【寄稿】ファーウェイ輪番会長 胡厚崑:デジタル世界における信頼は標準と検証可能な事実に基づいて構築されるべき

2019年3月5日、ファーウェイ 輪番会長胡厚崑(ケン・フー)がBrussels Timesに以下の記事を寄稿しました。胡厚崑(ケン・フー)は、ファーウェイ取締役副会長兼輪番会長であり、2011年からファーウェイのグローバルサイバーセキュリティおよびプライバシー保護委員会(GSPC)の会長も務めています。これは、ファーウェイのセキュリティとプライバシーに関する取り組みの全体的なガバナンスを担う組織です。

信頼は健全なデジタル環境の基盤です。しかし、テクノロジーが進化するにつれ、信頼の構築はますます困難になります。通信事業者はかつて閉じられたネットワークを運用していましたが、現在はインターネットに接続されたオープンなネットワークを運用しています。スマートフォンやその他のデバイスがネットワークに接続されると、ネットワークは以前よりも大きな攻撃にさらされます。世界にはサイバーセキュリティに関する共通の統一した理解が存在しないため、ステークホルダーごとに異なる期待があり、各自の責任もばらばらです。

同時にテクノロジー業界全体においても、セキュリティ標準と検証システムは統一されていません。ネットワーク機器やスマートフォンには、異なる規格や古い規格を使用している国の部品が含まれており、国家レベルでのセキュリティ標準や検証システムへの投資が急務となっています。また、一部の国では、サイバーセキュリティの管理には法的な支援がありません。

信頼は感情です。しかし、サイバーセキュリティに関しては、信頼と不信は事実に基づくべきものであり、感情、憶測、根拠のない噂に基づいてはなりません。事実は検証可能である必要があり、検証は標準に基づいて実施されるべきものです。

こうした考えが、今回ファーウェイがブリュッセルでサイバーセキュリティトランスペアレンシーセンターを開設した理由です。このブリュッセルのセンターは英・バンベリー、独・ボン、UAE・ドバイ、カナダ・トロント、中国・深圳にある既存のセンターを補完する役割を担い、セキュリティに関するコミュニケーションに加え、セキュリティ標準と検証メカニズムに関するコラボレーションや革新のためのプラットフォームを提供します。また、お客様はこのセンターでファーウェイの機器の検証とテストを実施できます。

こうした取り組みは最終的な目標に向けた基盤の構築に役立ちます。その最終的な目標とは、ネットワーク機器のセキュリティを評価・証明するための統一された標準を策定することです。すべての通信機器ベンダーが遵守すべき共通の標準が存在することで、各国は通信製品や通信サービスのセキュリティを客観的に評価することができるようになります。非技術的な問題により、政策立案者が誤った判断を下したり、サイバーセキュリティを保護主義の言い訳にしたりするような政治的圧力は発生しなくなります。

たとえば、政府が主要なベンダーを市場から排除した場合、競争が減少してコストが増加し、企業は投資を縮小せざるをえなくなります。全体的なイノベーションが低下し、最終的に消費者は品質の劣る製品やサービスに対してより高い対価を支払うことになります。一方で、サイバーセキュリティの統一した標準があれば、企業や各国の政府を資する競争とイノベーションが促進されます。

ファーウェイは欧州の政策立案者がネットワークセキュリティを強化し、関連する標準を定義する方策を模索する過程を支援しています。また、彼らがこうした重要な任務を追求するなかで、必要に応じて当社のリソースと専門知識を活用してもらえるような態勢を整えています。

欧州の規制当局はサイバーセキュリティでも同様のメカニズムを推進できるはずです。いずれは欧州で共通のサイバーセキュリティ認証フレームワークが構築されることを願っています。こうしたフレームワークにより、欧州のセキュリティ環境向上に向けた目標設定が可能になり、各業界の大手企業と欧州の現地企業、とりわけ中小企業がセキュリティ機能を向上できるようになるでしょう。

ファーウェイは欧州の政策立案者がネットワークセキュリティを強化し、関連する標準を定義する方策を模索する過程を支援しています。また、彼らがこうした重要な任務を追求するなかで、必要に応じて当社のリソースと専門知識を活用してもらえるような態勢を整えています。

テクノロジーは成長を促進し、生活水準を向上させます。一方、政治はテクノロジーの利点を評価する我々の能力を蝕み、論理ではなく感情に基づいて誤った決断を下すリスクを増大させます。

検証のための統一した標準は信頼を強固にし、デジタルエコシステムの定着と成長を可能にします。政府、標準化団体、通信事業者、テクノロジープロバイダーは標準の策定に向けて協力しなければなりません。こうした標準により、社会は政治を脇に置いて透明性を高め、信頼できるデジタルシステムを使用して共通の目標に向けて動きだせるようになります。