すべてはより快適なユーザー体験のために
1998年、北京。スターバックス・コーヒーは中国本土で最初の店舗をこの街に開きました。当時、数千年にわたりお茶の文化が庶民の生活に定着している中国で大型コーヒーショップチェーンを展開するのは難しいのでは、という声が多く聞かれました。まして、一杯のコーヒー代がラーメン数杯分の値段に相当するという価格設定はハードルをさらに高くした、と現地のマスコミもスターバックスの中国への進出を冷静に受け止めていました。
実際はどうだったでしょうか。スターバックスはいま、中国本土22都市に数百もの店舗を展開するまでに成長しました。顧客の好みによってカスタマイズできる商品、居心地よい空間、フレンドリーな店員。これらの要素が織り成す新しいライフスタイル、つまり「スターバックス・エクスペリエンス」が瞬く間に急成長する中国の中流層以上の会社員や若者たちの心を捉えたのです。お客様にとって、スターバックスから得られる体験価値が商品そのものの価値を上まわっていると言っても過言ではないでしょう。
このICTの世界においても、文化そのものさえも変えてしまう大きな変化が日常的に起きています。おサイフケータイなどで日本ではおなじみのNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)がそのひとつです。
今年2月にスペイン・バルセロナで開催された『Mobile World Congress(MWC)2013』では、主催者側が「NFC Experience」をひとつのテーマとし、初めてNFCバッジによる入場を可能にしました。事前登録をして指定アプリをNFC対応携帯端末にダウンロードすれば、身分証明書を提示をせずに入場できるほか、市内と会場内で合計1,000か所以上あるNFCタグが設置されたレストランやショップでクーポンをダウンロードして利用できます。また、観光スポットなどでは関連する情報をその場で入手することもできたそうです。こうしたユーザー志向の取り組みは、ビジターにとっての利便性への配慮がそのまま街の魅力につながっています。ちなみに、ファーウェイがMWC会期中に発表した、世界初LTE「UE Category4」に対応したハイエンド・スマートフォン『Ascend P2』もNFCモジュールを搭載しています。
今年のMWCではさまざまなトピックがありましたが、体験コーナーで特に人気を集めていたのが、クアルコム・シアターでした。ご存知の通り、クアルコム社はファーウェイの長年のビジネス・パートナーであります。このシアターでは、クアルコム社最新のハイエンドCPUを搭載したタブレットから4K解像度の映像を出力して大画面のモニターで視聴することができたそうです。ヘッドフォンから流れる音声を8方向に識別できるという高性能を誇るチップ。まるで立派なオーディオ・ルームで音声を楽しむような臨場感だと、シアターを訪れた来場者らはそのクオリティに感嘆したと言います。本誌のスペシャル・インタビューにご登場いただいたクアルコムジャパン社長クリフォード・フィッキ氏は、「お客様の快適なユーザー体験に貢献すること、それがクアルコムの果たすべき最大の使命」と語られています。どの業界でも、このような姿勢をもつ企業こそがお客様を喜ばせる製品やサービスを生み出すのではないでしょうか。
ビジネスの機軸となる「顧客志向のイノベーション」を信念に持つファーウェイにとっても、より快適なユーザー体験を提供することは至上命題のひとつです。革新的なデジタル・テクノロジーと進化し続ける通信技術が「つながる可能性」を広げ、人々に「より快適なライフスタイル」をもたらします。新技術の発明、コストの抑制、保守の簡便性、安全・安定性など、さまざまな課題をクリアしつつ、「いつでも、どこでもつながる喜びと安心」をお届けしていくのが、私たちICTソリューション・プロバイダーの責務です。生活、ビジネス・スタイル、そして文化までも変える可能性を持つICTの技術革新によって、ユーザーを新しい境地へいざなうことができるよう、これからも日々研鑽してまいります。