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ICTで実現するソーシャル・インクルージョン

2017.12.07

人々の生活をより便利に、より豊かにするICT。その“人々”には、環境や能力にかかわらずすべての人が含まれるべきだとファーウェイは考えます。むしろ、これまで「社会的弱者」とみなされてきた人たちにこそ、ICTがもたらす力は大きいと言えます。障害のある人もない人も、それぞれの方法で参加し、活躍できる社会――ICTはそれを可能にする強力なツールとなります。今回のFeature Storyでは、ICTを活用してインクルーシブな社会の実現に取り組む2つの企業にお話をうかがいました。

「できること」に目を向ければ、「人材」に変わる
障害者が障害者を雇用する仙拓

株式会社仙拓(せんたく)

http: //sen-taku.co.jp/
2011年、脊髄性筋萎縮症という難病を持つ佐藤仙務(ひさむ)氏が19歳のとき、同病の友人である松元拓也氏と2人で起業。右手の親指が1cmほど動くだけの佐藤氏が「寝たきり社長」として営業や広報を担当し、デザインが得意な松元氏が名刺制作を行うという形で事業をスタート。愛知県東海市にオフィスを置き、現在は大阪と埼玉に住む同じく重度の障害を持つ2名の従業員を遠隔で雇用している。障害者が自分の能力を生かした仕事に就く機会を生み出すことで、「世界の人々に新しい選択肢を与えられる企業」を目指す。

SNSで営業活動著名人や大手企業も顧客に

重度の先天性障害を持つ佐藤仙務氏と松元拓也氏が、働く場がなければ自分たちで作ろうと起業した仙拓。起業当初は知り合いからの発注が1か月に1、2件程度でしたが、創業から5年経ち、累計受注件数は約700件に。名刺制作に加え、アプリ開発、ウェブサイト制作、クラウド・プラットフォームの導入支援サービスなども手がけるようになり、ビジネスモデルも単発の受注から名刺管理やウェブサイト運用などの継続的なサポートを提供する月額課金型へとシフトし、着実に事業を成長させています。

新規顧客の開拓と事業の拡大には、SNSが大きな役割を果たしたと佐藤氏は言います。「まずは仙拓という会社を知ってもらわなければ、と積極的に情報発信を行いました。Facebookでたくさんの人たちとつながり、それをきっかけとして発注があり、そこからさらに口コミでご紹介いただいたケースが大半です」

いまではサイボウズ株式会社社長の青野慶久さん、イタリアン・レストラン『ラ・ベットラ』の落合務シェフ、総理大臣夫人の安倍昭恵さんなど、著名な方々が顧客かつアンバサダーとして仙拓の名前を広めているほか、合成樹脂を扱うモリマーなど大手企業からの発注も受けるようになりました。

重度障害者を雇用「仕事の力を感じる」

最初に採用した従業員も、Facebookで知り合った重度障害者でした。「大阪在住で筋ジストロフィーを患っており、大学を卒業したものの、その後病態が悪化し自宅で過ごしていた人だったのですが、Facebookでのやりとりから非常に優秀な人材だと感じ、一緒に働かないかと声をかけました。彼はそもそも障害者が仕事を持てるとは思っておらず、会ったこともない相手からの誘いだったこともあって最初は信用できなかったそうです。まずは勉強してもらおうとウェブのアクセス解析に関する電子書籍を渡したところ、これならできるかもという自信が芽生えたようで、仙拓のウェブサイトのアクセス解析を担当してもらうことになりました。現在は入院中で、病院内で仕事を続けています」

自分は生涯働かないと思っていた彼が、いまではずっと仙拓でがんばっていきたいと言ってくれることに、佐藤氏は仕事というものの力を感じると言います。その後、彼からの紹介で同病を患う埼玉県在住の男性も採用。松元氏のアシスタントとして制作業務を担当しているほか、年内にさらに1~2名の雇用を予定しています。

