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欧州のパブリック・クラウドに新たな選択肢をもたらすドイツ・テレコムの『オープン・テレコム・クラウド』

2017.12.04

ドイツ・テレコム Tシステムズ
グローバルITオペレーション
シニア・バイス・プレジデント
ヨルン・ケラーマン(Jörn Kellermann)

実績に裏付けられたクラウド・サービス

ドイツ・テレコム(Deutsche Telekom)の子会社として法人向けITサービスを提供するTシステムズ(T-Systems)は、クラウド・コンピューティングにおいて10年以上の実績を持っている。欧州のプライベート・クラウド・サービス分野をリードする『Tシステムズ・ダイナミック・サービス(T-Systems Dynamic Services)』は、高い可用性と低コスト、最高レベルのセキュリティを求める企業のニーズに応えるシステムやサービスをクラウドにより短納期で提供してきた。

一方、欧州ではパブリック・クラウドに対する需要も拡大している。これを背景に、Tシステムズは長年のパートナーであるファーウェイとともに、2016年3月、新たなパブリック・クラウド・サービス『オープン・テレコム・クラウド(OpenTelekom Cloud)』の提供を開始した。

パブリック・クラウド需要の拡大と欧州における規制の問題

アジャイルなITは、イノベーション、新たなビジネスモデル、迅速な市場投入を実現する前提条件だ。パブリック・クラウドは、その柔軟性を評価されて急速に需要を高めてきた。IDCの予測では、パブリック・クラウド市場は2018年に1,275億米ドル(約13兆1,325億円※)規模に達し、そのうち246億米ドル(約2兆5,338億円※)はIaaS(Infrastructure-as-a-Service:サービスとしてのインフラ)によるものとされる。さらにパブリック・クラウドは、欧州のCIO(最高情報責任者)が新たな試みを即座に実施したり、既存のキャパシティを増強したりする際に、現実的で有効な選択肢となっている。プライベート・クラウドとパブリック・クラウドを既存のITインフラとともに統合したハイブリット環境により、真にダイナミックなITソリューションを構築することが最近のトレンドとなっている。

しかし欧州では、パブリック・クラウドの拡大に歯止めをかけるさまざまな規制が存在する。例えば、欧州企業のクラウド・データを処理するデータセンターは、欧州内に設置されていなければならない。また、データと個人情報の保護は欧州の基準を満たしていなければならない。  

パブリック・クラウド・サービス・プロバイダーの多くは米国を本拠地としているが、ドイツ企業であるTシステムズはこうした規制に完全に対応できている。ドイツ中部のビエレにある当社のツインコア・データセンターは、最新のセキュリティ技術と包括的なアクセス管理で万全のデータ管理体制を誇っており、すべてのデータとシステムをマグデブルクにあるもうひとつのデータセンターに二重保管して事業継続性を確保している。当社は2011年から「システム停止ゼロ(ZeroOutage)プログラム」を実施し、サービス品質管理を徹底することで、システム稼働率99.999%を達成してきた。


ドイツ企業のクラウド利用・検討率
ドイツではパブリック・クラウドを利用する企業はいまだ少数派ではあるが、利用企業や検討企業は着実に増加している

ファーウェイとの協業で実現した新たなパブリック・クラウド・サービス

今春スタートしたオープン・テレコム・クラウドは、プライベート・クラウドでも協業してきたファーウェイとともに実現した、OpenStackベースのIaaSである。ファーウェイはソフトウェアとハードウェアを提供し、Tシステムズはビエレとマグデブルグのデータセンターの運営と、欧州全体の市場へのサービス展開を担っている。

オープン・テレコム・クラウドは、ポータル画面からわずか数クリックでコンピューティング、ストレージ、ネットワーク・コンポーネントといったITインフラやソフトウェア・ソリューションを使用できるシンプルな構成で、企業は従量課金による低価格でオンデマンドにスケール可能なクラウド・サービスを利用することができる。さらに、「Made in Germany」のサービスとして、信頼性とセキュリティも保証されている。また、プライベート・クラウドと組み合わせたハイブリッド・クラウドとして活用することも可能だ。 

クラウド・ソリューションに対するニーズが今後も伸び続けるという予測から、当社は今後2年間でクラウド・データセンターのキャパシティを1.5倍に拡張することを計画しており、ドイツ・テレコム全体でも2018年までに企業向けクラウド・サービスの売上を2倍にするという目標を掲げている。拡大する欧州のクラウド市場で、これまで主役となっていた米国企業のサービスに替わる欧州発の新たな選択肢として、オープン・テレコム・クラウドへの注目はますます高まっている。同サービスを通じ、Tシステムズは安全性の高いハイブリッド・クラウドを求める欧州企業の信頼できるパートナーになることを目指していく。


今年3月、ドイツ・ハノーバーで開催されたCeBIT 2016において、ファーウェイとドイツ・テレコムは『オープン・テレコム・クラウド』の提供開始を発表した


ドイツ企業がクラウド・サービス・プロバイダーに求めること
2013年に米国家安全保障局の個人情報収集疑惑が報道されて以降、欧州ではEU内や自国内のクラウド・サービスの需要が高まってきた。ドイツ企業のクラウド・サービス・プロバイダーに対する要望をたずねた調査では、データセンターがドイツ国内にあることが「必要」と回答した企業は2012年には44%だったが、2015年には76%にまで増えている

※ビットコム・リサーチ(Bitkom Research)『クラウド・モニター2016:ドイツにおけるクラウド・コンピューティング―現状と展望(Cloud-Monitor 2016: Cloud-Computing in Deutschland – Status quo und Perspektive)』より