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スマートシティの未来

2017.12.19

IoTであらゆるものがネットワークにつながり、ビッグデータとAIでこれまでにない知見が得られる――
こうした新時代のICTは、人々の生活を、そして人々が集まる都市の機能をどう変えていくのでしょうか。
スマートシティの急先鋒、ドバイからのレポートと、ファーウェイが世界各地で展開するスマートシティ・ソリューションの事例から、より“つながった”都市の未来を探ります。

01 スマートシティで「世界一幸せな都市」を目指すドバイ

山根康宏 (やまね やすひろ)

香港を拠点とし、世界各地で携帯端末の収集とモバイル事情を研究する携帯電話研究家・ライター。1,500台超の海外携帯端末コレクションを所有する携帯博士として知られるが、最近では通信技術やIoTなど広くICT全般へと関心を広げ、多岐にわたるトピックをカバーしている。『アスキー』『ITmedia』『CNET Japan』『ケータイWatch』などに連載多数。

中東各国が力を入れるスマートシティ

オイルマネーで潤う中東各国。だが石油頼みの経済発展には先行きの不透明感があり、各国は「脱・石油経済」を目指して2000年代初頭からさまざまな動きを見せている。中でもアラブ首長国連邦(UAE)の首長国のひとつ、ドバイでは、都市全体をICTインフラで整備し、官民問わずあらゆる情報をインターネット上で利用できる「スマートシティ化」による都市の活性化を急速に進めている。

スマートシティの従来の概念は、電力の有効利用や電気自動車などを利用した新しい交通システムなど、ICTを利用した都市のインフラ部分のインテリジェンス化だった。だが現在はそれだけにとどまらず、新たな投資の呼び込みや雇用機会の創出、また高速通信網により人と人・モノが常に“つながった”社会を実現できることから、都市の経済力を高めるソリューションとして世界各国で導入の動きが進んでいる。世界経済フォーラムの研究によれば、国のデジタル化が10%進めばGDPを0.75%押し上げる効果があるという。スマートシティ化を通して都市の通信インフラの整備が進むことは、経済力の向上に大きく寄与するのである。

アジアでは2020年夏の東京オリンピックと前後して、韓国・平昌と中国・北京で冬季オリンピックの開催が予定されており、これにあわせて各国で5Gへの投資やスマートシティ化の動きが活発化している。一方、中東では2020年のドバイ万博、2022年にドーハ(カタール)で開催されるFIFAワールドカップに向けて、アジアと同様にICT関連への投資が急ピッチで進んでいる。

Huawei in Dubai ~ 5G

世界各地で5Gをリードするファーウェイは、ドバイでも通信事業者と協業を進め、2020年の商用化を目指しています。GITEX 2016ではエティサラットと中東地域で初めてミリ波を用いた5Gフィールド・テストを実施しました。

電子政府化からスマート・ドバイへ 利便性向上に加えコストも削減

通報やモニタリング、顔認識ができる「ロボコップ」は2017年の導入を目指す

ドバイのスマートシティ化の動きは早く、2000年には『ドバイ・インターネット・シティ』(DIC)が設立された。DICは海外からのICT企業を呼び込むためのフリーゾーンで、域内では法人税の免除など外資への手厚い優遇を提供、あわせて高速な通信インフラも整備された。これは脱・石油を目指すドバイ政府が、1980年代に取り組んだ経済特区内の工場誘致による工業化、1990年代の空港や港湾整備による貿易都市化に次ぐ第三の都市の成長を目指したもので、当時の言葉で言えば「ニューエコノミー・ハブ」として都市の成長を図ろうと考えたものだ。

これにあわせるように、翌2001年にはドバイ政府が電子ポータル・サイトを立ち上げ、電子政府化の第一歩を踏み出した。2004年には年間の利用回数が400万回を超え、人口250万弱の住民が年に1回以上サービスを利用した計算となる。会社設立や貿易業務などをオンラインで済ませることが可能になっただけでなく、市民の電子政府への参加意識を高める効果も生み出した。ネット上の選挙活動も2006年には解禁されている。

しかしその後ドバイは2008年9月のリーマン・ショックを受けて経済成長が失速し、ドバイ・ショックを経験する。これにより、過去のドバイの成長が外的要因に大きく依存していることをさらけ出す結果となった。最終的にはUAE最大の首長国、アブダビがドバイへ金融支援を行うことで決着を見たが、ドバイ政府は国力を強化する必要に迫られることになった。