「障害者なら誰でも雇う、というわけではありません。障害によるハンディは全力でサポートしますが、まずは本人に仕事をしたい、そのために必要なスキルを身に着けたいという意欲があることが第一ですね」と佐藤氏。

また、業務にあたっては顔を合わせることがない分、メールやチャット、ビデオ通話で積極的にコミュニケーションを取ることが大切だと言います。「お客様からいただく仕事ですから、納期を守るのは大前提です。ただ、障害の状態や環境によって作業できる時間や内容も異なるので、自分自身の状況をきちんと共有できることが重要。わからないことや不安に感じることがあるとき、体調が悪いときにはすぐに知らせてもらい、文字だけで伝えるのが難しい場合にはビデオ通話で会話するようにしています」(松元氏)


株式会社仙拓 代表取締役社長 佐藤仙務氏(左)は、父親が作ってくれた特製のマウスを使い、わずかに動く親指のみでパソコンを操作して業務を行っている。副社長 松元拓也氏(右)は、起業以前から勉強していたウェブやデザインのスキルを活かし、制作、開発などの実務を担当。今回の取材は自宅にいるお二方とビデオ通話で行った

作業所の業務改善に貢献する『仙拓レンジャーズ』

2016年からは、『仙拓レンジャーズ』という新たな取り組みを開始しました。デザインをパターン化した名刺制作を仙拓が受注し、障害者の作業所に通所するスタッフに業務を請け負ってもらう仕組みで、作業所に安定した仕事を提供し、賃金を向上させることを目指しています。

「実は、戦隊ものをモチーフにした名刺を作りたい、というのが最初のきっかけだったんです(笑)。思いのほかかっこいいデザインができたので、これにさらに付加価値をつけたいと考えました」と松元氏。「発注する人も制作する人もハッピーになるような仕組みが作りたかった。自分たちも以前作業所に通所していたことがあり、その経験から作業所との協業に思い至りました。利益が出るような業務がなく、時給10円にしかならないような作業をしているという現場の課題を実感として知っていたのです」

アイデアがまとまってからは、クラウド上のグループウェアを利用して2~3週間ほどでシステムを構築。作業をできるだけマニュアル化し、障害のある人でも簡単に身に着けられるよう留意しました。「最初は自分たちにできるのだろうかと不安があったようですが、トレーニングを行ったことで、これならできるという意欲に変わりました。最初の1か月で多数の受注があったので、数をこなすうちにすっかり業務に慣れて、いまではスタッフの皆さんが仕事への自信に満ちあふれているのを感じます」(松元氏)

現在は常滑市の作業所で4名のスタッフが業務を請け負っていますが、今後はこのシステムを他の企業にも活用してもらい、全国各地の作業所で同様の事業が展開できるようになればと考えています。また、仙拓が提供する名刺管理サービスのデータベース入力作業を作業所に発注する計画も進んでいます。


仙拓レンジャーズの名刺制作の様子。入力機器はそれぞれ障害の状態に合ったものを自分で用意している。佐藤氏は「ハード面に関しては、環境を整えてくれる人がまわりにいるかどうかに左右されるのが現状です。僕や松元は親がものづくりを得意としていたので、使いやすい入力機器を自作してもらえましたが、パソコンを自分で使いこなせる環境にない人もまだ少なくありません」と話す


仙拓レンジャーズの名刺サンプル。裏側には仙拓の紹介を掲載し、名刺を配ってもらうことで事業のPRにもなる。「製品が広告も兼ねるという点で、名刺制作を事業に選んだのは正解だったと思います」と佐藤氏

障害者雇用と人材育成「どの企業も欲しがるような人材を育てたい」

今年4月から障害者差別解消法が施行されたことで、障害者の雇用は企業にとってより重要な課題となっています。こうした中、障害者が自ら起業し、さらに障害者を雇用するという仙拓の実績に、企業経営者からも注目が集まっています。

