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ofoのスマートな自転車シェアを支えるファーウェイのNB-IoTソリューション

2018.01.24

新たなビジネスモデルによって世界中のさまざまな業界で変革を起こしているシェアリングエコノミー。とりわけ中国では市場の急速な拡大によって競争が激化し、差別化されたユニークなサービスが顧客満足の向上につながる成熟期へと差しかかっている。ここ数年中国で一気に普及が進んだ自転車シェアサービスは、2017年6月にはユーザー数が1億を超え、アジア各国や欧米にも事業を展開し始めるなど、めざましい成長を遂げてきた。

ユーザー数の増加にともない、必要な時に、必要な場所で、即座に自転車に乗りたいというサービスの質に対するユーザーの要望はますます高まっている。事業者はより多くの自転車を効率よく配備し、開錠や支払いを手間なくできるようにしなければならない。

ofo

2014年、北京大学の学生がスタートしたプロジェクトを母体に起業。以後急速に成長を遂げ、2017年7月現在、中国国内で800万台以上の自転車を提供しており、1日の利用取引は2,500万回を超える。海外展開にも注力し、米国、英国、シンガポール、カザフスタン、タイ、マレーシア、オーストリアなど世界各国の170都市に1億人のユーザーを擁しており、日本でも今年9月からソフトバンク コマース&サービスとの協業によりサービス提供を開始した。

業界最大手のofo(オッフォ)は、オペレーションとマーケティングの最適化に注力し、世界最大級の自転車シェアプラットフォームとなった。だがその過程には、自転車管理の不備、通信と電力消費のトレードオフ、データ取得ポイントの不足といった課題が山積していた。より進んだユーザー体験を実現するため、ofoはファーウェイとチャイナテレコム(中国電信)というパートナーを得て、NB-IoTを活用した管理のスマート化に向けた協業を開始した。

ユーザー体験の向上で競争力強化を目指す

スペースや本、自動車など、シェアリングサービスはいまやあらゆる分野に存在するが、いずれも「必要な時に使える」ことが重要だ。ビジネスの成功には、ユーザーのニーズをしっかりと理解し、適切な技術を組み合わせて活用し、顧客満足度を高めることが欠かせない。

しかし、急速に普及が進んで市場が飽和すると、既存のサービスはすぐに競争力を失ってしまう。そのため、より付加価値の高いサービスによってユーザーを囲い込むことが重要になる。

ofoがさらなる競争力を強化するにあたり、最優先事項となったのは、スマートロックの性能向上によってユーザー体験を改善することだった。これまでにさまざまな特長を持つスマートロックが多数登場しているが、ネットワークとの互換性、バッテリーの持続時間、通信費、使い勝手といった点でofoの要件を完全に満たすものはなかなか見つからなかった。

そこでofoは2017年2月、NB-IoTを活用した新しいスマートロックの導入に向けて、ファーウェイとチャイナテレコムの2社とパートナーシップを締結した。

自転車シェアにおいて必要となる主なモバイルテクノロジーは、自転車の状態を認識するセンサー、収集したデータを処理・分析するためのネットワーク、スマート管理を実現するアプリケーションだ。今回の協業で、チャイナテレコムはネットワーク接続を、ファーウェイはチップセットからIoTプラットフォームまでカバーするエンドツーエンドのNB-IoTソリューションを提供した。

NB-IoT技術で優れたユーザー体験を実現

わずか5秒で支払い完了
広いカバレッジで提供エリアも拡大

ofoの自転車を利用するには、自転車に付されたQRコードをスマートフォンで読み込み、表示された暗証番号をナンバーキーに入力して開錠する。使用後に施錠すると暗証番号がリセットされ、その間の使用料金が微信支付(WeChat Pay)などのオンライン決済で請求される仕組みだ。

ofoではこれまでこうしたスマートロックの通信に2G(GSM)ネットワークを使用していた。そのためユーザーの多いエリアや利用ピーク時にはネットワークが輻輳し、スマートロックが機能しなくなってしまうことがあった。またバッテリーは1~2か月しか持たず、頻繁な交換が必要になるか、あるいは自転車に装着したソーラーパネルで発電しなければならず、安定した運用が難しかった。

LPWA(省電力広域ネットワーク)技術の1つであるNB-IoTは、既存のLTEネットワークをベースに、2Gの100倍という強い電波到達力を発揮し、超低消費電力で多数の端末を接続できる。ofoのスマートロックでは、NB-IoTチップを搭載したセンサーで自転車の場所や状態、ユーザー情報、運用状況などのデータを収集・送信する。これにより自転車管理のスマート化が実現し、利用者の多いエリアに集中的に配備できるようになるほか、迅速なメンテナンスと、ユーザーごとにカスタマイズされた付加価値サービスの提供が可能になる。支払い手続きにかかる時間はこれまでの25秒からわずか5秒以下に短縮され、ユーザー体験が大きく向上するうえ、バッテリー寿命も1~2か月から2年以上となり、コストの削減にもつながる。

NB-IoTスマートロックは北京大学でのトライアル期間を経て、2017年7月に北京市内のofoの自転車に設置され、商用化を開始した。これはNB-IoTをモバイルで利用した初めての商用化事例だ。LTE基地局を活用できるカバレッジの広さと、電波到達力の強さを生かし、今後はこれまで電波が届かなかった地域や電波状況の良くなかった地域でもofoのサービスを提供できるようになる。同社は北京に続いて中国全土でスマートロックの設置を拡大する予定で、さらに海外市場での展開も計画している。

自転車に付いているQRコードをスキャンして開錠するスマートロック

今後は大都市だけでなく観光地などにも展開を進める

パートナーと実現する革新的なビジネス

自転車シェアは都市に暮らす人々の生活をより便利にしただけでなく、自転車というグリーンな交通手段を復権させたことで、環境の改善にも貢献した。将来的にofoはスマートロックをさらに発展させ、人工知能を活用したよりスマートな自転車管理を実現し、ユーザーの動向やニーズをさらに詳細に把握しようとしている。

NB-IoTスマートロックの導入にあたって、ofoのCEO戴威(ダイ・ウェイ)はファーウェイとチャイナテレコムとの協業を「グローバル市場をリードする3企業による相互に利益のある協同」と称した。シェアリングエコノミーのような革新的な産業においては、それぞれの強みを生かしてイノベーションを実現するパートナーの存在が不可欠だ。

ファーウェイは世界各国で通信事業者とともにNB-IoTオープンラボを開設し、さまざまな領域におけるNB-IoT活用の可能性を探り、エコシステムの構築を推進している。技術力とパートナーシップで新たなビジネスモデルをしっかりと支えることができれば、人々の生活を豊かにし、持続可能な発展を実現するこれまでにないサービスが今後も生まれていくだろう。

今年2月に3社の協業を発表し、7月には北京で商用化を開始した