そこでまず取り組んだのが電子政府化をさらに一歩進め、インフラだけではなく情報そのものを共有し、通信ネットワークで政府と国民とをシームレスに結ぶ『ドバイ・スマート政府イニシアチブ』の立ち上げだ。2013年にはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末から24時間365日、休日や夜中でも公共サービスを利用できるようにした。主なサービスは、政府関連の支払いが24時間利用できる『ePayment』、政府へ市民から直接の提案ができる『eSuggest』、政府への苦情システム『eComplain』、政府各局への問い合わせができる『AskDubai』、政府が提供するモバイル決済ポータル『mPay』など。スマート政府により役所関係のサービス申請や情報配信は完全なペーパーレス化を実現した。

そして2015年には『スマート・ドバイ』イニシアチブが発足。ドバイを世界で最も進んだスマートシティとすることを目的とし、ドバイ国民だけではなく、海外からの観光客やビジネス渡航者であってもあらゆるサービスをインターネット経由で利用できることを目標としたものだ。さらに、スマート・パーキングを活用した渋滞の低減や、電気需要を予測して発電所の稼働を自動コントロールするといったエネルギー利用の効率化まで、世界で最も進んだ都市への進化を目指している。

ちなみに政府のスマート化は国民の利便性を上げるだけではなく、コストの大幅な削減も可能にしている。無駄なハードウェアの統合、ソフトウェアの共通化、ペーパーレスによる書庫の廃止など、電子政府化関連によるコスト削減の総額は2003年から2015年の13年間で43億ディルハム(約1,290億円※)にも上る。つまり年間約100億円ものコスト削減効果をもたらしているのだ。

スマートフォンから緊急通報できるドバイ警察のアプリ

景観に溶け込んだヤシの木型の多機能ホットスポット

UAE全体ではすでに携帯電話が1人1台以上普及しており、2015年の時点で加入者数1,794万人、普及率187.3%となっている。この中には人口の2倍以上となる海外からの渡航客も含まれているだろうが、ドバイ市内を走る地下鉄車内では実際に1人で2台のスマートフォンを利用している市民もよく見かける。なお、2011年から4Gサービスが始まっており、2大モバイル通信事業者エティサラット(Etisalat)、ドゥ(du)ともにポストペイド、プリペイドの両方で提供している。

また市内には200を超えるWi-Fiのホットスポットがあり、主要なショッピングモールなども独自のホットスポットを整備しているため、携帯電話のローミング・サービスを利用しなくとも快適なインターネット・アクセスが可能だ。これに加え、現在約50基が設置されている『Smart Palm』が今後、市内各所に増強される予定である。

Smart Palmは、ヤシの木をモチーフにしたWi-Fiのホットスポット。葉っぱに見立てた9枚の羽根には太陽電池が搭載されている。また幹の部分には360度見渡せるIPカメラが設置されており、警察からの監視カメラとして利用されるほか、緊急通報ボタンも備える。さらには大型ディスプレイを内蔵し、ウェブ・ブラウザーを起動して周辺情報や地図の検索、電子政府サービスを利用することもできる。このSmart Palmのすぐ横には数名が座れる休憩用の椅子が配置され、そこには2.5倍の速さでスマートフォンなどを急速充電できるUSB端子も用意されている。

Smart Palmはホットスポットや情報ステーションとしての役割だけではなく、景観を考えたデザインになっており、都市の中に溶け込むスマートシティの基幹インフラのひとつとして今後重要な役割を果たしていくだろう。2020年のドバイ万博開催時には、上述の2社が5Gの商用サービスを開始する予定である。現在のSmart Palmは光回線を利用しているが、いずれ5Gに置き換わり、これまで設置できなかった場所への導入も進むだろう。

Huawei in Dubai ~ スマート街灯ソリューション

ファーウェイのスマート街灯ソリューションは、ドバイのICT経済特区『ドバイ・シリコン・オアシス』で2016年6月から導入されています。Wi-Fiホットスポットや監視カメラ、デジタル・サイネージのほか、気温、湿度、大気質をモニタリングする環境センサーも搭載。設置場所の明るさや天候などの条件に応じて輝度を調整することで、電力効率の向上も実現します。

