このサイトはCookieを使用しています。 サイトを閲覧し続けることで、Cookieの使用に同意したものとみなされます。 プライバシーポリシーを読む>

中国電信(チャイナ・テレコム):IPTVのチャンスをつかむ中国電信広東

2009年、中国電信広東(カントン)のIPTVサービスは大幅に成長し、新規加入者は月平均4万人に達した。同加入者の累計は2010年第2四半期に100万人に到達、前年比の成長率は250%であった。

IPTVの市場が拡大する中国

市場調査会社のフロスト&サリバンによれば、IPTVは1999年のサービス開始以降、全世界の合計加入者はすでに2,000万人にもおよんでいる。2 0 1 2 年には5,500万人に到達すると予測されており、そのうち中国での加入者は800万人と見込まれている。中国電信はこの流れに乗って好調に事業展開しており、同社の子会社である中国電信広東はIPTV分野における先駆者のひとつである。

ただし、同事業は当初から順調だったわけではなかった。中国電信広東は2006年にIPTVの提供を開始したが、同年の加入者獲得数は4万人に留まった。

初年度のIPTV事業が伸び悩んだ主な理由としては、同国の政策によって制限を受けた国内IPTV市場の低成長、IPTVプラットフォーム向け機器ベンダー3社間の調整不足による質の低いユーザー・エクスペリエンス(不明瞭な動画イメージなど)、IPTVプラットフォームが提供するサービス数の少なさによる加入者へのアピール不足などが挙げられる。

IPTVプラットフォームの統合

2008年、中国政府はIPTVサービスに関する規制を緩和し始めた。中国電信広東はこれをチャンスととらえて、IPTVプラットフォームのアップグレードを開始した。同社は複数ベンダーからそれぞれの機器を購入する一方で、ソフトウェアの提供をファーウェイ1社にしぼり、プラットフォームの統合を図った。両社はIPTVサービスの共同開発に急ピッチで取り組んだ。

両社の専門家は、IPTVプラットフォームの詳細な評価結果に基づいてネットワーク性能とサービスの最適化に取り組み、動画品質の管理、素早いチャンネル切替、自動制御検査(インテリジェント・インスペクション)、損失パケットの再送信などの機能を追加した。その結果、ユーザー・エクスペリエンスが向上しただけでなく、同通信事業者によるサービス品質管理やスピーディな課題解決も可能になった。また、これらは大規模なIPTV開発の確固とした基盤となった。

中国電信広東は、複数ベンダーから調達する機器のスムーズな調整を確保するため、IPTVプラットフォームを標準化してオープンアクセスを可能にした。これによって同社のサービス提供の差別化を図れるようになったほか、サービスの市場投入期間も短縮された。

また、中国電信広東は、ファーウェイのネットワークの企画力および最適化における豊富な経験を活用し、従来型の基幹ネットワークをIPTVプラットフォームに統合した。エンド・ツー・エンドのOSS(運用支援システム)により、中国電信広東はユーザー・エクスペリエンスと運用効率をさらに向上させた。現行のネットワークは明確な構造を持ち、サービスの効果的な供給が可能で、同社のIPTVアップグレードと保守の作業負荷低減に役立っている。

また、課題となっていたSTB(セットトップボックス)の安定化に対応するため、ファーウェイは自社製STBの供給とSTBニーズを週単位で見積もり、中国電信広東の市場成長に合わせたサービス提供に大きく貢献した。

豊富なサービスとアプリケーション

中国電信広東は、IPTVプラットフォームの構築に加え、IPTVエコシステムの強化にも努めている。同社は国内コンテンツプロバイダーと共同してIPTVコンテンツとサービスの強化に取り組み、結果として顧客獲得数の増加に貢献した。中国電信広東は、現在、65以上のテレビチャンネル、1つのEPG(電子番組ガイド)、10以上の特別チャンネルを提供している。さらに、同社は1万時間以上のVOD(ビデオ・オン・デマンド)コンテンツ、24時間×3日のTVOD(TVオンデマンド)、2時間のタイムシフト制のテレビサービスも提供している。

マーケティング・プロモーションは、ネットワークの最適化とペースを合わせて進められた。中国電信広東の主導で合同プロジェクトチームが設立され、IT、マーケティング、営業、顧客サービスの各部門の人材と、SMG(上海メディアグループ)とファーウェイのスペシャリストがメンバーとして加わった。

中国電信広東はユーザーの習慣をリサーチするための街頭インタビュー、自社IPTVユーザーへのアンケート送付、既存IPTVプラットフォームのユーザー・データの抽出などの研究結果に基づいて各種パッケージを調整し、既存パッケージにサービスを追加した。また、チームは郊外エリアおよび企業向けの特別なIPTVサービスも開始した。これらのサービスには、レストランからの宅配、病院の診察予約、交通違反記録の照会の現地語化されたアプリケーションなどがあった。また、同チームは、PC、テレビ、モバイルといったマルチスクリーンのコンバージェンス、監視ビデオへのコンバージェンス、家庭内で楽しめるさまざまなサービスなどをはじめとする未来のIPTVサービスも研究している。

この取り組みの一環として、ファーウェイはプロジェクトチームに研究開発、保守、ビジネス・コンサルティング、ブランディング、SPマネジメントのスペシャリストを加えた。ファーウェイのメンバーは、戦略立案とプロジェクト実施に貢献し、中国電信広東のメンバーと共同でIPTVサービスの開発にも取り組み、共同体やホテル、企業を訪問してサービスを実演し、質疑応答などを行った。

高まるIPTVサービスへのニーズ

2009年以降、中国ではIPTVサービスの普及が急速に進んでおり、多くの個人ユーザーや企業を惹きつけている。中国電信広東は毎月平均4万人の加入者を獲得しており、IPTV加入者累計は2010年第2四半期に1 0 0 万人を達成し、前年比2 5 0 % の増加率だった。I P T V 接続の83%以上がアクティブに使用しており、ユーザーは週に10回以上IPTVサービスにアクセスし、1日平均5.52時間を視聴している。中国電信広東は、技術面、市場拡大の面で大きな貢献を果たしているファーウェイを「最優秀パートナー」と認定し、「ファーウェイは品質の向上、サービスの運営管理、顧客の獲得の面で当社に多大な貢献をしています」と述べている。