ファーウェイ創業者兼CEO任正非 英フィナンシャル・タイムズによる取材筆記録

2019年6月24日

Q1 記者: 最近、第二次世界大戦のIl-2という飛行機の写真が有名になっていますが、任さんはこの写真が大変気に入っていると聞きました。その理由を教えていただけますか。この写真にファーウェイの姿を重ねているのでしょうか。ファーウェイはこの飛行機のように多くの課題に直面しているとお考えですか。

Ren Zhengfei

任: この写真はある日偶然ネットで見つけたものです。そのサイトの説明ではこのオンボロ飛行機はなんとか帰還できたそうです。これを見て思わず当社の現状をこの飛行機の姿に重ねてしまいました。アメリカからの攻撃で当社はすでに満身創痍です。少しは覚悟しておりましたが、米国政府がこれほどまでに決意が固く、広範囲にわたって、綿密な計画で当社を容赦なく追い込むとは考えていませんでした。彼らは当社に対し計画的かつ全面的に攻撃をしかけています。アメリカはここまでしたたかであること、米国の各業界の結束力の高さも完全に私達の想像力を超えました。もはやいくつかのソフトウェアやチップの問題を通り越して、彼らはメディア、学術機関、そして標準化団体にまで圧力をかけ、私達を完膚なきまでに叩き潰そうとしています。

この飛行機はまさに私達の今の姿です。帰還を目指し揺るぎない決意も同じです。それでこの写真をダウンロードしました。もう少し画質の良いものを探しましたが、見つかりませんでした。

Q2 記者: 先週ファーウェイは「中核事業となるエンジンや燃料タンク」を保護するための措置を講じましたが、一部のコンポーネントについては準備が間に合わなかったと言ったそうです。断念する事業、または廃止する事業はすでに決まっていますか。

任: 第一に、ファーウェイはあらゆる面から対策を講じることができるほど十分なエネルギーを持っていません。不可能です。私たちは世界をリードするために最先端の部品を開発し、これらのコンピテンシーでシステムを構築する必要があります。このコアとなる部分はこの飛行機の「エンジンと燃料タンク」に相当します。これを築き上げるために10年あまりの努力を重ねてきました。ですから、簡単に崩壊することはありません。燃料タンクとエンジンが攻撃されたらおしまいですが、翼に穴がいくつか空いたぐらいであれば、なんとか生き延びてカムバックできます。ただし少しは飛行速度を落とさなければなりませんが。

アメリカはファーウェイのネットワークソリューション事業を狙い撃ちしているように思います。5Gはネットワーク事業のほんの一部に過ぎません。5G関連事業は当社が十分に準備してきたので、影響を最小限に抑えることができますが、コンシューマ事業は予想外にネットワーク事業よりも大きな打撃を受けています。しかし今はお客様の信頼を徐々に取り戻しています。その他の重要ではない製品については数年前からすでに事業の整理に着手しており、その余剰人員は主力事業分野に配置転換しています。

Q3 記者: アメリカのエンティティリストに追加されましたが、ファーウェイはこの新たな課題にどう対応していくのでしょうか。

: エンティティリストへの追加が原因でファーウェイが潰れることはないと信じています。我々は今(攻撃を受けた)飛行機を修理しながら前に進んでいます。もちろん大きな穴もあれば、小さな穴もあり、いずれも手当が必要ですが、時間の経過と共に完全に復活を遂げることができるでしょう。そこからまた新たな一歩を踏み出して成長していけると思います。

記者: 修復しなければならない大きな「穴」とは具体的にどういうようなものですか。

: もう穴だらけですよ。

記者: チップのことですか。

: チップは実は大した問題ではありません。多くのチップは自社製で間に合います。むしろ難しい技術を必要としませんが、準備をおろそかにしてきた一部の部品に影響が出ています。製品というのは一つでも部品が欠けては完成しませんから。

ハードウェアには大きな問題がありませんが、ソフトウェアには一部影響が出始めています。しかし世界的に見ればソフトウェア人材は非常に豊富です。中国を含む各国のソフトウェア産業の成長は著しく、ファーウェイもこれまでハードウェア向けの組み込みオペレーションシステムを中心にソフトウェア開発力を磨いてきました。当社はこの分野では先行しています。マクロアーキテクチャであるソフトウェア定義ネットワークには若干弱いかもしれませんが、仮にこれらの製品の供給が止め続けられたとしても、当社は「穴」を直しながら追いつくことができるでしょう。

Q4 記者: 米国からチップを輸入した他の中国企業から米国のチップを調達できると思っていますか。

: それでは、エンティティリストに違反してしまいます。エンティティリストは当社に物を売ることを規則違反だとしています。

記者: 彼らはそれを知る手段があるのでしょうか。

:過去20年の間、米国は当社の機器に対して予告なしに検査を実施してきました。 彼らは数行のコードを入力し、米国のコンポーネントが含まれているかどうか、そしてそれがファーウェイが約束するところに設置されたかどうかを検査するでしょう。 もし機器が行方不明になったり、約束された場所に設置されていなかったりした場合、彼らは当社を徹底的に糾弾するでしょう。 米国の部品を他のルートから購入することはできません。 仮に彼らが私たちに売ったら、彼らの会社も米国の捜査の対象になるでしょう。

