このサイトはCookieを使用しています。 サイトを閲覧し続けることで、Cookieの使用に同意したものとみなされます。 プライバシーポリシーを読む>

先端科学で価値創出を目指す デンマーク工科大学を支えるファーウェイとインテルのHPC

2018.02.04

社会に資する科学を支えるHPC

デンマーク工科大学(DTU :Danmarks Tekniske Universitet)は、電磁気学の礎を築いた同国の偉大な科学者ハンス・クリスティアン・エルステッド(Hans Christian Ørsted)が1829年に創立した、欧州屈指の工科大学だ。創立以来約2世紀にわたり、自然科学と工学によって社会に価値を生み出すというエルステッドのビジョンを実現することに尽力してきた。DTUは社会にとっての有用性に基づいて有望な研究領域を判断し、原子スケール材料の分析から量子物理、再生エネルギーまで、重大な課題と明確な応用可能性のある基礎科学に注力している。

材料科学の分野では、電子構造理論により材料の性質を理解し、そこでの発見をもとに新たな機能的ナノ構造の設計を目指している。材料の応用環境が複雑さを増すにつれ、材料性能研究の難易度は高くなってきている。研究には新材料の構造、強度、特徴の解析が必要で、莫大な量のデータを扱う複雑な計算とシミュレーションを要する。そのため、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)のリソースがきわめて重要だ。

新材料の発見から応用までの時間を短縮し、先進的な研究をリードし続けるため、DTUは同大学の原子スケール材料設計センター(CAMD:Computational Atomic-scale Materials Design)に設置されているスーパーコンピューティングクラスター『Niflheim(ニヴルヘイム)』の拡張と更新に着手した。

ファーウェイとインテルの技術で ボトルネックを解消

2009年から2015年にかけて構築された既存のNiflheimクラスターは、一世代かそれ以上前のハードウェアで構成されており、最大演算性能は73テラFLOPS、メモリ容量も少なく、ネットワークは狭帯域でレイテンシーが高かった。古いクラスターでは、より多くの計算リソースを要するシミュレーションテストの要件を満たすことができず、研究効率向上の深刻なボトルネックとなっていた。

DTUは新たなスーパーコンピューティングシステムを構築してNiflheimクラスターの計算リソースとパフォーマンスを増強するとともに、このクラスターが将来的な技術革新とクラスタースケールの拡張に対応できるようにしたいと考えた。そこで、全体的なパフォーマンス、製品の品質、サービス能力などの観点からさまざまなソリューションを検討。EUの入札制度を通じ、最終的にファーウェイとインテルをベンダーとして選択した。2社の革新的な技術とコンピューティング製品が、次世代コンピューティングクラスターの構築のための最適解だと判断したのだ。

ファーウェイとインテルはHPCの分野で長期にわたって協業してきた。そのパートナーシップを活かし、2社はDTUの大規模な科学研究のニーズを現在から将来にわたって満たすために、インテル® Omni-Path アーキテクチャ(インテル® OPA)と、ファーウェイのX6800高密度サーバーによって高性能、高効率で拡張性の高いスーパーコンピューティングクラスターを構築した。

最高級のパフォーマンスで
コンピューティング効率を向上

  • ● インテル® Xeon® E5-2600 v4シリーズのプロセッサーにより、ノードあたり845ギガFLOPSの計算能力を実現
  • ● 256GBのDIMMと240GBのSSDにより、I/Oボトルネックを取り除き、高速のデータキャッシングでデータ処理効率を向上
  • ● インテル® OPAにより、2レイヤーのFat Tree構造のファブリックを構築し、100Gbpsのネットワーク帯域とエンドツーエンドでわずか910ナノ秒の低遅延を実現
  • ● 電源ユニットとファンモジュールを複数のノードで共有するとともに、ファーウェイDEMT (Dynamic Energy Management Technology)により、 システムの電力消費を10%以上低減

高密度構成で管理と拡張が容易に

  • ● 4Uシャーシに8つの2ソケットノードを格納し、通常の1Uラックサーバーの2倍の高密度を実現、ラックスペースの活用効率を大幅に向上
  • ● 管理ネットワークポートの集約により、一元的な管理を実現し、ケーブル数を削減
  • ● モジュラー設計を採用し、すべての主要なコンポーネントのホットスワップを可能にすることで、O&M効率を大幅に向上

X6800高密度サーバー(XH620 V3ノードを8基搭載)

演算性能を3倍に向上 イノベーションを加速

2016年12月に稼働を開始した次世代のNiflheimクラスターはその後も拡張を続け、2017年12月現在、ファーウェイとインテルはNiflheim の全866ノードのうち192ノードを構成し、162テラFLOPSの演算性能を追加して、クラスター全体の演算性能は235テラFLOPSに達した。これにより、より多くの研究者がスーパーコンピューターを利用した研究に取り組めるようになったうえ、計算にかかる時間は大幅に短縮された。

業界をリードする2社の技術で実現した新たなNiflheim は、DTUが目指してきた社会に価値を生み出すイノベーションを、今後さらに加速していくだろう。

※FLOPS(Floating-point Operations Per Second、フロップス)は、浮動小数点数演算と呼ばれる計算処理を1秒間に何回行うことができるかを示す指標。1テラFLOPSは1秒間に1兆回、1ペタFLOPSは1秒間に1,000兆回の演算が可能。スーパーコンピューターの性能ランキング『TOP500』最新版(2017年11月)で1位の中国の『神威・太湖之光』は125ペタFLOPS、10位の日本の『京』は11ペタFLOPSの演算性能を持つ。


2017年6月、ドイツ・フランクフルトで開催された国際スーパーコンピューティング会議(International Supercomputing Conference)でHPCグローバルセンターの開設を発表

ファーウェイはインテルをはじめとする業界屈指のパートナーとともに、HPC分野のイノベーションを進めています。2017年6月にはドイツ・ミュンヘンのオープンラボ内にHPCグローバルセンターをオープンしました。同センターでは、HPCを核に、クラウド、AIなどの関連分野を活かした産業向けソリューションをパートナー各社とともに開発しています。 ファーウェイのHPCソリューションは、スーパーコンピューターの性能ランキング『TOP500』最新版(2017年11月)にランクインしている20のHPCシステムで採用されています。