佐藤氏は、2015年からネスレ日本でアドバイザーを務めています。「これもまたFacebookで、社長の高岡浩三さんと知り合ったのがきっかけです。以前から障害者雇用には積極的な企業でしたが、今後はさらに障害者人材を戦力にしていきたいとのことで、仙拓の在宅ワークのノウハウを共有したり、兼業で行っている障害者ピアカウンセリング(障害を持つ人がカウンセラーの資格を取得し、障害者に対するカウンセリングを行う)サービスを紹介したりしています」 

しかし、多くの企業はいまだ法律で定められた雇用義務を果たすのが関の山で、障害者人材を戦力にしようという段階に達している例は少ないと言います。こうした現状について松元氏は、「企業の側に障害者雇用に対する漠然とした恐怖心があるように感じます。障害者をひとくくりに捉えてしまい、どうしたらよいかわからない、わからないから不安だ、と思われているのです。一人ひとりを個人として見て、それぞれに何ができて何ができないのかを理解すれば、不安は払拭されるはずです」と語ります。

 「“障害者”と捉えてしまうと、“できないこと”ばかりに目が行きがちです。でも実際には、それぞれが自分の場所で自分にできることがあり、仙拓のようにICTツールを使えば遠隔でもチームとして動くことができる。障害や環境によるハードルを取り除き、個人の能力にフォーカスしてそれを発揮できるようにするという点で、ICTは重要な役割を果たしています」

仙拓では今後、人材育成にも力を入れていく計画です。「オンラインでプログラミングを教えるコードキャンプや、医療福祉事業などを手がける株式会社関西と協力し、障害者の職業訓練をスタートしました。今年仙拓に入社する予定のメンバーも、コードキャンプでトレーニング中です。ICTスキルだけでなく、ビジネスの考え方や業務の効率化などを含めて学んでもらうことで、どこの企業も欲しがるような人材を育成するのが目標です。『なぜ仙拓は障害者人材をあんなにうまく活用できているのか』と思ってもらえたらいいですね」(佐藤氏)

生活の選択肢を増やし社会の価値観を変革する

「仙拓で実現したいことは?」という問いに、松元氏はこう答えます。「働くことは、生活の中のさまざまな選択肢の中のひとつです。仙拓の事業を通じて、障害者が選ぶことのできる活動の選択肢を増やし、誰もがより充実した生活を送れるような社会にしていきたいです」

佐藤氏は起業当時を振り返り、行政や産業界では障害者が起業することがまったく想定されていないことを実感したと言います。「技術面ではハードルが下がっているのですから、あとは社会の側の意識や制度の問題です。障害の有無にかかわらず、その人その人に合った働き方ができることが大事だと思います。そのために、自分たちの生き方、働き方を、もっと多くの人たちに知ってもらうこと、仙拓の経験やビジョンを“語り部”として発信し続けていくことが僕の使命だと感じています」

聴覚障害者に当たり前の生活ができるインフラを
手話の世界を変革するシュアール

株式会社ShuR(シュアール)

http: //shur.jp/
大木洵人氏が慶應義塾大学環境情報学部在学中に起業。遠隔手話通訳サービスとオンライン手話辞典を提供するほか、同グループのNPO法人シュアールでは聴覚障害者向けの動画コンテンツを配信する手話TV(http://shuwa.tv/)を運営し、バラエティ番組や旅番組を制作している。大木氏はITU-Tのマルチメディアに関するSG(Study Group:研究委員会)で遠隔手話通訳システムの国際標準F.Relayの標準化を進めるエディターも務めている。

タブレットで遠隔手話通訳大手企業にサービスを提供

シュアールは、タブレット端末とビデオ通話を使った遠隔手話通訳サービス『モバイルサイン』を提供しています。同社オフィスに常駐する手話通訳者が、聴覚障害を持つ従業員との社内コミュニケーションや、店舗や駅などの窓口でのお客様とのやりとり、企業のコールセンターへの問い合わせなどを遠隔で通訳するサービスで、JR東日本やアディダス、阪急百貨店、花王といった大手企業を含む顧客により、現在約400か所で利用されています。また、日本財団からの委託により、登録利用者が生活のさまざまな場面でシュアールの遠隔通訳を利用できる業務も請け負っています。