記者: エンティティリストの影響はいつまで続くと思いますか。6か月、3か月?それとも他にも対策があるのでしょうか

: 当社は実際何年も前から調整を行ってきました。当社にとって最も重要かつ先進的な技術であるチップの開発能力を備えているため、事業全体が受ける影響は限定的です。一部の部品の開発にもそれほど時間がかからないと思います。また代替品として中国の部品を使用するという選択肢もあります。

米国の製品が当社にオープンに提供されてるのであれば、我々は米国のハードウェアとソフトウェアで最先端のシステムを作ることができます。しかし、米国の部品の使用が許可されていない場合は、中国や他の国々で製造された部品を使用しても世界最先端の統合システムを製造することが可能です。当社の総合力は世界的に見てもトップレベルだからです。

記者: つまり米国のエンティティリストに登録されても、ファーウェイはすべての製品を作り続けることができるということですか。

: すべてではありませんが、主力分野では一つも諦めません。世界をリードしている主力製品はアメリカからの供給に依存していません。

記者: 具体的にどういった製品を中止する予定ですか。

: 5G、光伝送、コアネットワーク、およびアクセスネットワークでは、米国の影響を受けないでしょう。光学システム分野では当社は世界のどこの市場よりもはるかに優れているので、そういう意味では米国に頼ることはありません。 5Gでは、私たちは他社に比べて少なくとも2〜3年先を行っており、この点でも米国の部品は必要ありません。

コアネットワークに関してはサーバーに多少の影響があるかもしれませんが、他は特に影響を受けません。当社のTaiShanサーバーは抜群のパフォーマンスを誇っており、間もなく大量生産され、当社のコアネットワーク構築に投入されるでしょう。エンティティリストによると、米国のx86サーバーは使用できないため、パブリッククラウド構築では一時的に影響が生じるのではないかと思います。

Q5 記者: HongMengという新しいオペレーティングシステムを開発したと言われています。このシステムはGoogleのAndroidシステムを置き換えることができると思いますか。

: まず、HongMeng OSは携帯電話向けではなく、自動運転や産業オートメーションなどのIoTアプリケーション向けに開発されたシステムです。この OSは、5ミリ秒、さらにはサブミリ秒までの低遅延を可能にします。

第二に、携帯電話のオペレーションシステムについては、当社は世界的にアクセス可能でオープンなオペレーティングシステムとエコシステムを使い続けたいと願っています。 しかし、米国がその使用を制限している場合は、当社独自のオペレーティングシステムを開発します。 OSにとって最も重要なのはエコシステムの構築です。 優れたエコシステムを構築するには2〜3年かかります。

当社は中国市場を足がかりにグローバルなエコシステムを構築できると確信しています。 まず、中国には巨大なアプリ市場があります。 他のインターネットソフトウェアと比較して、当社のシステムは圧倒的に低遅延を実現しています。 当社のOSを使ったアプリケーションがたいへん優れたパフォーマンスを示せば、彼らは当社とビジネスを行うことがあるかもしれません。 第二に、多くの中国のコンテンツサービスプロバイダーはこれまで海外を目指していましたが、うまくいかないことが多かったです。彼らの商品に当社のOSが組み込まれれば、海外での事業展開も可能になります。

記者: どういった生産向けアプリケーションがありますか。

: 先程申し上げたのはスマートフォン用アプリです。生産システムは別です。当社の生産システムも世界トップクラスです。

当社の携帯電話はエコシステムやアプリに弱点があるかもしれませんが、優れている機能もたくさんあります。 たとえば、当社のスマートフォンは、数学分野での研究成果のおかげで、カメラ、オールシナリオサービス、そしてAI技術は世界トップレベルです。 ファーウェイには数百人の数学者と数百人の物理学者がいます。 そして当社はオイラーラボを持っています。「オイラー」や「チューリング」のような偉大な数学者でなくても、彼らは間違いなく立派な数学者です。 数学者と呼ばれれる者は1人だけではありません。 世界には何千人もの数学者がいます。ファーウェイは膨大な数の数学者、物理学者、化学者、神経学者を必要としています。 彼らはきっと世界一のものを作ることができるでしょう。そしてそれらのものを必要とするお客様はいるはずです。

当社がエンティティリストに追加された後、海外でのコンシューマービジネスは確かに一時激減しました。 しかし、それは徐々に回復してきており、現在は元のレベルに近づいています。一方、 中国での売上は急激に拡大しました。 中国国民はファーウェイに同情し、当社の製品を購入してくれているようですが、それに対して私は「愛国精神のためにファーウェイ製品を買うのではなく、気に入った場合だけ買ってください」と言いました。

中国の若い女性は写真を撮るのが好きなようです。当社はこの分野に膨大な数の数学者チームを投入し、スマートフォンに世界最高のカメラを搭載しました。 良い写真はカメラのレンズに頼っていません。 人間の目は数億の「カメラレンズ」に相当しているため、画像は鮮明に見えます。どんなに高性能のカメラでも人間の目の代わりになれません。そこで私たちの数学者は、数学的方法を駆使し、数万、あるいは数十万ものカメラレンズを通して入ってくる光線を画像構成する電気信号に変換しました。 この数学的に計算された画像はかなりリアルに見えます。

