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漫遊中国

2017.12.21

My Home Town in China

黄果樹大瀑布

豊かな自然が残る平安の地
貴州省安順市

蔡 濱鮮(サイ・ビンシェン)
ソフトバンク事業部アカウントマネージャー兼副社長アシスタント

天津外国語大学で日本語、英語、経済を学び、2011年に新卒でファーウェイ本社に入社。翌年ファーウェイ・ジャパンの端末事業部に赴任となり、KDDI営業部のアカウントマネージャーを経て、この4月から現職。日本オフィスで知り合った同僚と社内結婚し、現在2歳と9か月の2人の息子を育てるワーキング・マザー。

カルスト地形が生む神秘的な風景

貴州省は省の80%が石灰岩に覆われたカルスト地帯で、安順市はその中ほど、省都の貴陽市から車で1時間強のところにあります。「安順」という名の通り、昔から天災や戦乱などが少なく平安な土地とされてきました。2014年に貴陽と安順の間に国家レベルのビッグデータ特区「貴安新区」が設置されたのも、災害などのリスクが低くデータセンターの安全性が確保できることが背景にあるようです。大気汚染もなく、おいしい空気と豊かな自然が多くの観光客を引きつけています。

最も有名な観光地は、高さ78m、幅101mもあるアジア最大級の滝、黄果樹大瀑布です。後ろには奥行134mの洞窟があり、迫力ある音と振動を裏側から間近に体感できます。鍾乳洞など複雑なカルスト地形が神秘的な風景を生み出している龍宮地区も見どころ。周辺にはプイ族ミャオ族自治州があり、少数民族の文化にも触れることができます。

ちなみにファーウェイの任正非(レン・ジェンフェイ)CEOは貴州省南部の出身です。

貴州から全国に広がる名産品

貴州は雨が多く湿度が高いので、体内にたまった湿気をお酒や辛い食べもので排出する慣習があります。その一例が、世界的に知られる茅台(マオタイ)酒。モロコシから作る蒸留酒、白酒(バイジュウ)の一種で、貴州のきれいな水が生んだ中国を代表する名酒です。高級なものもありますが、地元では甕に入れて量り売りをしている店を多く見かけます。

もうひとつ、貴州から全国に広まったのが、唐辛子を使った調味料『老干媽(ラオガンマー)』です。小さな食堂のおかみさんが作ったオリジナルのたれが人気を博し、いまでは国民的調味料とも言われるほど。刺激的な味が癖になる“食べるラー油”で、海外赴任先に持っていくファーウェイ社員も多いようです。

茶葉の産地でもあり、貴州のお茶は唐の時代から銘茶として尊ばれてきました。現在も省の重要な産業で、生産量は年々増えています。海のように青々と広がる茶畑は、なつかしいふるさとの光景です。

左:茅台酒(撮影:胡拓拓 提供:Microfotos) 右:老干媽

新たなチャレンジに向けて

大学で日本語を学んでいたものの、来日当時はほとんど話せず、日本人の同僚や上司とのやりとりを通じて上達させてきました。その後アカウントマネージャーとなってからはお客様や販売店の方々と接する機会が増え、プロジェクト全体の責任を担うようになり、開発からデリバリー、アフターサービス、さらには財務や法務関連まで、多岐にわたる目配りが必要になりました。ICT業界では女性の営業職が比較的少なく、お客様や同僚に頼りない印象を持たれてしまうこともありましたが、チームをまとめながらお客様の求める製品や販促プランを提案していくことで、徐々に社内外の信頼を築いてきました。

2人目の出産・育休を経て昨年10月に職場復帰し、今月から部署異動となりました。業務分野が変わり、副社長の業務補佐という新たな仕事も与えられて大きなチャレンジとなりますが、経験の幅が広がることを楽しみにしています。家族のサポートを支えに、仕事も育児も精いっぱいがんばりたいと思っています。

