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ファーウェイ輪番会長 徐直軍 「5Gでモバイルブロードバンドを新次元に」

2018.07.04

ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)の輪番会長である徐直軍(エリック・シュー)は、Mobile World Congress上海(6月27日~29日、中国・上海)の初日に、「5Gでモバイルブロードバンドを新次元に」と題した基調講演を行いました。同講演で徐は、第5世代移動体通信システム(5G)によってモバイルインターネットサービス、特にビデオ通話を含む動画サービスが現在の音声通話サービスに匹敵するレベルになり、ユーザーが好きな場所で好きなときにモバイルブロードバンドサービスを楽しめるようになること、また、5Gが新たなサービスを醸成し、モバイル通信分野の継続的な成長を加速することに期待を示しました。

徐は、先ごろ策定が完了した5Gの標準仕様がグローバルな組織間の協業の成果によるものであることを強調したうえで、5G標準仕様策定における主要なコントリビューター兼特許権者として、特許のライセンスにあたってはこれまでと同様にFRAND原則を堅持すると述べました。ファーウェイは引き続き標準化の過程で革新的なテクノロジーを推進していきますが、他社や社会全体から不当な利益を得るようなことは決してありません。

徐の基調講演の抜粋日本語訳は、以下をご覧ください。

 
「5Gでモバイルブロードバンドを新次元に」と題した基調講演を行ったファーウェイ輪番会長 徐直軍

数十年におよぶグローバルでの協業の末、最初の5G標準仕様が発表

3GPP は6月14日11時18分、Plenary会合において、スタンドアローン5G New Radio(NR)の標準仕様の凍結を承認し、正式にRelease 15がリリースされました。ノンスタンドアローン5G NRの標準仕様は昨年12月にリリース済みであり、現時点で主要機能に関する仕様策定作業の第1フェーズが完了したと言えます。

Release 15では高度モバイルブロードバンド通信(eMBB)の商用化に重点が置かれていますが、高信頼低遅延通信(uRLLC)および大規模マシンタイプ通信(mMTC)の基礎的なニーズにも対応します。100MHzの帯域幅で10Gbps、200MHzの帯域幅で20Gbpsの最大通信速度を実現する5Gにより、モバイルブロードバンドサービスは新次元のサービスとなります。この場をお借りして、5Gの標準化と研究に取り組まれたすべての皆様に敬意を表すとともに、素晴らしい成果を出されたことに感謝申し上げます。

モバイルインターネット体験の向上に重点を置いたRelease 15に続き、2019年末までに策定されるRelease 16以降の仕様でmMTCとuRLLCの実現に伴う課題に対処し、5Gは産業のデジタル化のイネーブラーとなると見られています。低密度パリティ検査(LDPC)符号やPolar符号などの5Gで活用される要素技術は、基礎研究に従事する数世代の科学者による長年の努力の賜物です。LDPC符号は、米国のロバート・ギャラガー(Robert Gallager)氏によって、1963年に発表されました。これは45年前のことです。Polar符号は、トルコのビルケント大学のエルダル・アリカン(Erdal Arikan)教授によって2008年に初めて提案されました。これは10年前のことです。5G標準仕様は、何十年にもおよぶグローバル規模のコラボレーションなくしては実現できませんでした。

5G は4Gを基礎に構築され、4Gの可能性を広げる

5Gは、4Gよりも通信を高速化、低遅延化し、大量の接続にも対応します。しかし、アーキテクチャとプロトコルスタックについて考えてみると、5Gは実質的には4Gに基づいて構築され、4Gの可能性を広げるものであることは明らかです。5Gと4Gでは、同じアーキテクチャが使用されることに加え、基地局を構成するベースバンドユニット(BBU)とリモートラジオユニット(RRU)も同じものであり、さらにプロトコルもほぼ同じです。4G、5Gネットワークの双方において、モバイルインターネットサービスが大量のトラフィックを占め続けます。一方、高度な暗号化アルゴリズムと、プライバシーおよび認証メカニズムにより、5Gはより安全になります。すなわち、5Gでは4Gよりも優れたセキュリティが提供されるということです。