当社はこれらの分野で世界をリードしています。 5月30日現在、すでに1億台を超える携帯電話を出荷しており、前年同期比で50日も早く、1億の目標を達成することができました。 もちろん、上半期の好業績が下半期の好調を保証するものではありません。米国が当社をエンティティリストに追加する前に当社の成長が急速に進んでいたためです。 5月から状況が急変しましたが、それまでの勢いが衰えず、次の2か月間も成長を続けました。下半期は事業の見直しを予定しているため、携帯電話の売上はある程度減少するでしょう。

記者: エンティティリストのため、中国、特にファーウェイの事業は総じて中国国内向けに方向転換する必要があるというふうに理解してもいいでしょうか。 今後2、3年で輸入は縮小方向に向かうのでしょうか。

: 輸入は多様化していくことでしょう。米国企業の当社への販売が許可されるならば、当社はまだ米国から買うでしょう。 米国の部品メーカーもワシントン当局に部品販売を申請しています。許可されたら、当社はこれまで通りたくさん購入し続けます。 しかし当社は同時に代替案も検討し、自社による部品開発を継続しています、当社が持っている高い研究開発能力で生き残る可能性が十分にあります。

Q6 記者: 5G市場、特にグローバル5G市場において、ノキアとエリクソンに勝るファーウェイの強みは何ですか。 価格、それとも技術ですか。ファーウェイのほうが安いというならば、その価格差を教えていただけますか。

: 当社の5G機器はエリクソンとノキアのそれよりはるかに高価です。同じタイプの機器であれば、当社の製品ははるかに多くの価値をお客様に提供できるため、より高価になります。当社が安い値段で販売するなら、同業者たちを市場から追い出してしまうことになりかねません。ですから当社はAppleのように高い価格で製品を売ることにしました。それで得た利益を従業員と株主に分配すると、彼らは怠慢になってしまうので、この資金の大部分を研究開発に費やし、その一部を大学に寄付して教授たちの研究を支援しています。これに関して、我々は、大学が政府資金を使って達成した研究結果を所有しているという米国のBayh-Dole法に倣って実施しています。

当社も大学の研究に資金を提供していますが、その研究成果を所有しようとしません。これで当社は理論的に他社より先を行くことができるかもしれません。 最も困難な時期でも、当社の研究開発費は150〜200億米ドルを下回ることはありませんでした。

資金が成果を生み出す原動力です。

Q7 記者: 海外からすでに46件の5G契約を締結し、15万局の基地局を出荷したと聞きましたが。

: 正確に言うと契約は50件で、15万の基地局を出荷しました。

記者: 年内の海外での5G契約件数はどのぐらい見込まれていますか。

: 当社は最も実用的かつ価値のある先進的な5G機器を提供するため、海外のほとんどのお客様はファーウェイの5Gを選択するでしょう。 20年以上にわたってファーウェイと一緒にやってきたお客様は、誰かの一言、二言に惑わされ、ファーウェイを諦めることはないと思います。

記者: 140の国の中で、ファーウェイの5Gシステムを選択する国はどれぐらいになると思いますか。

: 135、136ぐらいになるのではないですか。米国やオーストラリアはもちろん外れますが、欧州の殆どの国は問題ないのではないでしょうか。

記者 英国はどうですか。

: 問題ないでしょう。

Q8 記者: 英国はファーウェイのシステムのソースコードを検証しているそうですが…

: 完璧なシステムはありませんので、英国は彼らの懸念から当社のソースコードを検証しています。 英国は検証の結果、セキュリティーに関する問題点と脆弱性を指摘しただけです。お互いにセキュリティを確保するために努力しているのです。 英国は当社を拒絶するのではなく、単に当社のシステムに脆弱性があることを私たちに伝えているだけです。 彼らは真剣に問題を解決しようとして、決してきれいごとを言わないのです。 ファーウェイは英国で最も厳格なレビューを受けているため、その結果英国は当社のことを最も信頼できる企業だと考えています。

記者: ファーウェイにとっては多額の出費となるでしょう。どれ位かかるのですか。

: それは、もちろん、たくさんのお金がかかりますが、私は正確な数字を知りません。 但し言えることは、国や企業によってセキュリティに関する認識が違います。そのために、サイバーセキュリティには統一した標準がなければなりません。 ヨーロッパは、包括的なサイバーセキュリティ標準の策定を提案し、そのプライバシー保護標準、GDPRはすでにリリースされました。当社はもちろんそれを厳守します。

そのためには、ネットワークの再構築と再開発を行い、ネットワークのアーキテクチャとコードを変更する必要があります。 すべての製品のアーキテクチャを再設計するには約5年かかります。これは、会社全体で多大な努力を要することを意味します。 しかし、一新されるネットワークと製品のアーキテクチャーは極めてシンプルになるため、最も安全なネットワークを実現します。個人情報保護は最低でもGDPRに準拠します。この新しいアーキテクチャを使うと将来ネットワーク構築コストもかなり抑えられます。

当社がエンティティリストに追加される前は、2023年に売上高を2,500〜3,000億米ドルに増やす事業計画を立てました。エンティティリストの影響により、今後2年ほど収益は減少する可能性はありますが、その後の3年間で飛躍的に拡大し、当初設定した目標を達成する可能性も潜んでいます。