通報アプリやスマート街灯でより安全な都市に

では実際にドバイのスマートシティ化はどこまで進んでいるのだろうか。2016年10月にドバイで開催された『GITEX Technology Week』にはドバイ政府が出展し、スマート・ドバイのデモンストレーションが多数行われていた。スマート・ドバイの事務局長を務めるアイシャ・ビン・ビシュル(Aisha Bin Bishr)博士は、スマートシティ化の目的は「ドバイを世界一幸せな都市にすること」であり、そのためにはユーザー目線のサービスを提供することが重要と説明した。ターゲットはサービスを利用する国民や来訪客であり、利用者からのフィードバックを定期的に反映し、常にサービスの向上に努めているそうだ。

実はUAEはスマートフォンの普及率が世界で一番高い。他国からの労働者の移民や長期滞在者であっても、豊富な中古端末やローカル・メーカーの安価なスマートフォンを購入することができる。電子政府サービスを必要とする利用者はほぼ全員がスマートフォンを持っていると言ってもよい。そのため、スマート・ドバイのサービスにはすべてスマートフォンのアプリが用意されている。パソコンを持つ必要はないのである。

例えばドバイ市内の路上で喧嘩のトラブルを見かけたとしよう。ドバイ警察が提供するアプリを立ち上げ、通報ボタンを押すだけでGPSにより現在の位置情報が正確に警察に通知される。通報時に余裕があれば、そのトラブルが喧嘩なのか、薬の売買なのか、といった具体的な内容も5種類のアイコンから選ぶことができる。あるいは通報中に自分がトラブルに巻き込まれた時は、SOSアイコンをタップすれば、付近を巡回中の警察官がすぐに駆けつけるようになっている。今後は通報データを解析し、トラブルがよく起きる場所の警察官の巡回強化や道路の配置変更、街灯の追加などを関係機関に自動通知できるシステムへとアップグレードする予定とのこと。

なおドバイ市内にはすでに監視カメラを搭載した街灯もテスト的に設置されている(下記囲み参照)。この街灯にはデジタル・サイネージも内蔵されており、付近の商業施設やシーズンに応じた広告の配信、広告掲載によるマネタイズも考えられたものとなっている。Smart Palmとあわせ、いずれは市内全域をモニタリングできるようにする計画だという。

ただし、プライバシーの問題は懸念事項だ。設置場所や収集データの扱いについては今後慎重に検討を行う必要があると関係者は考えている。とはいえ市内にカメラの設置が進めば、いずれは顔認識システムを組み合わせることで、指名手配犯の発見やトラッキングも可能になる。このスマート街灯ではファーウェイのソリューションがテストされている。またNECはGITEXで顔認識システムのデモを行っていた。これらの企業と警察や関連機関との協業によって、都市をより安全に、しかも低コストで運用することが可能になるだろう。

GITEX 2016のスマート・ドバイの展示。各省庁のサービス・アプリが多数紹介された

勤怠管理から訴訟手続きまであらゆるサービスをアプリで提供

また、ドバイ政府に勤務する公務員は、『Smart Employee』アプリで勤怠管理や業績評価などの人事業務をスマートフォン上で実施している。休暇などの申請ができるほか、通院休暇のために病院の診断書が必要な場合は病院から電子書類を取り寄せて添付することも可能だ。病院の電子化も進んでいるため、過去の通院や診療記録といった情報がオンラインで入手できるのである。事故やケガの際に保険の申請のための書類を病院へ取りに行く必要もなく、通院時に長時間待たされることもないという。スマートシティが目指す「インフラの整備を通じて、市民生活を便利なものにする」実例のひとつと言えよう。

今後はこのアプリを企業向けに提供することも計画されているそうだ。そうなれば、アプリに記録された個人の業務経験や能力などの情報を継続的に活用できるようになる。例えば転職時に応募企業に履歴書を出す必要もなくなる。採用担当者は応募者のこれまでの職歴、給与、スキルなどをアプリで確認できるのだ。採用の通知やその後の退職手続きまで、すべてアプリ上で済ませられるようになるという。

他にも水道や電気料金の確認と支払いから、裁判の際の弁護士や過去の判例の検索、訴訟手続きまで、生活に必要なあらゆるサービスをスマートフォン・アプリから行うことができる。支払いには政府主導のモバイル・ペイメントサービス『e-Dilham』が利用でき、クレジットカードや銀行口座を紐づけてスマートフォン上からそのまま決済ができる。Bluetoothビーコンを使い、マスターカードと提携した『Beam Wallet』が小売店を中心に普及するなど、実はモバイル・ペイメントサービスでもドバイは進んでいるのだ。