聴覚障害者との実体験から生まれた事業プラン

創業者の大木洵人氏は、健聴者でありながら、言語としての手話に魅せられて独学で手話を学び、学生時代に手話サークルを立ち上げました。ほどなくしてNHKの紅白歌合戦で歌手の一青窈さんの手話バックコーラスを手がける機会を得たことで大きな注目を集めましたが、この経験を通し、「これだけ注目されるのは聴覚障害者が楽しめる娯楽が少ないからだ」と気づいたと言います。

「聴覚障害者による、聴覚障害者のためのエンターテイメントを作りたいと考えました。とはいえ経験も資金もないので、当時、地方で地元住民がローカル番組をインターネットで発信していたのを参考に、動画を制作してウェブで配信することにしたんです」

動画制作をスタートしたのは2008年。まだスマートフォンもYouTubeも登場したばかりで、家庭やモバイルの通信環境も十分でなく、動画のインターネット視聴は一般的ではありませんでした。そのため、番組配信はなかなか軌道に乗りませんでしたが、制作の過程で聴覚障害者の友人たちと多くの時間を過ごす中、彼らが日々直面している課題を実感することになります。 

「電車に乗っていて遅延などのちょっとしたトラブルがあっても、車内アナウンスが聞こえないと状況がまったくわからない。風邪を引いて病院に行こうと思っても、行政を通じて手話通訳を手配するには数日前には連絡が必要で、すぐには行けない。健聴者には気づかない苦労がたくさんあることがわかりました」

米国留学中に家族とビデオ通話で会話していたことをヒントに、これを聴覚障害者のためのサービスに使えないかと思い至り、アイデアを大学の授業の課題として提出したところ高く評価され、推薦を受けて応募した学生向けビジネス・コンテストで大賞を受賞。少しでも早くこのアイデアを実現したいという想いから、在学中に起業しました。


株式会社シュアール 代表取締役、NPO法人シュアール 理事長 大木洵人(じゅんと)氏。手話通訳士の資格を持つ

実用化に向けて検証を重ね技術の進化を待つ

起業当時はスマートフォンの普及前夜で、ネットブックと呼ばれるウェブサイトの閲覧を主用途としたシンプルなノートパソコンが市場に出始めた時期でしたが、大木氏はインターネットがいつでもどこでも使える時代がもうすぐ来るだろうと感じていたと言います。

「そうなれば、端末を持ち運んで遠隔通訳を手軽に利用することが可能になるはずだと思いました。そこで、大学の指導教官と共同研究という形で、動画のフレーム数や解像度、画面サイズがどれだけあれば手話がきちんと見えるかといった技術面での検証を進め、金融機関や役所の窓口などで実証実験も行いました。その結果、パソコンと有線接続による設置型のサービスならできそうだとわかったのですが、より簡便で高品質なサービスを実現するために、通信速度と端末の性能が追いつくのを待っていました。そこにちょうどタブレット端末が登場し、実用化への道が一気に開けたのです」

その後、東日本大震災の被災地で暮らす聴覚障害者向けに無償でサービスを提供したのち、2012年に商用展開を開始しました。

「導入していただいている企業からは、聴覚障害を持つ社員やお客様とのコミュニケーションの幅が広がったと好評をいただいています。これまで筆談やジェスチャーでは必要最低限の情報しかやりとりできないことが多く、店舗などではお客様の要望を汲み取っておすすめの商品を提案するといった本来の接客業務が十分にできていませんでしたが、手話通訳によってコミュニケーションのハードルが下がり、きめ細かいサービスが可能になったとうかがっています」

現在は8名の手話通訳者がシフト制で対応しており、365日、9時から17時までサービスを提供していますが、宿泊施設のように24時間対応が必要とされるケースもあるため、体制の強化が今後の課題となっています。