Q9 記者: ファーウェイは中国の5G市場で最大のシェアを獲得できると思いますか。

中国の通信事業者は当社のことをよく知っているので、当社は間違いなく中国市場で大きなシェアを持つことになるでしょう。 チャイナモバイルの最近のコアネットワークの入札では、エリクソンとノキアが合わせて約44%取りましたが、当社は50%ぐらいになります。 西側が最も懸念しているコアネットワークのサイバーセキュリティ問題ですが、中国は海外に対しオープンしているため、欧米企業もコアネットワークでこれだけ大きなシェアを獲得することができたのです。 これは中国が彼らを信頼しているからです。

英国は、コア以外のネットワークで当社の製品を使用することを許可するという正しい決定を下しました。 5G基地局は透明なものです。 パッケージされた情報は送信されている間は開かれず、アクセスネットワーク上でも開かれません。 コアネットワークに到着するまで開かれ処理されることはありません。 英国ではセキュリティの向上のために、コアネットワークに当社の製品を使用しないと提案していることについては理解できます。 しかし、世界一の先進性を持つ当社のコアネットワーク機器を使用しないことは、取り残される可能性があることを意味します。当社のコアネットワークが世界一だと自負しています。今後 競争力を維持するために当社のコアネットワーク機器を購入しても構わないと考えるお客様が増えていくと思います。

中国はコアネットワーク市場での独占を認めていません。最先端のコアでもノキアやエリクソンがシェアの44%を獲得しています。5Gでは当社は過度にシェアを奪うようなことはしません。他社にもチャンスを広げるようにしたいです。

記者: 中国の5G市場は今後巨大な市場に成長していくという見方が多いのですが、2年後、5年後はどの程度になると考えますか。

任: 中国市場だけについて予測するのは難しいです。 中国市場の規模に絞って考えたことは一度もありません。全世界では少なくとも1200万個の5G基地局を必要とすると思います。これはとてつもなく巨大な市場です、ですので私は将来の5G市場について非常に楽観的です。

記者: ファーウェイは中国の5G市場で優遇措置を受けていますか。

任: 受けていません。

記者: ファーウェイは中国だけでなく世界でも有数の企業です。中国で優遇されてもおかしくありませんが。

任: 中国は市場経済です。優遇措置はありません。中東のような豊かな国では、当社は少々価格を高く設定できます。 ヨーロッパでも、価格は同じようにかなり高いです。中国以外の国ではやや高めの価格設定になっていますが、中国国内では低めに設定しています。

記者: さきほどうかがった市場シェアの50%はコアネットワークだと思いますが、 基地局や他の機器も加えるとどうなりますか?

任: 中国はまだ5G入札を開始したばかりです。基地局のシェアについてはまだ明らかになっていませんが、他社より高い可能性があります。

Q10 記者: トランプ大統領のことについてお伺しますが、彼からもし電話がかかてきたら、その電話を受けますか。

任: 多忙な大統領のことですから、私に電話する時間などないでしょう。これは現実的ではないと思います。

記者: もし大統領が自ら進んで電話をかけたなら、お受けになりますか。

: 私は英語はわかりませんので。

記者: 通訳がいるのではないですか。

: 政治のことがわからない通訳、そして電子工学出身の私、みんな違う言葉を使うかもしれないので、意思疎通が難しくなる可能性があります。

記者: 仮にトランプ大統領が電話してきたら、彼に何を言うでしょうか。米国と中国の間の紛争、特にファーウェイに関する紛争はどのようなアプローチがあると思いますか。

: まず、彼は偉大な大統領ですが、私は何者でもありません。どうすれば彼に会えるでしょうか。 第二に、私も「穴の繕いに忙しいので、彼に会う時間がないかもしれません。 第三に、貿易問題は何億人もの人々の生活がかかっている国家問題です。 当社が関わる必要はありません。人々の利益を犠牲にするまで当社を救済するようなことはあってはなりません。 中国が貿易戦争でファーウェイのことを持ち出した場合、米国に利益をもたらすために譲歩しなければならないでしょう。 国はこれをすべきではないと思います。 ファーウェイが叩かれ、経営が少々苦しくなるかもしれませんが、その試練を乗り越えるために我々がいっそう努力し、意志もより強くなると思います。

Q11 記者: 米国政府がファーウェイに多くの困難をもたらしたことを我々は知っています。中国政府が中国でビジネスをするアメリカ企業を制限し続けると思いますか?

