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情報爆発時代のソリューション

世界中の多くの通信事業者がすでに採用しているLTE/EPC(EvolvedPacketCore)は、パケットデータをより効率的に送信できる技術です。この技術の導入により、前述のようなチャレンジをビジネスチャンスに変え、新たなビジネスモデルやサービスを提供できるフレームワークが実現します。今回はLTE/EPCをクローズアップし、特にコア・ネットワークであるEPCの部分について、ファーウェイの取り組みとEPCを監視・制御するソリューションを紹介します。

“危”を“機”に

大量のデータ通信を行うデータ機器の発展により、通信事業者にとって、とりわけモバイル・ネットワークにかかる負荷を軽減していくことは焦眉の急です。それに対応するためにLTEなど次世代ネットワークを各国の通信事業者が積極的に導入し、またモバイル・ネットワークにさまざまなソリューションを適用することにより、データ・トラフィックの負荷を軽減する努力を重ねています。

こうした継続的なイノベーションから生まれたLTE/EPCソリューションの優れた伝送力や高い効率性が、新たな収益の機会を創出します。

LTE/EPCの展開には、以下5つの項目が主要ポイントに挙げられます。

1.GSM、UMTS、LTEネットワーク間の統合

単に同じ筐体にSGSN(ServingGPRSSupportNode)やMME(MobileManagementEquipment)それぞれを別々に実装するだけでは効率的な統合を果たすことができたとは言えません。さらにその先のノード内に実装されるモジュールレベルでの共用が不可欠となります。これにより、3GからLTEへのユーザーの移行に際してボードの再利用とキャパシティの効率的な利用を実現することができます。

ファーウェイはこのような実装をサポートする統合されたGGSN(GatewayGPRSSupportNode)/S-GW(ServiceGateway)/P-GW(PacketDataNetworkGateway)向け、およびSGSN/MME対応のノードにおいて、優れた技術力を持っています。

2.サービスの品質管理

LTE/EPCでは専用ベアラーを割り当て、これに品質をコントロールするQoSで制御を行うことで、より良いサービスを提供します。これを実現するためにはPCRF(PolicyandChargingRulesFunction)と呼ばれる品質ポリシーを定義しているノードによって起動し、EPCのDP(IDeepPacketInspection)機能で実行します。

3.トラフィックの制御

ファーウェイのEPCは、高性能なDPI機能を実装しています。これにより、ユーザーのネットワークの利用動向、つまり、どの時間にどのようなサービスを使用する傾向があるのかを分析することができ、またこの結果に基づいたトラフィックよってサービスの品質を保証しつつ、効率的なネットワーク運用を手助けします。トラフィック制御についても、たとえば、10Mbpsのスループットが使えるユーザーなら、19時から22時までは5Mbpsにスピードを制限したり、Webブラウジングは通常のスピードを保つ一方で、YouTubeは1Mbpsまでしかスピードが出ないようにするといった措置が挙げられます。

4.安定したプラットフォームの提供

UMTSでは信号とデータは共通のノードで処理していますが、EPCではシグナルとデータをそれぞれMMEとS-/P-GWで処理する点が異なります。ファーウェイはMMEやSGSNのようなシグナル処理ノードに対しては、データ処理で要求されるようなスイッチングに特化した機能は不要と考え、シグナル処理に適したATCAプラットフォームを採用しています。

S-GWは多数のシグナルを処理するため、この機能に特化する必要もありますが、一方でデータ転送の処理も重要であり、多数のeNB(evolutionalNodeB)との間のデータ・ストリームを1つまたは複数のAPN(AccessPointName)に対してアグリゲートします。また、それぞれに対して適当な品質に対応したQoSを設定します。

LTE/EPCのネットワークで同じバックプレーンを通るデータでも、音声とWebブラウジングなど異なるユーザー・パケットをサイズにかかわらず効率的にスイッチングすることが必要です。このためIPエッジルーターと同等の性能がS-/P-GWに要求されます。この要求に基づきP-/S-GWおよびGGSN向けのノードはファーウェイのルーター製品で使用しているプラットフォームを採用しています。

5.機械のキャパシティ

機器のキャパシティにはスマートフォンなどの普及が深く関わっています。前述のとおり、マルチデバイスの普及に伴い、ネットワークを流れるシグナルの増加が顕著となってきます。そのため、シグナル処理を行うノードに高い処理能力が要求されます。ファーウェイではSmartLABと呼ばれるリサーチ・センターにて、シグナル増加に対する研究を行っています。着信呼の呼び出しの効率化やスマートフォンで動作するアプリケーションによる不要なサービス要求を効率的に削減するなど、PS(PacketSwitch)側での信号処理効率化のソリューションなどについて研究成果があります。