中東らしいサービスとしては、『スマート・モスク』がある。これは訪問したモスクに掲示されているQRコードを読み取ると、そのモスクの歴史や見取り図、礼拝時間などをスマートフォンで確認できるというもの。さらにはモスクへの寄付金の支払いや苦情の連絡などもアプリから行うことができる。

Huawei in Dubai ~ セーフシティに向けた取り組み

ファーウェイは2016年5月にドバイ警察とMoUを締結し、これに基づいて10月にはセーフシティ・イノベーション・センターの設立のための協業を発表しました。また、ドバイ道路交通局ともスマート交通ソリューションの開発提供に関する提携を進めています。

IoTでさらなるスマート化を推進 通信技術は用途とコスト次第

政府系や生活サービス面では、現時点でもかなりのスマート化が進んでいるドバイ。今後はIoTの導入でスマートシティの充実化をさらに進める予定だ。駐車場の空き状況を確認できるスマート・パーキングは一部でテストされており、また自動車の速度や周辺騒音から交通量を判断して稼働を自動制御するスマート信号機の導入も予定されるなど、市内のあらゆるモノにセンサーが搭載され、市民生活を便利で快適なものにしていくという。これらのプロジェクトはIBM、SAP、ファーウェイなど海外の大手ICTベンダーとの協業によって進められており、こうした企業にとってドバイはスマートシティ・ソリューションのテストベッドのひとつになっている。

環境センサーの市内全域への設置も急務だ。1年中常夏のドバイだが、時には大雨が降り、市内の交通が麻痺し、水難による死者が出ることもある。また車の増加に加え、地理的要因から砂ぼこりも多く、大気汚染の問題も年々深刻化しつつある。今後移民や外国人労働者がさらに増えれば、人口が過密化し、環境汚染も進んでいくだろう。モニタリングだけでなく、センサーから吸い上げたデータをもとに自動で適切な指示を発令する、AIを導入したシステムの構築も研究されている。

IoTはスマートシティの実現にとって必須のものとなっているが、スマート・ドバイの担当者によると、IoTのためのLPWA(省電力広域ネットワーク)技術そのものにこだわりはないという。IoT導入で最も重要なのは、利用するアプリケーションに最適なソリューションであるかどうか、そしてコスト、この2つである。またNB-IoTやLoRaなどの技術はこれから本格的な商用化が始まることから、現時点では特定の技術にずば抜けた優位性があるとは判断しにくいとのことだ。

NB-IoTなどを利用したセンサーがスマートシティには必須となった

教育への応用にも期待 世界をリードする展開に注目

都市のスマート化が進めば、通信インフラが強化されるとともに、あらゆる情報が容易に入手できるようになる。そうしたサービスはさらに、教育向けにも応用可能だ。教科書の代わりに動画教材やオンライン・テストなどを利用するeラーニング、学校外や帰宅後でも授業を復習できる遠隔教育なども、ドバイでの導入が他国を先行していくだろう。そうなれば、国民の教育レベルが向上し、海外からも優秀な学生が集まってくる。ドバイの将来を担う人材育成の面で、その効果は計り知れないものになるのだ。

早い時期から脱石油化を進めていたドバイ。「世界一のスマートシティ」を目指す動きに同調し、世界中の企業がドバイへの関心を高めている。2020年までの展開は、これから目が離せないものになるだろう。

※1ディルハム=30円換算

病院でも進むスマート化。教育への展開に対する注目度も高い

02 世界に広がるファーウェイのスマートシティ・ソリューション

ファーウェイは、40か国の100を超える都市でスマートシティ・ソリューションを展開。
幅広い分野のパートナーとの協業を通じ、オープンなエコシステムを構築することで、最先端のICTを活用した持続可能な都市の発展の実現に尽力しています。

NETHERLANDS オランダ
スタジアムをスマートシティのハブに

太陽光電池パネルを使用した開閉式屋根を備え、5万人以上を収容するアムステルダム・アレナ。オランダのサッカー・チーム『アヤックス・アムステルダム(Ajax Amsterdam)』のホーム・スタジアムとして多くのサッカー・ファンが訪れるほか、コンサートや展示会などさまざまなイベントの会場としても利用されている

