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BETTER CONNECTED WORLD

 2025年までに、ネットワークへの接続は1,000億に、スマートフォンの契約数は80億に達すると見込まれています。65億の人々と、数百億のデバイスがつながる世界がやってくるのです。

 接続することによって、国や企業、個人がさまざまな可能性を追求できる「より“つながった”世界」。そうした世界がやってくるのをただ待つだけではなく、その実現に向けて貢献していきたい、とファーウェイは考えます。

 たとえばゴルフなら、つながったクラブが上達のためのコーチの役割を果たしてくれるでしょう。つながった車が走行データを蓄積してくれれば、月々の自動車保険料が安くなるかもしれません。ピアノの発表会の日にお父さんが出張中でも、つながっていれば娘の晴れ姿を見ることができます。こうしたイノベーションはほんの始まりにすぎず、物理的な世界とデジタル世界の融合は、各分野でますます進んでいきます。

 カメラやセンサー、ネットワークがいつでもどこにでもあることで、サイバースペース上でよりリアルな現実世界を体験できるようになっています。世界中の動向を知ること、データを集めて分析すること、理解を深めて予測することがこれまで以上に簡単になり、知識の共有や調査研究、起業などのハードルが下がっています。リスク・コントロールがしやすくなることで、グローバル経済の活性化にもつながるでしょう。コストカットによって利益を生むことを目指してきた企業も、ビジネスを通じてビジョンを実現するという本来あるべき姿を取り戻せるようになるのです。「より“つながった”世界」がもたらすチャンスは、無限に広がっています。

 こうした未来を見据える取り組みとして、ファーウェイは2014年9月、世界接続性指標(Global Connectivity Index)を発表しました。これは、世界25か国と10の業界を対象に、「接続性=“つながる”こと」をどれだけ実現し、その向上にどれだけ注力しているのかを数値化したものです。今号のFeature Storyでは、国別・業界別の世界接続性指標を通して、世界、日本、各業界で“つながる”ことの可能性が現在どう開花しているのかをご紹介し、その促進にICTが果たす役割を探ります。

BETTER CONNECTED COUNTRIES
各国の接続性指標から見る「より“つながった”国」

接続性の現状と今後の発展の見込みは、国によってどれだけ違いがあるのでしょうか。

今回の調査では、経済と人口の規模、地理を考慮して選定した25か国(GDPベースで世界全体の78%、人口ベースで68%に相当)を対象に、「現在の接続性」と「成長可能性」の2側面を16の項目(下表参照)で測定し、国別の接続性指標を算出しました。

「現在の接続性」は通信サービスの普及率や料金、通信量、速度、通信への投資など、「成長可能性」は通信サービスの契約増加率とその予測値、ナショナル・ブロードバンド計画などを測定しています。

「接続性指標第5位」日本におけるICT 利活用の現状とこれから

国別の接続性指標において、日本は総合で世界第5位、「成長可能性」では先進国中第1位という結果となりました。成熟している一方で、成長の可能性も高い日本社会の接続性は、今後どのように発展していくのでしょうか。通信をはじめとするインフラの整備とICTの利活用が社会に与える影響を専門に研究されている早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の三友仁志教授にお話をうかがいました。

進むインフラ整備と地方の創生

 日本は2000年まではブロードバンド後進国でしたが、IT基本法によって情報通信ネットワークの整備が重点項目に掲げられ、事業者の努力と政策支援によりADSLが急速に普及し、その後すぐに光へのシフトも始まりました。同時に、世界に先駆けた3Gへの大規模な投資と、iモードのようなモバイル・インターネットの拡大によって、早い段階で高度なモバイル環境が発展し、LTEへの移行も迅速に進んでいます。今回の調査でも、日本はモバイル・ブロードバンド普及率が109.69%で第1位、固定ブロードバンドの下り速度が韓国に次いで2位となっており、インフラの整備という面では世界的に見ても進んでいることが示されています。

