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KPNインターナショナル

オランダの通信事業者であるKPNは、ネットワークの変革と新規サービスにおける多くの課題に取り組んできた。ブロードバンド、ビデオ、企業向け専用回線などの高い需要が見込まれるサービスを促進するため、オールIPアーキテクチャーへの移行に着手し、フルサービス・プロバイダーへの道を歩み出したが、それにはネットワーク・インフラを飛躍的に進化させる必要があった。

KPNの事業部門の1つであるKPNインターナショナル(以下KPN)は、データ、IPおよび通信に関する国際的サービスを企業や卸売り事業者に提供している。2005年、KPNは西ヨーロッパ全域をカバーする10Gpsのバックボーン・ネットワークを構築した後、10Gbpsから40Gbpsへ、2011年にり、180か国以上で700社以上の企業、サービス・プロバイダー、キャリアを顧客としている。は100Gbpsへと段階的に高速化した。

KPNのWDM(WavelengthDivisionMultiplexing:波長分割多重方式)バックボーンは今やヨーロッパにおいて最大規模のものであり、波長、国際専用回線、VPN(MPLS:マルチプロトコル・ラベル・スイッチングとイーサネット)、IPトランジットなど広範囲のサービスを、多くの付加価値サービスとともに提供している。

市場をリード:10Gbpsから40Gbpsへ

インフラ移行を避けて通ることはできないと考えたKPNはまず、伝送ネットワークの再構築に着手した。2005年6月、アクセスレイヤーと国内トランクにおいて、それぞれCWDM(CoarseWavelengthDivisionMultiplexing:光波長多重伝送)とDWDM(DenseWavelengthDivisionMultiplexing:高密度波長分割多重伝送)の独占契約をファーウェイと締結した。これで、KPNはブロードバンド・ネットワーク事業の基盤を固め、国際専用回線、帯域の卸売、IPトランジットなどの急成長する事業にさらに積極的に参加できるようになった。

2005年後半、KPNはファーウェイと提携してヨーロッパ全域をカバーする40x10GWDMバックボーン・ネットワークの展開を開始した。4か月かけて配備した3,000kmのネットワークは、アムステルダム、ルクセンブルク、ブリュッセル、フランクフルト、ロンドンなど20を超える都市を結ぶもので、ヨーロッパのWDMバックボーン・ネットワークとして最大級となった。これにより、KPNは国際専用回線、国際通話、VPN、波長サービスなどの事業への参入と促進に必要な帯域幅を存分に確保できるようになった。

世界のIPトラフィックは2006年から2008年にかけて爆発的に増大した。グローバル・バックボーンWDMトラフィックは、世界で年間40%を超え、ヨーロッパでは44%のペースで増加した。40Gのコア・ルーター用インターフェースはすでに普及が進んでおり、40Gのラインカードを使用するルーターが世界各地で配備されているところだった。商用の40G伝送はまだ限定されていたが、KPNは40Gのリースに大きな可能性を見出していた。

2008年9月、KPNはアムステルダムとロンドン間において40Gサービスを受注した。しかし、この40Gネットワークはイギリス海峡をまたがるという困難を伴うものだった。海峡の幅が平均180kmもあったため、中間地点で波長再生を行うのは困難と思われた。

この時も、40G展開におけるファーウェイの豊富な経験が役立った。両社は協力して、KPNのネットワークを評価し、さまざまなソリューションの比較を行い、その結果、伝送能力に優れ、KPNの既存インフラと互換性のある40GeDQPSK技術が採用されることになった。ファーウェイは、KPNによるサイトのアップグレードおよび40Gのサービス・ボード設置にあたり、フルサポートを提供し、その結果、わずか3週間で最大幅が214kmにもおよぶイギリス海峡を安定した40G伝送リンクで結ぶことに成功したのである。

サービス需要が増大する中、KPNはブロードバンド・サービス向けに、ネットワークのアップグレードに取り組み続けてきた。このような円滑なアップグレードを通して、KPNは市場のニーズに賢明かつ迅速に対応できるようになった。

将来の展望:40Gbpsから100Gbpsへ

2010年、40G/100Gイーサネット基準であるIEEE802.3baが正式に発表され、これをきっかけに業界が飛躍的に発展を遂げることになった。ベンダーと通信事業者の間の緊密な協力により100Gの利用が拡大していった。

2011年の初頭まで、KPNはWDMバックボーン・ネットワークを経由して、ヨーロッパの22か国の顧客にサービスを提供してきた。ところが、サービス拡大が次第にトラフィックに渋滞をもたらすことになった。最も混雑する都市間の1つであるアムステルダム―ルクセンブルク間のユーザーがコンテンツ・プロバイダーやシステム・インテグレーターとのやりとりをスムーズに行うために、速度100Gの環境を整備せざるをえなくなったのである。40Gのロールアウトに成功したKPNは、ファーウェイのサポートがあれば、そのプラットフォームを基盤に100Gにアップグレードできるだろうと考えた。

2008年の初め、ファーウェイは100Gのプロトタイプをリリースし、それを10以上の通信事業者と協力して商用ネットワークで検証を行い、さらにその2年後、100Gソリューションに改良を加えていた。KPNは将来的にネットワークに障害が起こることを想定し、そのキャパシティを増やすためにプラットフォーム上で100Gソリューションの試験を実施するようファーウェイと協議を始めた。KPNのネットワークは10Gと40Gのサービスが混在しており、非線形抵抗(電圧と電流が比例関係にない抵抗)の必要性が高まっていた。さらに、ネットワークはG.652とG.655両方のファイバーを使用しており、CD(ChromaticDispersion:波長分散)とPMD(PolarizationModeDispersion:偏波モード分散)の許容差という課題を抱えていた。そこでファーウェイは100Gコヒーレント検出ソリューションによるアップグレードを提案した。

このような両社の協力により、アムステルダム―ロンドン間とアムステルダム―ルクセンブルク間の各リンクにおけるアップグレードが無事完了した。前者はイギリス海峡をまたがるリンクを含む500kmを結び、電気再生なしで機能している。後者は市街地のファイバーを含む600km超を結んでいる。これらの取り組みにより、KPNは100Gの商用展開をリードする通信事業者の1つとなったと言える。

「KPNは信頼できる、高速かつ革新的なサービスをお客様に提供することをお約束します。最新のコヒーレント100G伝送を商用利用することによって、われわれは広帯域と高い安定性というネットワークの要件を満たし、お客様により良いサービスを提供できるようになりました」とKPNのマネージング・ディレクター、ジャスパー・スネイダー(JasperSnijder)氏は語る。「ファーウェイの最新のWDMソリューションのおかげで、われわれの国際ネットワークは最先端なものになり、急成長するサービス需要に対応するだけの高いパフォーマンスを提供することができます」

今後も、KPNは最も混雑するリンクを100Gに移行させることにより、ウルトラ・ブロードバンド・サービスの拡大を続けていく。