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ファーウェイとボーダフォン・スペイン:イノベーションに満ちたパートナーシップ

WinWin:ボーダフォンとファーウェイは、長年にわたって緊密に協力してきました。これまでの協力関係についてどうお考えですか。またボーダフォン・スペインにとって、どのようなメリットがありますか。

バスティロ氏:ファーウェイとの協力関係の始まりはかなり前に遡ります。ボーダフォン・スペインは、ファーウェイとともに2つのボーダフォン・グループ共同イノベーション・センターを立ち上げました。1つは、2005年に開設したMIC(M o b i l e I n n o v a t i o nCenter)で、ここでは無線技術を中心に研究・開発を行っています。もう1つは、2007年に開設したAIC(Application InnovationCenter)で、こちらはアプリケーションとソフトウェアを中心に研究・開発を行っています。 

この2つのイノベーション・センターで開発され、商用化されたプロジェクトの数は25本以上に上ります。たとえば、現在すべてのネットワークに展開しているR R H(Remote Radio Head:リモート無線ヘッド)とSingleRAN製品の適用開始や、その後のさまざまな無線製品機能の改良も、MICで行われました。 

ファーウェイは、ボーダフォン・スペインにとって申し分のないパートナーです。ファーウェイは、お客様志向と誠実さをコア・バリューとして捉えているため、当社のお客様のためのイノベーション実現に向けて、極めて協力的に働いてくれます。ネットワーク構築分野では、実際にその成果を最善の形でお客様にお届けできています。また、アプリケーション分野における連携も始まっており、今後もあらゆる分野で引き続き連携を図っていく予定です。また、アプリケーションやソフトウェアの分野でも新しいことにチャレンジする必要があります。大きな課題としては「クラウド・コンピューティング」が挙げられます。これは、両社が非常に関心を寄せている分野です。われわれは、双方にとってイノベーションをもたらす新たな分野に集中して取り組んでいく必要があります。

WinWin:SingleRANが、ファーウェイとボーダフォン・スペインのMICで初めて公開されたことは、まさに重要な出来事でした。低コスト、キャパシティ、スペクトル効率、帯域幅の観点から見て、SingleRAN独特の価値はどこにあると思いますか。

バスティロ氏:SingleRANは当社にとって非常に重要なイノベーションの1つです。最大のメリットは、柔軟性に優れていることだと思います。つまり、サイトが存在する場所に1台だけ設置しておけばよいことや、周波数、規格、およびサイトに関するあらゆることを後で変更できる点です。この柔軟性は、OPEX(Operating Expense:運用コスト)の削減にもつながります。 

従来、設置作業の大半は、担当者が基地局に直接出向いて行わなければなりませんでした。また、消費電力の大きさも悩みの種でしたが、SingleRANによって1台の機器で対応できるようになりました。しかも非常に小型です。また、アプリケーションに応じて3台以上の無線ヘッドを装備することも可能です。確かにキャパシティや周波数帯域幅も必要な要素ですが、柔軟性こそがSingleRANの最大の特長だと思います。

WinWin:SingleRANの今後に期待することは何でしょうか。ボーダフォンのSingleRAN展開におけるさらなる価値創出のために、ファーウェイが改善できる点についてお聞かせください。

バスティロ氏:SingleRANは、無線ヘッドやアンテナの統合化をさらに進めることが可能だと思います。実際、アンテナの統合化に取り組んでいるところです。また、サポートする周波数帯域幅の拡大や、ビーム・ステアリング(基地局の電波を特定の方向に集中して送る)も有益でしょう。しかし、全体的に見て、コンセプトはすでにあるわけなので、後は細部の最適化を図ればよいと思います。

インターネットをユビキタスに一歩先を行く通信環境を

WinWin:現在、MBB(モバイル・ブロードバンド)が急速に普及してますが、トラフィックの増加に見合うARPUが得られていない通信事業者もあります。モバイル通信事業者が世界およびスペインのMBB市場において現在直面している課題は何ですか。