任: 米国は私たちにこれらの困難を与えることは実は私達を助けています。外圧のおかげで、私たちはこれまで以上に結束力が高くなりました。圧力が大きければ大きいほど、私たちはより強靭になり、柔軟になっていくことでしょう。これは鉄を打つのと同じです。過去30年間、比較的に順調に業績を伸ばしてきたため、今の当社は規模こそ巨大化していますが、筋力が足りないのです。ですので、米国の攻撃は当社の組織をより強固にし、社員の意志を強くしているでしょう。これは私たちの将来の発展にとって良いことです。私たちはもう恐れるものはありません。

中国が米国企業に対して報復するとは考えられません。中国が開かれた社会を継続することによってのみ未来があるのです。現在の状況は、米国が先進的な製品を中国に販売しないことであり、中国がアメリカの製品を購入しないことではありません。

中国が米国の先進企業から物品を購入しないのであれば、中国は自ら取り残される道を選ぶことになるでしょう。 戦略的に言えば、中国はより開放的になることはあっても、閉塞的になることはないでしょう。 中国の指導者たちのテレビでの談話から、私はそう読み取っています。 中国は、特に製造業分野において、 過去には合弁方式による参入が必須条件でしたが、 今は100%外資企業はいたるところに見られます。 彼らは独自の技術を使い、独自の製品を作り、そして彼ら自身でこれらの製品を販売しています。 中国はプラットフォームとしての役割でしかありません。

米国の200年の歴史は、なぜオープンであることが正しいかを示しています。 200年前まではアメリカは荒野でしたが、200年間にわたり、オープンな社会であり続けたために、多くの才能を惹きつけ、様々な制度が整備・改善され、社会全体に浸透しました。 これこそ米国を世界最強の国にした要因です。 中国は米国に学ぶ必要があります。

Q12 記者: 米中の貿易戦争についてお伺いします。ファーウェイが貿易協定に含まれることを望んでいますか? それは可能ですか?

任: 貿易交渉に含まれていることは当社にとってメリットがありません。米国では売上はほとんどないからです。 2つの巨大国がぶつかった場合、ファーウェイはそれらの間で揉まれる一粒のごまのようなものです。潰されるだけです。私たちは米国で事業を行っていません。それなのになぜ二国間の話し合いに引きずり出されなければならないのでしょうか。私達には「穴」の修復作業が待っているのです。 世界の貿易関係を研究するのに十分な時間もエネルギーもありません。

記者: 米国がファーウェイのエンティティリスト登録を解除し、米国企業のファーウェイへの輸出を許可をする可能性がありますか。

任: もちろん、そう願っています。ファーウェイをエンティティリストに追加する理由などありません。 私たちが何か罪を犯しているならば、裁判にかけられるべきです。 しかし、いかなる証拠も供されずに、弁論も裁判もないまま有罪判決が下されたのです。 米国政府がしたことは不公平です。 これでは米国が法治国家であると言えるのでしょうか。 エンティティリストからファーウェイを削除するのは当然のことです。 しかし、そうでなくても、我々はなにも恐れることはありません。 以前にも増して強くなっていくだけですから。

Q13 記者: HSBCは米国政府に協力していると言われており、それがファーウェイにとって多くの困難を引き起こしているのかもしれません。 ファーウェイとHSBCとの今後の協力関係についてどう思いますか。

任: まず、HSBCはファーウェイとの提携をかなり以前に終了しました。

第二に、孟晩舟には罪を犯した事実はありません。 同銀行は、最初からSkycomのこと、skycomのイランでの事業について知っており、Skycomとファーウェイとの関係も理解していました。 これは銀行とファーウェイの間の電子メールで証明できます。メールにはファーウェイのロゴがあります。 法的には彼らは騙されたと主張することも、何も知らなかったこともあり得ません。

なぜなら我々に証拠があるからです。孟晩舟がコーヒーを飲みながら何げなく放った一言は犯罪の証拠にはなり得ません。長年にわたるイランとの商取引の中で、孟晩舟はたまたまカフェでのディスカッションに一回加わったに過ぎません。 これは犯罪の告発の根拠にはなり得ません。 合衆国裁判所は告発者を調べる必要があります。 告発者が孟晩舟を検挙した根拠を示してほしいです。

現在の状況では、本件に関連する事実を浮き彫りにし、すべての証拠を提示する必要があります。 さらに孟晩舟はカナダで罪を犯していないため、カナダは法執行プロセスにおいては違法行為があります。 法治国家であるカナダは米国に忖度して憲法によって保証される個人の権利を侵害することを止めるべきです。 人々がカナダは法治国家であるとみなさなくなれば、国のイメージは深刻に損なわれる可能性があります。

私たちは事実と証拠に基づく欧米の法による支配を信頼してきました。有罪かどうかを判断するには事実と証拠しかありません。この問題は他の銀行とのパートナーシップに影響を与えません。 事実が明らかにされたとき、協力関係を再び探っていく必要があるでしょう。 金融はすでにグローバル化されたシステムなのですから。

黄淑琳: HSBCはファーウェイとの提携関係を解消した理由をファーウェイに説明しましたか。

任: HSBCから一方的に当社とのすべての取引を中止しました。一切説明もなくサービスを中止したので、他の銀行に切り替えました。

記者: このようなやり方は公平だと思いますか。問題が解決されたとき、HSBCとの提携を復活させることはありますか。

任: 世界は決して公平ではありません。力があるかどうかがすべてです。私たちはこれらの問題を解決する力を持っているので、どのように扱われるのか気にしません。今はパートナーシップについて議論する場合ではありません。重要なことはまず訴訟をを終わらせることです。