オランダ・アムステルダムのスタジアム、アムステルダム・アレナ(Amsterdam ArenA)は、スタジアムを核としたスマートシティ構想の実現に取り組んでいます。試合の観戦を観客が家を出る前から帰宅するまでのユーザー・エクスペリエンスとしてとらえ、イベント情報の収集からチケットの購入、スタジアムへの移動、位置情報を使った駐車場や物販などのサービス、観戦中の情報共有、周辺のレストランのレコメンドまで、スタジアム内にとどまらない包括的なサービスを提供し、スマートシティのハブとなることを目指しています。

ファーウェイはアジャイル・スタジアム・ソリューションによって、同スタジアム全域をカバーする高速・高密度のWi-Fi接続を提供。数万人の観客が同時に動画観戦を含むオンライン・サービスを快適に利用することを可能にしているほか、同スタジアムが施設内に開設したイノベーション・センターでは、業界団体のアムステルダム・スマートシティ、オランダの通信事業者KPN、フィリップス・ライティング、マイクロソフトなどのパートナーとのオープンな協業を通じて、新たなスマートシティ・ソリューションの実用化に向けたテストやデモを進めています。

スタジアム内のイノベーション・センターは、パートナー各社がスマート・スタジアムの実現に向けたさまざまなソリューションを実地でテストできる「リビング・ラボ」の役割を果たしている

KENYA ケニア
セーフシティと遠隔医療で安全・安心を実現

スマートシティは新興国においても人々の生活を豊かにするソリューションとして重要な意義を持っています。テロや内戦による治安の悪化が深刻となっていたケニアでは、サファリコムとともにセーフシティ・ソリューションを大規模に展開し、犯罪率の低下に貢献しました。ナイロビとモンバサの市内に116のLTE基地局と1,800の監視カメラによるモニタリング・システムを構築。事件や事故の場所を正確に特定し、ライブHD動画で状況を確認しながら迅速に警官を派遣できる緊急司令室を設置しました。これにより、導入地域の犯罪発生率は前年から46%も低下しています。

効率のよい医療機関運営と遠隔診断を可能にし、20万人の住民に医療サービスを提供。現在は沿岸のラム市を中心とした地域で展開されているが、今後さらに国内各地へと拡張が計画されている

医療分野では、医療管理システムを手がける現地企業マイクロクリニック・テクノロジーズ(MicroClinic Technologies)とともに、国内の28の医療機関をつなぐ遠隔医療ソリューションを提供しました。ファーウェイのMateBookを活用した効率のよい運営とコミュニケーション、クラウドでリアルタイムに同期する電子カルテによる病院間のスムーズな情報共有が可能なほか、ビデオ会議システムによって遠隔診療や医療従事者のトレーニングをさまざまなデバイス上で実施することができます。同ソリューションは2016年11月にスペイン・バルセロナで開催されたスマートシティ・エキスポ世界会議2016において、新興国でのプロジェクトを対象とした「イノベーティブ・グローバル・サウス(Innovative Global South)」賞を受賞しました。

CHINA 中国
公共サービスのスマート化で満足度95%を達成

中国・深圳の竜崗(ロンガン)地区は、ファーウェイ本社をはじめ多数の大企業が集まり、急速に発展を遂げてきた地域です。増加の一途をたどる住民への円滑な公共サービスの提供と、新たなICTの活用によるさらなる経済発展を目指し、同地区はファーウェイをパートナーとして包括的なスマートシティ・プロジェクトを推進しています。

現在、「デバイス+ネットワーク+データベース+画像+クラウド」を基盤とした11の主要プロジェクトが進行中。部門間のサイロを取り除いた横断的なデータベースでデータの統合と共有を実現したことで、行政はデータに基づいた最適な意思決定が可能になったほか、住民は社会保障、医療、教育、交通、ガスや水道など、30の部門をまたぐ各種公共サービスの情報に統合アカウントからスマートフォンでアクセスできます。これにより、サービスを期日どおりに提供する完遂率が40%向上、住民の満足度も95%に達しました。また、時空間情報を2次元、3次元、さらにライブ画像として収集し、都市計画や防犯に活用する試みも進行しています。

撮影:李彩瑜 提供:Microfotos