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デジタルで変わる中国

2018.04.10

中国・深圳のファーウェイ本社社員が伝える、デジタルなトレンドに見る中国の「いま」
『WinWin』(ファーウェイ刊)エディター 米雪苹(カイラ・ミー)


一瞬で去った大ブームクイズアプリと『旅かえる』

デジタルの時代、スマートフォンやSNSの普及で情報の拡散が容易になったことで、新たなアプリやサービスが急速に人気を集める現象が世界中で起きていますが、人口の多い中国ではとりわけダイナミック。「爆紅(バオホン)=突然大流行」したと思ったら、あっというまに消え去ってしまうものも少なくありません。2018年は、年が明けてからわずか数か月で2つのコンテンツがそうした運命をたどりました。
1つは、「直播撒幣(ジーボーサービー)」と呼ばれるクイズアプリ。「生中継でお金をばらまく」という名前のとおり、動画のライブ配信で多額の賞金を懸けたクイズ大会を行い、賞金を回答者で山分けするというものです。
流行の発端は1月3日、巨大企業グループ大連万達集団(ワンダグループ)創業家の御曹司、王思聡(ワン・スーツォン)が30歳の誕生日を記念して、1回10万人民元(約170万円※)の賞金を懸けたクイズ大会を毎晩ライブで行うアプリを発表したことでした。王氏は若くして巨大な富を持つ“おぼっちゃま”として、これまでも派手な言動で話題を呼んできた人物。このクイズ大会も大きな注目を集め、初日の一晩でなんと25万人が参加しました。
これに続いて数多くの動画配信プラットフォームが同様のクイズアプリを立ち上げ、多いものでは500万人民元(約8,500万円※)もの賞金を懸けてクイズ大会を開催し、瞬く間に一大ブームに。友人を招待すると、不正解で失格になっても再挑戦できる復活カードがもらえるという仕組みでどんどん拡散し、1回のクイズの参加者が300万人にのぼったことも。

クイズアプリブームの発端となった『沖頂大会(チョンディンダーフイ)』。毎晩9時にライブ配信を開始、科学、歴史、文学などさまざまなジャンルから12問のクイズが出題され、1問10秒の制限時間内に全問正解した参加者で賞金を山分けする。

ところが、春節(旧正月)の時期にはさらに盛り上がるだろうと期待されていた矢先の2月14日、多くの配信プラットフォームが放送業者としての免許を持っていなかったことや、過剰な賞金で消費者を煽ったことなどが問題視され、政府当局からの指導が入り、翌日からほとんどのアプリがクイズを一斉に終了してしまいました。
もう1つ、突如人気になったアプリが、日本発のスマートフォンゲーム『旅かえる』(中国語では『旅行青蛙(ルーシンチンワー)』)です。かえるのキャラクターが旅に出るのを見送り、ただ待つだけというこのゲーム、日本語版しかないのに、今年に入ってから中国で爆発的にヒット。1月末までにアップルのApp Storeでのダウンロード数は1,000万を超えましたが、日本からのダウンロードは2%に過ぎず、95%が中国からでした。賞金目当てに殺到するクイズアプリとは対極と言えますが、競争に疲れた都会の若者たちの心をつかんだよう。しかしこちらも、春節に帰省して家族や友人たちと団らんしたら、バーチャルなかえるのことはどうでもよくなったという人が多く、2月中にはすっかり下火になってしまいました。
早くも2つのアプリが爆紅して消え去った今年、こんな短命な流行があといくつ登場するのでしょうか?

※1人民元=17円で換算