 一方、モバイル・ブロードバンドのサービス料金は他国と比べて高いという結果が出ていますが、これは現在総務省でも課題とされているところで、SIMロックの解除やMVNOの参入促進といった取り組みが行われています。市場をより開放し、競争を促進するためには、このような政府のリーダーシップによる環境づくりが不可欠です。

 今後の成長という点では、日本はインフラは整っているものの、ICTの利活用という観点ではまだ十分ではなく、発展の余地があると言えます。たとえば、政府の重点政策である地方創生において、ICTでできることは多いでしょう。現在、ブロードバンドの世帯カバー率は地方でもかなり高いのですが、実際にサービスを利用している世帯は半分ほどしかありません。しかし、家庭での利用以外にも目を向ければ、インフラをもっと活用する方法はたくさんあります。

 徳島県神山町のサテライトオフィス誘致の取り組みが好例です。山間部にあり過疎化が進んでいた同町は、2004年に総務省からの助成金によって町全域に光ファイバー網を敷設し、数年前から企業の誘致を始めました。いまではICT企業を中心に複数の企業がサテライトオフィスを構え、移住者の増加や現地の人材雇用にもつながっています。同じ徳島県の上勝町は、高齢者人材の活用とICT導入で成功した「葉っぱビジネス」で知られています。農業や観光などその他の事業においても今後いっそう利活用を推進することが必要です。

教育や医療におけるICTの貢献

 産業振興のほかにICTの活用可能性が高いのが教育分野です。総務省の「フューチャースクール推進事業」と文部科学省の「学びのイノベーション事業」では、教育現場に無線LANやタブレット、電子黒板などのICT環境を整備しているほか、クラウド・プラットフォーム上での学習コンテンツの共有も進められています。こうした取り組みは、学習の利便性向上に加え、反転授業(自宅でオンライン教材を使って学習し、授業では実習を行う)のような新たな学びの形の導入にもつながっています。方法や程度はさまざまですが、すでに全国の多くの学校で実践が始まっており、教育のICT化は試行から運用へとフェーズが変わりつつあると感じます。

 また、医療においては、高精細画像を用いた遠隔診療などが実験的に行われており、大病院ではICTを活用した情報化も進んでいますが、地域医療における情報化は今後の課題となっています。たとえば在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、ケアワーカーなど、さまざまな職種が患者と関わりますが、こうした従事者間の情報共有をICTで効率化することがもっと必要になってくるでしょう。しかし、保険の問題や医療と介護の制度間の壁などもあり、導入が遅れているのが現状です。行政のICT化も同様で、地方自治体の行政管理をクラウドで一括化するという構想はあるものの、自治体ごとに異なる慣行に対応しなければならず、なかなか進んでいません。日本のような先進国では、すでに既存の体制が確立しているがゆえに、新しい技術を取り入れるのが難しいという側面が表れていると思います。

 ICTの利活用を促進する上では、2020年の東京オリンピック開催が大きなきっかけになることが期待されます。海外からの来訪者や障害を持つ方たちへのサポートを含め、利便性や安全性をICTで高める方法は数多く考えられます。ただし、一過性ではなく、将来的に利用され続け、発展させていけるようなものにしなければなりません。2012年のロンドン・オリンピックでは市内にWi-Fiホットスポットを増やしたり、スタジアムでスマートフォンを使って飲食物をオーダーできるシステムを整備したりする取り組みが見られましたが、そうした事例に学び、長期的な視野に立ったICT利活用を検討していくことが重要でしょう。

BETTER CONNECTED INDUSTRIES
業界別の接続性指標から見る「より“つながった” 業界」

企業においてICTはもはや単なる効率向上のためのサポート・システムではなく、価値創造を促進する生産システムとして重要な役割を果たしています。

ICTに投資し、そこから新たな価値を生み出していくことが、ビジネスの成功を大きく左右する時代が来ているのです。

そこで今回の調査では、各業界の接続性にも着目し、企業におけるICT活用の現状と可能性を探りました。

14か国(アメリカ、メキシコ、ブラジル、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、ポーランド、中国、インドネシア、マレーシア、インド、南アフリカ)、10業界(図3参照)のさまざまな規模の企業(従業員数100名未満から5,000名以上まで)で管理職に就くビジネス・リーダー1,093名を対象に、「ICTへの注力」と「ICTによる価値創造」の2側面を8項目(下表参照)で測定し、業界別の接続性指標を算出しました。

