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テレノール・ノルウェー:LTE展開へ向けて

Telenor Norway

テレノールは、1855年に創業したノルウェーの携帯電話等の無線通信サービスを提供する通信事業者。オスロ証券取引所の上場企業でもある。

テレノール・ノルウェーは、現在、LTE時代の到来に合わせてモバイルネットワークのアップグレードに取り組んでいる。テレノール・ノルウェーの戦略・構造企画部門を率いるシーグード・トゥーナム氏が、アップグレードがどこまで進んでいるか、LTEに対してどのような準備を進めているかについて語ってくれた。

2011年末までにインフラを一新

ノルウェーのモバイルブロードバンド市場において50%を超えるシェアを占める当社は、ネットワーク容量の拡大とユーザ体験の向上を目指しています。2009年冬の時点で、今後のモバイルブロードバンド・サービスをよりよい形で提供できるよう、既存のモバイルインフラの一新を決断しました。これは、テクノロジーの世代交代および周波数帯変更に伴うGSM/UMTS/LTEの基地局を含む通信設備・機器のアップグレードを含みました。

われわれの計画では2011年末までに6500ヵ所、すなわち毎週180カ所のペースで基地局設備のアップグレードを敢行する予定です。また、バックホールを増加し、光ファイバーもしくは高容量マイクロウェーブによる高速バックホールを50%以上の基地局に導入することを計画しています。その他、パケット切替型コアネットワークへの交換、一部基地局における高容量光ファイバー/無線アクセスの構築、そして業務サポートシステム(OSS)の最新化なども考えています。

大幅なメリットを獲得

こうしたインフラの刷新は、近い将来ファーウェイのSingleRANソリューションを用いたLTEへの移行を容易にすると思います。現行のGSM/UMTSモバイルネットワークを最新化することで、ネットワーク構造を単純化し、今後のための最適な基盤構築が可能となります。

もうひとつの利点としては、大幅な費用の削減と、高容量のサービス提供が可能になることです。 何よりも重要なのは、改修作業によってエネルギー消費の大幅な削減をもたらすということです。つまりSingleRANを導入することで、環境により配慮したネットワークをもっと柔軟な方法で構築することができるわけです。従来の基地局では、GSM、UMTS、そして電源とバッテリーのために各1台、計3台のキャビネットを設置する場所が必要でした。

アップグレード後は電源を含むすべての必要機器を1つのキャビネットに置くことができるので、場所の節約にもなり、電力消費の削減等により運用管理費用を低減できました。

モバイルブロードバンドは、現在、魅力的なサービスではありますが、事業の継続性に欠けています。データトラフィック量の急激な増加に売上がついてきていないのです。一方でモバイルブロードバンド・テクノロジーは柔軟性に欠け、また複雑性を増しています。これらのことを考え、より長期的な視点に基づく事業計画を立て、LTEの立ち上げを決定しました。

ノルウェーでは、ユーザ当たりのデータ消費量は急速に伸びていますが、ユーザ数が増えるにつれ、これは鈍化すると考えられています。当社は、HSPAの展開を強化し、住民200人以上の地域と主な観光地を網羅していく予定です。しかし、テレノールは2011年まで、ノルウェーにおけるLTEの展開を考えていません。

円滑な改修でも残る課題

これまで基地局200ヵ所のネットワークを改修をしてきましたが、現時点までの感触は良好で、大きな問題は発生していません。ハードウェアも非常に安定しており、カバレッジを失わずに機能を追加できています。音声やデータを含むKP(I Key PerformanceIndicator:重要業績評価指標)も非常に良好で、より大規模な展開をまもなく始める予定となっています。

ただし、いくつかの課題も残っています。中でも最大のものは基地局改修に要する時間で、これは顧客の満足度と密接な関係があります。古い基地局を撤去し、新たな基地局を設置する時間は、長くなればなるほど、顧客の受信環境がない期間が長期化することになります。GSMとUMTSを兼ね備える基地局については、通常、大きな問題とはなりませんが、GSMのみの基地局については受信環境が完全に失われることになります。週に180ヵ所の基地局改修をスケジュール通りに進めるためにも、現場での作業時間短縮は非常に重要となります。

ノルウェーのモバイル業界では新たな出来事が続々と発生しています。テレノールは基地局の改修、テリアソネラはLTEの構築、その他2社はGSMやUMTSネットワークを構築しています。有資格の現場人員を必要なだけ確保するのは非常に難しいのが現実です。当社は新旧双方のネットワークを扱っているため、ネットワークKPIを安定して維持する必要があります。移行期間においては、業者、現場作業者、当社従業員などが一緒にプロジェクトを遂行し、円滑な進行を確保するようにしなければなりません。

将来のための多層ネットワーク

将来的には、当社はネットワーク・プラットフォームの多層的構築を視野に入れています。ノルウェーは広い国土全体に人口が散在している国です。人口に対するカバレッジを向上させるには、非常に多数の基地局が必要となり、ノルウェー国内99%をUMTSでカバーするのは非現実的です。当社は、900MHz帯のGSMネットワークを保つことで、音声通話およびM2Mサービスを継続的に維持する方針を取っています。実際、GSMは、2020年代まで利用される可能性があり、仮にUMTSがGSMよりも先にサービスを終了したとしても、驚くことはないでしょう。

間もなく、当社はUMTS/HSPA(2100MHz帯)のネットワークを、都市部とその近郊部のために導入し、スピードを21Mbpsに上げる予定です。スマートフォン利用者の増加に伴い、2100MHzのUMTSネットワーク構築は、以前の予想よりも重要度が増しています。UMTSについてはスマートフォン利用者の爆発的増加を見越すと、今以上の大きな容量と受信環境が必要です。

また、SingleRANソリューションの一環として、800MHz/2600MHz帯のLTEネットワークを構築予定です。具体的には2600MHz帯のLTEホットスポットはトラフィックの多い都市の中心部に、800MHzは全国を網羅するようにします。初期試験運用の感触では2600MHz帯は2100MHz帯よりも屋内における受信で優れていました。8 0 0 M H z 帯に関しても試験運用を行っており、前向きな結果が出ています。

音声通話がよりUMTS側に移行し、データサービスがより拡大した場合、1800MHz周波数帯はGSMからLTEに移行し、都市部およびその近郊地域を網羅することになるでしょう。屋内の受信地域の拡充については、一部地域でフェムトセルとピコセルを試験導入しており、その結果に応じて今後の適用を決定する見通しです。