記者: 孟晩舟氏の訴訟は長引いています。次のステップはどうなると思いますか?米国はこの問題を早く解決すべきだと思いますか。

任: 孟晩舟は、あらゆる法的見地から無実です。彼女はアメリカに引き渡されるべきではありません。まず、この訴訟はまったく事実無根です。第二に、カナダはFBIの指示に基づいて孟晩舟を拘束しました。彼らは彼女の基本的権利を幾度もひどく侵害しました。第三に、孟晩舟の逮捕は、カナダが現時点でイランに経済的制裁を課していないため、カナダの引き渡し法の「二重犯罪」の基本原則に違反しています。第四に、引き渡し手続に影響を与える政治的要因がこの事件の公正さを損ない、また孟晩舟の法的権利を侵害するでしょう。

米国政府と連絡を取っていないというわけではありません。 いくつかの米国地方裁判所で米国政府を訴えました。これもコミュニケーションの一つです。我々は法廷で証拠を出すことによりコミュニケーションをとっています。 コーヒー一杯で決定を下すことはできません。 もしそうであれば、その国は法治国家とは言えません。

記者: 孟晩舟氏の父親として、電話で話す機会がありますか。 彼女にどのような慰めの言葉をかけていますか。

任: 彼女は毎日勉強しています。私はよく電話をかけますが、他愛もない話ばかりです。彼女は非常に強い女性ですから慰める必要はありません。米国は彼女を不当に拘禁しています。彼女を逮捕すれば必要とする証拠を容易に手に入れられると考えたのでしょう。

黄淑琳: 彼女はなにを勉強しているのですか。

任: 詳しいことはわかりませんが、いろいろ勉強しています。

Q14 記者: 米国が2013年にファーウェイを攻撃したことが報告されており、郭平氏もファーウェイのシステムが米国にハッキングされ、電子メールとソースコードが盗まれたと述べました。その問題について分析したことがありますか。

任: 当時、私たち自身のITシステムを開発したとき、アメリカの「レンガ」を使って自社の「万里の長城」を築くことを決めました。この「万里の長城」は、米国政府、中国政府、またはその他の世界中の政府に対する防御を目的として構築されたものではありません。彼らが私たちのシステムを覗くだけであれば、被害は起きないでしょう。悪意のある競合他社が当社の企業秘密を盗むのを防ぐために、当社は「万里の長城」を構築したのです。この壁がすべての政府に対する防御のためなのであれば、非常に厚く、高額なものになるでしょう。

米国政府がハッキングする価値のあるものは何もありません。当社はなにも悪いことをしていないからです。彼らが何か問題を見つけて私たちに指摘してくれれば、システムがより堅牢になるように修正を行います。それで、米国政府が我々のサーバから何かを持って行くかもしれないというような心配はしていません。

Q15 ホワイトハウスでは、ファーウェイが人民解放軍と中国の国家安全部に関係していると主張している議員がいます。孫さんも国家安全部で働いていたと言われています。これについてどのように釈明しますか。

任: アメリカでは、軍隊で働いた多くの人々が退役後に企業に就職し、要職に付く人もたくさんいます。 中国よりもアメリカのほうが一般的ではないですか。私がかつて兵士だったのは事実ですが、それはファーウェイが軍隊と関係があるという意味ではありません。孫も、中国の国家安全部の技術者として200ラインスイッチの設置を担当していましたが、それ以外の経歴はありません。そうでなければ、彼女は軍の仕事を辞めなかったでしょう。中国が改革開放政策を実施した後、政府機関の仕事を辞め、事業を始めた人はたくさんいました。

ファーウェイは中国の軍事または国家安全部とは一切関係がありません。中国政府との関係は非常に単純です。私たちは法律を遵守し、法律に従って税金を支払います。 それ以外に関係はありません。

ファーウェイは完全に独立した会社です。私たちの成功が中国政府との関係によるものであれば、中国はもっと繁栄しているでしょう。中国政府との関係を結んでいる会社はたくさんあるからです。世界のリーダーになるという決断を含めて、当社は自身の意志で目標を決定し、自力でここまで来ることができました。

Q16 記者: ファーウェイの売上と利益について今年は300億ドルほど売上が減少すると先週うかがいましたが、利益の見込みを教えていただけますか。

任: 2019年の事業計画では、今年の当初の売上予測は確かに1350億ドルでしたが、現在では約1000億ドルまで減少する可能性があります。当期純利益は80億米ドルぐらいになるのではないですか。実は、報告する時間があったら仕事しなさいと財務担当者に言って報告をやめさせたのです。彼らの報告書の数字は私の予想をはるかに上回っていましたからね。

記者: エンティティリストの影響は大したことはない、ということですか?

任: 当初の来年の売上予測は1,500億ドルを超えていましたが、現在は約1,000億ドルに修正されています。今年、従業員数は18万人から19万4千人に拡大する計画です。なぜ大幅に増やす必要があるかというと、製品の多くを段階的に廃止し、新しいバージョンをリリースするためにR&Dやサプライチェーン、販売、サービスなど多く分野で人手が必要になるからです。7月と8月には、1万人以上の新卒者入社します。様々な困難が待ち受けていますが、前に向かって前進していかなければなりません。