Digital China デジタルで変わる中国

中国・深圳のファーウェイ本社社員が、アプリやウェブ・サービスなどデジタルなトレンドから中国の「いま」をお伝えします。

「知識網紅」の台頭で進化するオンライン・メディア

2016年の大みそか、深圳に拠点を置く衛星テレビ局の深圳衛視が『時間的朋友』という年越し特番を放送しました。人気のネット配信トークショー『羅輯思維(ルオジーシーウェイ)』とコラボレーションした企画で、深圳の中継会場には1万人以上の観衆が国内外から集まりました。豪華スターが出演する番組が数多く放送されていた裏で、1人の男性が壇上で4時間にわたって語り続けるこの番組が国内最高視聴率を記録。オンラインでも数百万人が視聴し、チケットや関連書籍の売上、広告などからの収益は5,000万人民元(約8億円)にのぼったと言われます。

この男性は羅振宇(ルオ・ジェンユー)。元CCTV(中国中央電視台)のプロデューサーで、現在は「知識網紅(ジーシーワンホン)」と呼ばれるネット上の著名知識人として最も人気のある人物です。2012年に『羅輯思維』をスタートして以来、「80後(バーリンホウ)=1980年以降に生まれた世代」を中心に着々とファンを増やし、同番組を核とした“知のデジタル・コミュニティ”を形成しています。

毎週50分間のトークショーを動画サービス『優酷(Youke)』で配信するほか、『微信(WeChat)』では毎朝60秒のオーディオ番組を、専用アプリ『得到(ディーダオ)』では羅氏自身を含む多くの知識網紅が社会問題やビジネス、文化など多岐にわたるコンテンツを有料で提供。有料コンテンツは1番組あたり年間199人民元(約3,184円)という料金設定で、中には開始後20日間で5万人のフォロワーを集め、1,000万人民元(約1億6,000万円)もの売上を達成した番組もあります。そのほか、羅氏のブランド力を活かし、おすすめの書籍や絵画、食料品まで幅広いグッズを販売するECまで手がけています。

羅氏のほかにも、マスコミ出身者をはじめさまざまな経歴の知識網紅が同様にオンラインで動画、オーディオ番組、ブログなどのコンテンツを提供する「自媒体(ジーメイティ)=セルフ・メディア」を運営し、大手メディアに飽き足らない都市部の若者たちから絶大な人気を得ています。ほとんどのコンテンツが有料ですが、彼らは信頼できる価値あるコンテンツをいつでもどこでも楽しめるこうしたメディアに進んでお金を払います。2016年に中国版Twitter『微博(Weibo)』上で発生した自媒体の有料コンテンツへの支払いと前号で紹介したオンライン・チップ「打賞」の合計は4億7,000万元(約75億2,000万円)にもなったとか。経済の成熟とともに若者の消費欲がモノから知識へとシフトしてきたことを背景に、知識網紅は既存メディアに対抗する自媒体としてのビジネス・モデルを確立しているのです。

羅振宇が微信で毎日配信するオーディオ番組(左)は、話に登場したキーワードを打ち込むと羅氏おすすめの関連記事が読める。『得到』アプリ(右)ではさまざまな知識網紅の有料コンテンツをフォローできる。忙しくても「ながら聴き」ができるオーディオ番組が豊富なのも知識網紅コンテンツの特徴だ

米雪苹(カイラ・ミー)

ファーウェイがグローバルに発行する機関誌『WinWin』のエディター。2011年にファーウェイに入社し、中英の通訳業務を務めた後、2015年から現職。読書家で幅広い分野の本を多読する一方、ハイキングを楽しむアウトドア派の一面も。

※1人民元=16円換算

Huawei Philosophy 経営陣のメッセージから

ファーウェイ独自の経営理念を象徴する経営陣の言葉をご紹介します。

リーダーとして成功するには、寛容であらねばならない。
多様な性格、特長、好みを持つ人たちが集まる組織が、
共通の目標とビジョンに向かってひとつになれるかどうかは、
リーダーが寛容かどうかにかかっているのだ。

ファーウェイ創業者兼CEO 任正非(レン・ジェンフェイ)
(2009年、社内向けスピーチより)

任は管理職の仕事においては他者との差異を積極的に受け入れることが重要だと述べ、同時に「寛容であることは一種の強さである」「臆病者は決して寛容にはなれない」と、それが強い意志を要するものであることを強調しました。