シュアールの遠隔手話通訳サービス『モバイルサイン』。社内コミュニケーション(①)、対面型(②)、コールセンター型(③)で遠隔通訳を行う

事業化で手話通訳者の雇用安定も実現

遠隔手話サービスは、聴覚障害者に利便性をもたらすだけでなく、手話通訳者の雇用の安定化にもつながっています。

「手話通訳はこれまでほとんどがボランティアの方々に支えられてきました。いつ需要があるかわからない一方、声がかかったときにはいつでも対応できなければならないため、家庭にいて時間の自由がききやすい専業主婦の方でなければ難しいのです。しかし、女性が専業主婦として家庭にいることが当たり前ではなくなってきたことで、ボランティアで手話通訳のできる人が減ってきています」

シュアールでは基本料金と使用量に応じた従量課金を組み合わせ、一定の収入を確保することで、手話通訳者がスキルを生かしたプロとして活躍できる安定した雇用環境を実現しています。


手話通訳士の加藤京子さんは、「以前はいつ来るかわからない派遣の依頼を待つだけでしたが、シュアールで常勤で働けるようになり、生活が一変しました。職場では手話を共通言語にさまざまな業務に携わることができ、日々活気に満ちています」と語る

ウィキペディア方式で編集が進む世界初のオンライン手話辞典

シュアールが手がけるもうひとつのサービスが、オンラインの手話辞典『SLinto(スリント)』です。言語学習には、英和辞典と和英辞典のように、母国語と学習する言語の双方向の辞書が必要になります。しかし手話においては、日本語や英語などから手話を調べる辞書はあっても、手話の手指の形からその意味を調べる辞書は存在していませんでした。

「私自身、手話を学ぶにあたって手話から意味が引けないことにとても不便を感じていたので、なんとか方法はないかと考えました。一番の課題が入力です。すべての手話単語をパターン化しようとすると、莫大な数になってしまいます。そこで、手話単語の構成要素を分解し、2次元で表すことができる形と位置によって分類し、左右の手の形と位置を入力すれば候補が表示される入力システムを開発しました。単純な仕組みのようですが、欧米ではキーボードは直接入力(アルファベットのキーを押すとその文字が入力される)なので、日本語のように表示された候補の中から選ぶという間接入力の発想が出てこないんですね。また、検索して候補を表示するという方法はコンピューターだからできることで、紙の辞書では不可能です」

シュアールではさらにこの辞書をクラウドに開放し、ウィキペディアのように誰でも編集できるようにしています。新たな手話単語がユーザーによって追加されていく上、ユーザーが互いに評価しあうことで辞書の精度も上がっています。この方式によって、2011年の開始から1年弱で国内最大の手話データベースとなり、現在3,000語を超える手話単語が登録されています。


『SLinto』の入力キーボード。中央の手のひらのキーから形を、左側の人の絵のキーから位置を選ぶと候補が表示され、該当する手話単語を選ぶと動画で動きと意味を確認できる

手話通訳の国際ローミングに向けてITUでの標準化を目指す

大木氏はITU-Tで遠隔手話通訳システムの国際標準の策定にも携わっています。

「世界には文法の異なる手話言語が126個あり、各国で通訳システムが作られていますが、それらはいずれも独立しており、連携が取れていません。また、海外でそれぞれの国が使用している端末とサービスをそのまま使うこともできません。そのため、手話通訳システムのプロトコルを標準化し、国際ローミングを可能にすることが求められています」

標準化の需要は10年ほど前からあったものの、ICTの発展により各国で遠隔通訳サービスを手がける企業が急速に増えてきたことで、ここ数年で具体的な動きが加速してきました。 

「2020年の東京オリンピック・パラリンピックが最初のマイルストーンになるでしょう。少なくとも数か国で標準化されたプラットフォームによるサービスを実現し、空港などに端末を設置して、各国から訪れた聴覚障害者が自国の手話通訳サービスを手軽に利用できることを目指したいですね」

健常者にとって当たり前のことを、聴覚障害者も当たり前にできる――そんな社会の実現に向けてICTの力で着実に前進してきた大木氏の挑戦は、国境を越えてさらに続いていきます。