたことも明白な事実です。同様に、未だかつて誰も、ファーウェイが何らかの軍事技術に関与していたという証拠を示したことはないというのも事実に基づいています。

二点目として、知的財産権に関するものです。ファーウェイは設立以来一貫して、全ての知的財産権所有者の権利を尊重かつ保護すると同時に、当社の知的財産権の保護に積極的に取り組んできました。当社は世界中で49,040件の特許権を申請し、今日までに17,765件の特許権が付与されています。当社独自の技術革新に加え、当社はクロスライセンス契約を通して、他の特許権所有者の技術へのアクセス権を購入しています。2010年、ファーウェイが欧米企業に支払ったライセンス料金は2億2,200万米ドルに達しました。このうち1億7,500万米ドルは米国企業に対する支払いです。また、当社が長年にわたって米国企業Qualcomm に支払った知的財産権関連の費用総額は6億米ドルを超えます。Ciscoがファーウェイに対する知的財産権侵害の訴訟を2003年に取り下げたという事実は、ファーウェイが合法的な事業活動のみに従事しているという当社の主張をさらに正当化しています。当社がこの経験から学習した教訓は、事業を展開する上で議論は避けられないものの、それは両当事者間の交渉によって適切に解決され得るということです。

ファーウェイが中国政府から資金援助を受けているとの批判がありますが、事実ではございません。実際、当社は他の全ての民間企業と同様に事業活動を行なっており、株主(注:従業員が全株式を所有)が出資する資本金と、通常の民間融資によって資金を調達しています。また、ファーウェイは深川の経済特区に本社を構えており、常に市場経済の中で成長してきました。

中国で事業を行う他の多くの企業と同様、ファーウェイは中国政府がハイテク企業に与える税優遇措置、および研究開発活動に対する支援を受けています。これは、米国政府機関が米国企業に与える税優遇措置と似たような支援です。2010年、ファーウェイは中国政府から研究開発活動に対する資金援助として、総額5億9,300万人民元(約8,975万米ドル)を受け取りました。これらのすべては、中国における事業活動に提供される通常の財政支援の一環として行われたものであり、米国を含む他の多くの国で実施されているものと変わりません。

中国の民間銀行がファーウェイに対して設定する融資枠は、実質的にはファーウェイではなく、当社の顧客を対象としています。ファーウェイは仲介人として顧客に借り入れを勧め、顧客が借入を行った場合、顧客自身がこれらの銀行に対し直接、元金と利息を支払う責任を負います。ここで重要なのは、この種のローンは2010年のファーウェイの年間売上のおよそ9%を占めるに過ぎず、業界他社と同水準であるということです。2004年に中国開発銀行は、当社の顧客に対する100億米ドルの信用供与枠の設定に合意し、その後2009年には300億米ドルへと増額されました。現在までの中国開発銀行による当社顧客へのローン実行金額は100億米ドルです。

ファーウェイが何らかの方法で米国の国家安全保障に脅威を与えるという主張は、当社が自身のテクノロジーを利用して米国の機密情報を盗む、あるいは特定の時期に米国の企業や組織にネットワーク攻撃を仕掛けることができるという、誤った認識が根拠になっていました。当社がセキュリティ規則に違反したという証拠は一切ございません。そればかりか当社は米国において、EWAなどの利害関係のない第三者セキュリティ・サービス会社を雇って製品の監査を実施し、ソースコード・レベルにおける製品の安全性と信頼性を証明しています。さらに、信頼性の高い納入システムを確立し、当社が提供するネットワークの安全性を防護しています。

仮に米国政府がファーウェイについてこの種の懸念を抱いているとすれば、当社はその懸念の内容、およびそれらが当社の過去または未来の成長のいずれに関するものであるのかを明確に理解したいと考えています。当社はどのような懸念についても、米国政府と緊密に連携して、これに対処することができると信じており、追加的なセキュリティ要件には必ず応じていくつもりです。米国関連当局が必要と考えるあらゆる調査を常に進んで受け入れる用意があり、全ての政府機関に対し引き続き誠実に協力してまいります。

当社は民間の民生用通信機器プロバイダーとして初めて世界的なエンドツーエンドのネットワーク・セキュリティ・システムを確立しました。当社は世界各地のネットワーク・セキュリティ監督機関とのパートナーシップを通じ、ネットワーク・セキュリティ上の問題に積極的に取り組んでいます。データ量が急速に増大し続ける今日、当社はセキュリティ問題が通信業界の全ての当事者にとって、ますます重要になると確信しています。我々はあらゆる国の政府と連携し、情報セキュリティの確保に向けて全力を尽くす所存です。

元米国大統領のエイブラハム・リンカーンはかつて、「人格は木のようなものであり、世評はその影のようなものである」と言いました。ここ数年、誤解と風説はファーウェイの影のように、ファーウェイの世評、また米国政府によるファーウェイについての見解に影響を及ぼしてきたと我々は考えています。我々は、米国政府がファーウェイに関して持つ一切の疑惑に関して正式な調査を実施することで、この問題に対処し、明白かつ正確な結論に到達することを真摯に希望します。

米国の通信市場は世界最大のマーケットであり、ファーウェイはこの重要なマーケットにおける主要プレーヤーになるという目的の下、当社の実力を実証するために努力してきました。しかしながら、根拠のない非難によって当社の事業活動は妨害され、誤った主張が発せられましたが、我々はこれは競争激化から来るものであると理解しています。ファーウェイは世界を牽引するワイヤレス・ブロードバンド技術によって、米国の通信事業者および一般の人々に、より進んだテクノロジーとより高速なネットワーク・スピードをより低価格で提供することができます。ワイヤレス基地局の構造が単純化しつつあるなか、当社が提供する基地局が国家安全保障の脅威となることはありません。それはちょうど、携帯電話が国家の安全を脅かさないのと同じです。当社としては、米国事業者が懸念するような製品を一切販売しないよう確約することはできますが、この場合、米国政府に対して、係る規制対象製品の範囲と関連する規制の適用期間に関するガイダンスの提供を真摯に要望します。なぜならば、現時点では必要不可欠と思われる特定のテクノロジーも、時間の経過とともにその優位性と高性能性を喪失するからです。製品全般にわたる期限のない規制は、どのような企業にとっても余りにもコストが高く不公平と言わざるをえません。

我々は、米国政府がファーウェイに関して持つ一切の疑惑に関して、正式な調査を実施することを真摯に希望します。米国は民主主義、自由、法の支配、人権擁護を掲げる国です。米国政府はこれまでに経営の効率性、公平性、中立性を実証し、我々は10年ほど前にこの国に初めての投資を行って以来、常に感銘を受けてきました。当社は米国の公平性と正当性を信じると同時に、政府による徹底的な調査の実施によって、ファーウェイが一般的なの民間会社であり、それ以外の何物でもないことが証明されることを確信しています。