ファーウェイのO&MシステムM2000でネットワークを一元管理

GSM、UMTS、LTEといった複数の無線アクセス技術に対応すべく監視製品も一元管理される必要があります。これによりそれぞれのアクセス技術のためにいくつもの監視クライアントを立ち上げてGUI(GraphicalUserInterface)を開かずにすみ、データも統合的に管理することが可能です。異なる無線技術間での効率的なデータ分析、管理によってより優れたモバイル・ネットワークを提供することができます。ファーウェイのO&MシステムであるM2000はこれらの要求を満たします。

モバイル・ネットワークの急速な発展に伴い、ネットワークのより効率的な設定、オプティマイゼーション(最適化)などが必要となります。LTE/EPC以降のネットワークでは以前よりもフラットなネットワーク構造となります。そこで監視装置の効果的な改善がOPEX(事業運営費)の削減にもつながります。ファーウェイのモバイル・ネットワーク・ノード向け監視システムは、iManagerという監視運用製品群の中のM2000という製品で統合型のモバイル・ネットワーク監視プラットフォームを提供しています。このM2000はエンド・ツー・エンドでの監視とメンテナンスを提供します。

また、GSM/UMTS/CDMA/WiMAX/LTEなどの無線アクセス・ノードとそれに付随するIMS(IPMultimediaSubsystem)やPCRFを含むコア・ネットワークの統合監視をサポートしています(図2)。

M2000には3つの特長があります。

1つ目は基本的な監視機能である、遠隔でかつ一元管理されたEMS機能です。これにはFault監視、Performance監視、Software管理、Inventory管理、そしてNMS(MultimediaMessagingService)など事業者様の上位統合監視システムとのNorthboundinterfaceなどが含まれます。

2つ目は監視システムの冗長を効率的に減らすための構成です。ファーウェイでは2種類のプラットフォームを提供しています。1つは、サーバー・プラットフォームでサーバーを並列実装し、1つのノードとしてキャパシティの拡張を容易にするソリューションです。もう1つは、ブレード型の標準プラットフォームの場合で、ノード内のボード冗長を効率よく構成し、中央化、冗長、拡張といった要求に柔軟に対応することが可能です。

3つ目はパフォーマンス・レポート機能、ネットワーク・オプティマイゼーションと解析機能、GUIベースのRANの設定ツールなどのユーザー補助機能です。

O&MシステムM2000で ネットワークを一元管理

L T EではS O N( S e l f O r g a n i z i n g Network)と呼ばれる自動でネットワークの 設 定やオプティマイゼーションを行う技 術 が導入されており、ファーウェイのM2000 はSONをサポートしています。主な機能は 以下のとおりです。

ネットワーク設計フェーズ

これまでの無線ネットワークの設計では膨大なパラメーターと作業が必要でした。しかし、SONでは、これまでと比べてはるかに少数のパラメーターで簡単に設計することができます。ファーウェイではM2000に実装されているCMEという機能を使用することにより、少数のパラメーターでの設計を実現します。

ネットワーク展開フェーズ

通常、設計したものを実際の機器に設定するためには多大な労力が必要となりますが、SONの自動設定プロセスにより、これを軽減することができます。たとえばeNBの電源が入り、ネットワークに接続された後、パラメーター設定、必要なソフトウェアのダウンロードをM2000から自動で行います。

オプティマイゼーション・フェーズ

ANRと呼ばれる隣接セル間のパラメーターの自動調整機能はLTEのネットワーク調整を効率化するために重要であり、これもSONにて実現されています。無線ネットワークでは、移動機が基地局間をスムーズに移動するためのハンドオーバーを実現するために、隣接する基地局間の相互の情報を設定する必要がありますが、これもM2000の機能で実現されます。

メンテナンス・フェーズ

インターフェース・トレース、加入者トレース、自動ソフトウェア管理、リアルタイムな機器管理、アラームの収集などの機能があります。

この他に以下のような機能があります。

TA(TrackingArea)と呼ばれるエリアを調整することにより、着信呼の呼び出しエリアを適切な大きさにして呼び出し信号を減らします。

KPIやアラーム情報を収集して、使用不可能なセルを検知し、そのセルにハンドオーバーを制限します。

こういった機能もM2000には実装され、引き続きSmartLABでの研究結果を踏まえながら効率的な機能の実装に取り組んでいます。

ファーウェイは、世界的に展開されていくLTEのコア・ネットワークについて継続的に研究・開発を行い、より良い製品提供に力を注いでいます。また、ネットワーク関連製品ではコア・ネットワーク機器だけでなく、モバイル・アクセス、IMS、伝送装置、電源関連といった通信に関連した広い分野でのソリューションも提供しています。

「爆発的に増加するインターネット上のデータをいかにスムーズにつなげ、ユーザー・エクスペリエンスを向上させることができるのか?」これは、世界中の通信事業者の課題です。ファーウェイは、この課題に積極的に取り組み、これからも「つながることによる可能性」を追求してまいります。