記者: ファーウェイはたいへん人気のある企業で、1つの職種の募集に2万人応募すると聞いています。この数字は合っていますか。

任: それは少々大げさです。ファーウェイに来たい人は歓迎しますが、選考もあります。華為(ファーウェイ)大学は採用試験システムを開発しました。面接を受ける前に必要な試験に合格する必要があります。たとえば、国際的なプログラミングコンペで金メダルを獲得した場合、初任給は通常の5倍または6倍になる可能性があります。毎年その大会で金メダル受賞者がわずか40人しか出ないそうです。当社は今年彼らのような人材をたくさん獲得し、グーグルよりも高い報酬を提示しました。また、今年は何人かの才能あふれる青年を採用し、来年はさらに多くの若い才能が当社に加わるでしょう。米国が世界に誇るものは土地ではなく人材だと思います。私たちも米国に学び、より優秀な人材を取り込めるよう頑張っています。将来的には、より多くの人材がファーウェイに集まってくれると信じています。

記者: おっしゃっていた若い人材のなかには海外出身もいますか、何人ぐらいですか。

任: 中国、海外の両方です。 もちろん彼らはみんな金メダルを獲得したわけではありません。 銀メダルや銅メダルの受賞者もいます。 世界的なコンペティションには、毎年5万人が参加しています。5万人からまず4,000人を選び、数回の選考を経て最後に40人が残ります。 これらのコンペティションの中国人参加者はまだ十分ではありません。 中国は、これらの国際大会にもっと多くの大学生が参加するよう奨励すべきです。競技会はきちんとしたルールのもとで運用されており、厳格なコーチもついています。能力評価や、教育手法の改善にも役立つ運営システムが確立されてます。 これらの人材がファーウェイに加われば、組織を活性化させ、チームに新たな刺激を与えてくれるに違いありません。

記者: さきほど世界のソフトウェア市場は非常に柔軟になっていると述べました。米国の通信事業者やパートナー企業からも採用しましたか。

任: 原則として、アメリカ人を採用することはありません。 米国籍、米国のグリーンカード保持者、または永住権を持っている人であれば、アメリカの要素を持っていると見なされる可能性があります。彼らを採用することは、当社が米国政府からの域外適用管轄権の対象となるリスクがあります。

記者: これらの企業から人を採用しないのですか。

任: 採用しません。アメリカ政府は域外適用管轄権があるため、 米国の何らかの身分を持っている人を雇う場合、彼らの仕事の結果は米国の輸出管理法の対象となる可能性があります。

Q17 記者: 多くの政府は現在、ハイテク企業にデータの引き渡しを要求しています。 たとえば、米国政府は、Appleにユーザーデータを渡し、携帯電話のロックを解除するよう求めています。 中国政府がユーザーの利益に反する可能性のある合法的な要求を提起した場合、どのような対応をしますか。

任: Appleが私たちの手本です。

記者: ファーウェイはAppleのように政府と戦うのですか。

任: いいえ。Appleは実際携帯電話会社というより、インターネット会社であり、一種のキャリアです。 通信事業者のみがユーザーデータを把握できます。Appleはプラットフォームを確立し、そのプラットフォームを利用するエコシステムがたくさんあります。Appleはそのデータを所有しています。当社はネットワーク機器を顧客に販売した後、当社の機器を介して送信されるすべてのデータはキャリアによって管理されています。 当社はデータを所有していません。 主権国家は自国のデータを管理する権利を持っていますが、他国のデータを管理することはできません。

記者: 政府から携帯電話のロック解除を求められたら、ファーウェイはどう対応しますか。

任: データはユーザーが自分で管理していますから、私たちがロック解除できるはずもありません。データはユーザーのものであって、当社のものではありません。 通信事業者はすべてのユーザーを追跡する必要があります。そうしないと通信は成り立たないのです。 ユーザーデータを追跡するのは通信事業者の義務です。 しかし設備プロバイダーである当社はデータを追跡する必要がありません。ですからこの問題は私たちには当てはまりません。

記者: しかし、ファーウェイはオペレーティングシステムをよく知っているので、ロック解除を手伝うこともできるでしょう。中国政府から法に則ってなにかを求められた場合、それを拒否できますか?仮に拒否した場合、刑務所に入れられることもありますか。

任: なぜ同意する必要があるのでしょうか。私たちは決してそのようなことはしません。私が一度でもそれに同意したなら、米国はそれを証拠に世界中で私たちを糾弾することになるでしょう。そうすれば当社が取引している170の国と地域のお客様は当社の製品をボイコットし、会社はたちまち崩壊します。社員は有能な人ばかりなので、起業したり、他社に就職したり乗り切れますが、私一人では借金を返せませんので。死んだほうがましです。

ミュンヘンの安全保障会議で、中国共産党中央委員会の政治局のメンバーであり、CPC中央委員会の渉外委員会の事務局長である楊潔篪は、政府は企業にバックドアを仕掛けるよう求めることはありませんと述べました。また、李克強首相は、最近の全国人民大会の後の記者会見でその立場を繰り返しました。李克強首相がクロアチアでの今年の16 + 1サミットで私たちのブースを訪れたとき、彼は私たちのスタッフにバックドアを設置しないように言いました。中国政府は、いかなる企業にもそのようなことを求めないことを明確にしています。

現在EUは、すべての機器ベンダーや通信事業者に、その機器やネットワークにバックドアがないことを保証することを要求する統一規格を策定する準備を進めています。当社はその取り組みを全面的に支持しており、率先してその協定に署名したいのですが、 残念ながら、まだ署名できる段階ではありません。世界中の機器ベンダーや通信事業者の合意を得たうえでEUでシステムを確立する必要があるからです。 しかしこれは素晴らしいアプローチだと思います。