バスティロ氏:スペインにおけるブロードバンドの課題は、「モバイル・ブロードバンドの収益化」の一言に尽きると思います。これは、当社に限らず、どの通信事業者にも当てはまることです。収益化を実現するためには、顧客と通信事業者の双方にとって有益なビジネス・モデルを構築する必要があります。今後数年間はその課題に取り組むことになるでしょう。技術に関しては、顧客の要求レベルはすでにクリアしています。ですから、今後はビジネス・モデルのあり方について検討を深めていく必要があります。

WinWin:通信事業者は、市場優位性の獲得に向けて、サービスとネットワークの両面での変革を考えています。これらの分野におけるベテランとして、通信事業者が取り得る選択肢についてお聞かせ願えますか。またボーダフォン・スペインの計画とあわせて教えてください。

バスティロ氏:スペイン市場の状況は、他のヨーロッパ諸国の市場と非常によく似ています。また、テレフォニカ、オレンジ、ボーダフォンといった通信事業者への集中化が進んだいま、市場はますます似通ってきています。ただ、ソーシャル・ネットワーキングやソーシャル・リレーションシップに対するアプローチの仕方には違いがあると思います。 

コンピテンシーの分野では、現在と同様に今後も顧客が求めているものを提供する必要があります。顧客が求めるものは時間とともに変化するため、それに応じてアプローチも変える必要があります。 

重要なことは、お客様がどこからでも、必要に応じてあらゆるコンテンツにアクセスできるようにインターネット接続を提供することだと思います。たとえば、クラウドに保管されたコンテンツにアクセスしたいと思えばアクセスできる。ときには外出先からテレビ映画を観たい、あるいは自国/故郷で開催されるスポーツイベントを旅行先の国から観たいと思えば観ることができる。これが今後数年間の大きな流れになると思います。 

コンテンツ配信の改善のために新しいアップロード用ツールも必要ですが、それらはツールにしかすぎません。それよりも、インターネットを誰もがいつでも、どこにいても楽しめるユビキタスなものにすることこそが大きな課題です。

WinWin:インターネットをユビキタスなものにするために必要なツールに関して伺います。RCS(Rich Communication Service)やCDN(Contents Delivery Network)といった分野に対するボーダフォンの取り組み状況をお聞かせください。

バスティロ氏:当社はお客様に最高のインターネット体験を提供すべく取り組んでおり、CDNなどのテクノロジーも今後の展開に向けて視野に入っていることは確かです。ボーダフォンは、これまで非常に革新的な企業として歩んできましたし、これからもそうあり続けるつもりです。 

RCSに関しては、バルセロナで開催されたMobile World Congress 2011で業界標準が発表されました。この技術開発には、ボーダフォン・グループが牽引する役割に関わっており、特にボーダフォン・スペインの技術者が積極的な役割を担っていることを指摘しておきたいと思います。

WinWin:LTEの商用展開を目指している通信事業者が今後直面する最大の課題は何でしょうか。

バスティロ氏:現在、スペインをはじめ、多くの国で課題となっているのは周波数です。どの国も2.6GHz帯と800MHz帯に周波数を割り当てており、周波数の確保がLTEにおける当面の重要課題です。 

また、周波数を確保する一方で、エコシステムを構築し、LTEの展開に向けたベンダーと通信事業者の双方の態勢を整える必要もあります。LTEの展開において重要なポイントは、端末と周波数の2つです。

WinWin:LTE分野でファーウェイに期待することは何でしょうか。LTEネットワークの展開にふさわしい時期はいつ頃だとお考えですか。

バスティロ氏:期待しているのは柔軟性です。周波数帯域とキャパシティを使用する必要がある時期は、まだ正確には予測できません。だからこそ、柔軟性が必要なのです。ファーウェイのテクノロジーが、現在市場で求めうる最高のものであるのは言うまでもないと思います。 

周波数を確保した後、LTEの展開を開始する予定であり、すでに試験運用は始まっています。こうした進化は、LTEのキャパシティの推進力となるスマートフォン市場にかかっています。