さらに、この2側面のスコアに基づいて各業界を下記の4つの区分に分類しました(図3)。

変革者 / Transformers

ICTを中核的推進力としてビジネス変革を実施している

戦略家 / Strategists

ICTの重要性を理解し長期的な投資をしているものの、まだ大きな価値は生み出せていない

戦術家 / Tacticians

ICTで価値を生み出し、競争力強化に活用しているが、投資は限定

後発者 / Stragglers

ICTをコスト削減と効率のためのツールとして利用するのみ

この分類では、金融サービス、教育、石油・ガス、製造の4業界が、ICT

を重視すると同時に価値創出に積極的に生かしている「変革者」であ

ることが示されています。

「変革者」を支えるファーウェイの技術

取引の95%をオンライン・バンキングで実現する中国招商銀行

中国・深圳に本店を置く中国招商銀行は、1987年に中国初の株式制商業銀行として設立されて以来、一貫して顧客体験を重視し、国内でいち早く電話やインターネットによるサービスを開始しました。1999年にはファーウェイのサポートによってテレフォン・バンキング・システムを構築。これにより電話での問い合わせに応じる単純なコール・センターを、ウェブサイトや携帯電話からのアクセスに対応した、チャットやビデオ通話などマルチメディアで多様なサービスを提供する統合型カスタマー・サービス・センターへと進化させました。法人・個人合わせて6,000万以上の顧客が利用するこのシステムは、顧客ごとにカスタマイズしたサービスの提供を可能にしたほか、より最適なマーケティングやきめ細かいサービス品質管理も実現し、顧客満足度の向上につながっています。現在、同行の取引の95%がスマートフォンを中心としたオンライン・バンキングによるものであり、その結果、同行は世界100大銀行にランクインする規模でありながら支店の数を他の大手銀行のわずか10%に抑えています。

ノルウェーの通信事業者タンプネットが提供する世界初の海洋油田向けLTE無線ブロードバンド・ネットワーク

ノルウェーの通信事業者タンプネット(Tampnet)は、北海海域において石油・ガス採掘業者向けの高速通信サービスを提供しており、シェル、BP、エクソンモービルといった業界大手の同海域内海洋油田プラットフォームの約68%が同社のネットワークを利用しています。近年の海洋油田開発の活発化にともない、採掘に要する作業を地上や船舶上から遠隔で行うための通信ネットワークへの需要が高まってきました。従来、海上の採掘施設とタンカー、地上設備間の通信には、音声通話は衛星電話、データはハードディスクに保存してヘリコプターで輸送するという方法が取られていましたが、タンプネットはファーウェイのLTEソリューションにより上り1Mbps、下り2Mbpsの高速ブロードバンド・ネットワークを構築。通話とデータ通信の効率とコストを飛躍的に向上させたほか、ビデオ監視システムの導入や海域を通過する船舶への通信サービスの提供といった新たなビジネスも創出しています。

 ファーウェイは、全世界のICTへの年間支出は2020年には5兆米ドル(約550兆円※)に達すると見込んでいます。接続性は土地や労働力、資本と同様に生産性の向上を可能にする要素のひとつであり、国や企業の発展に欠かすことのできないものです。クラウド・コンピューティング、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、モバイル・ブロードバンドといった領域におけるICTの活用とその進化は、接続性を向上させ、社会と経済の成長を加速させるでしょう。ファーウェイはこれからも、ICTによるイノベーションと価値の創造をリードし、通信事業者や企業のお客様、パートナーの皆様とともに「より“つながった”世界」の実現を目指してまいります。

※1米ドル110円換算