記者: ユーザーデータに関するご見解に少々驚きました。 TencentもAlibabaも、求められればユーザーデータを中国政府に引き渡すと公に表明しています。 これらは合法的な要求であって受け入れなければならないとも述べています。 この点でファーウェイは違うのでしょうか。

任: 例えば蛇口や水道管を売っている会社に水を提供してくださいと求めることはないでしょう。 TencentとAlibabaは情報の源なので、「水」を求められることもあるでしょう。 しかし当社は違います。当社は「金物屋」ですので、水の提供を求められても仕方がありません。 私達は設備を販売するだけです。 データは私たちのシステムではなく、あなたの携帯電話に保存されています。

Q18 記者: エンティティリストに関して、コアサーバーの一部の部品の現地化生産は困難だと述べましたが、最も修復が難しい「穴」は何ですか?直るまでどのくらい時間がかかりますか? 4年、5年、それとも10年。

任: そこまで長くかかりません。 x86サーバーが使えない場合は、自社のサーバーTaiShanで代用できます。当社のサーバーもなかなか優れています。

記者: では、修復が難しい「穴」とは

任: 修復作業は着々と進めているところです。特に難しい問題もありません。だからこうして皆さんとここで談笑することができるのです。深刻な問題があれば、こんなに悠長にかまえていられないでしょう。

記者: 既存のサプライチェーンへの依存から解放されるのにどのくらいの時間がかかりますか。

任: それは長くかかるとは思いません。問題のほとんどはすでに解決されています。

記者: どのような方法でこれらの「穴」の修復をしますか?また、もっと人材が必要でしょうか。

任: まだわかりません、当社はたくさんの社員を抱えています。一部の周辺事業を整理し、余剰人員を主力事業に転換させます。

記者: 米国は世界でチップの設計とソフトウェア市場を独占しています。このようなハイエンドな分野でも自力で賄えますか。

任: これらのツール、ソフトウェアの無期限ライセンスを取得しています。特に問題がありません。しかし将来的にバージョン更新時に影響があるかどうかについてはなんとも言えません。

Q19 記者: 米国の要求をのむことは一切ないですか。

任: 無条件での孟晩舟の釈放、エンティティリストの削除以外に話し合う余地はありません。あとの問題は裁判所に任せます。

Q20 記者:米国は5Gを最も重要な「戦場」の1つと考えています。 任さんは先ほどIoTに言及しました。 ファーウェイは将来IoTの世界標準の策定に取組む気持ちはまだありますか。

任: もちろんです。IoTは5Gよりもさらに可能性が大きいですから。

記者: ファーウェイがIoTで世界的な「王者」になったら、アメリカはどうすると思いますか?

任: 彼らはまた仕掛けてくるでしょう。

記者: どのように?

任: 彼らはたくさんの牛肉を食べるから強いです。 簡単には疲れないので、ラグビーをやると彼らに完敗するでしょう。 彼らはその溜まったエネルギーを発散する必要があるでしょう。

黄淑琳: しかし彼らは卓球は苦手です。

任: 卓球はそれほど消耗しません。やはりラグビーのほうがたくさん体力を消耗します。

Q21 記者: ファーウェイはアメリカに友人がいますが、声は小さいです。たとえば、米国の多くの半導体会社やキャリアはファーウェイを支持しています。彼らはファーウェイのために結束してホワイトハウスに働きかけていますか。

任: 彼らが何をしているのかはわかりません。私達は今「穴」を繕うことに専念しています。当社は今成長を追求することから、生存のために戦うことに切り替えました。最先端の未来技術を作るために科学者たちを集めて、彼らを重要な課題と困難な問題の解決に当たらせます。彼らの能力なら簡単にかつ短期間で問題を解決することができるでしょう。

記者: 彼らと一緒に計画や戦略を立てたりしますか。

任: 購買チームが彼らと話をしているでしょう。契約を締結したり、発注したりする必要がありますから。ワシントンがいつか取引の再開を許可してくれることに備えて、発注し続けています。そうすれば、許可が降りたらすぐに商品を出荷することができます。サプライチェーンとはコミュニケーションを継続する必要があるでしょう。

記者: エンティティリストを考えると、ファーウェイはいま多くの不確実性に直面していると思われます。ファーウェイの 5G基地局を大量に購入する予定の通信事業者は、今の状況では慎重になり躊躇するようになっているかもしれません。どのようにして自社製品を購入するよう説得しますか。

任: 説得する必要はありません。実際、多くのキャリアから注文が殺到しています。

記者: 彼らは不確実性の影響を受けていないということですか。

任: 彼らとは20〜30年間仕事をしてきました。私たちは信頼で固く結ばれています。

Q22 記者: アメリカ政府とアメリカのハイテク企業の関係、そして中国の政府と中国のハイテク企業の関係の最大の違いは何だと思いますか。

任: 中国政府は、法的枠組みと課税制度を通じて民間企業を管理しています。企業の経営活動に介入することはありません。米国政府はなぜそこまでこと細かく企業に首を突っ込むのかわかりません。姑のような小言ばかりいうと、お嫁さんは逃げてしまうかもしれませんよ。