ファーウェイは、5G標準必須特許に関してFRAND原則を堅持

ファーウェイは、5G標準仕様策定の主要なコントリビューターであり、特許権者でもあります。5月15日に発表した当社ステートメントにあるように、ファーウェイはこれまでと変わらず、特許のライセンスにおいてはFRAND(Fair, Reasonable, and Non-discriminatory:公平、合理的、かつ非差別的)原則を堅持します。今後の標準仕様策定においても、革新的なテクノロジーを推進していきますが、他社や社会全体から不当な利益を得るようなことは決してありません。公正かつオープンな協業を通じて、堅牢な5Gエコシステムの構築を目指します。

ファーウェイは、他社や社会全体から不当な利益を得るようなことは決してありません。つまり、当社はFRAND原則を堅持し、5G標準必須特許のライセンス料を低減するために手を尽くします。当社は、5Gの特許権者が累積するライセンス料を4Gよりも低く抑え、明瞭化していくべきだと考え、この実現に向けて尽力しています。

5Gでは、2G、3G、4Gよりもはるかに多い、1,000億台のデバイスとの接続をサポートします。知的財産権のライセンス料がこれまでよりも低く抑えられたとしても、市場が拡大することで、5G標準必須特許を保有する企業は各々の研究開発への投資から妥当なリターンを得ることができます。

5Gはモバイルブロードバンドを新次元に

モバイル通信セクターは、過去40年にわたり、音声通話サービスとモバイルインターネット(特に動画)サービスという2つを基本に発展してきました。音声通話サービスで優れたユーザー体験を提供し、ユーザーが好きなときにサービスを利用できるようになるまでに、1Gから2G、そして3Gと30年かかりました。モバイルインターネット(特に動画)サービスは3G時代に登場し、4G時代に急成長しましたが、まだ音声通話サービスと同じ水準には達していません。当社は、5Gによってモバイルインターネットサービス、特にビデオ通話を含む動画サービスが現在の音声通話サービスに匹敵するレベルになり、ユーザーが好きな場所で好きなときにモバイルブロードバンドサービスを楽しめるようになること、また、5Gが新たなサービスを醸成し、モバイル通信分野の継続的な成長を加速することを期待しています。

ユーザーはさらなる高速化を追求

最初の5G標準仕様では高度モバイルブロードバンドに重点を置き、ユーザーの切迫した需要に対応しています。これは、世界市場の最新動向を見るとよくわかります。

チャイナユニコム(中国聯通)では、4G加入者1人あたりの1か月のデータトラフィック量(DOU)が9GBに増加しました。チャイナモバイル(中国移動)ではDOUが約5GBになり、来年には3倍に増加することが予想されています。チャイナテレコム(中国電信)のDOUは約7GBです。一方、クウェートではDOUが70GBに達し、サウジアラビアでは35GBに達しています。また、フィンランドではDOUが1年で43%増加し、20GBになりました。

しかし4Gネットワークでは、現在のユーザーの需要を満たすことは困難です。言い換えれば、ユーザーはより多くのデータ通信の利用を求めていますが、ユーザー体験と速度が期待値に達していないのです。中国のある通信事業者を例に挙げて説明します。同社がサービスを提供する上位30のの都市では、ユーザーが体感する平均通信速度が2017年初頭には51Mbpsでしたが、その後53%低下し、20Mbpsまで下がりました。これは、ネットワークがユーザーのニーズとサービスの成長に追いついていないことを示しています。中国の主要都市のホットスポットでは、通信量の多い時間帯になると、上りの速度はわずか400Kbpsであり、下りの速度は4Mbpsでした。こうした地域では、ユーザー体験はボトルネックに直面しています。中国の発展が進んだ地域ではホットスポットにおけるユーザー体験の悪化は共通の問題となっています。

データトラフィック量の急増、ユーザー体験の悪化、周波数不足によって、こうした地域では5Gの展開が必須となっています。

OPEXの削減は5Gの戦略的優先事項

通信事業者は過去10年間、合計データトラフィック量が2,000倍以上増加したにもかかわらず、基本的にはCAPEXが変化していません。通信事業者の売上に対するCAPEXの比率は17%から12%まで減少しましたが、技術の複雑性が高まるにつれて、CAPEXの削減は難しくなります。

一方で、通信事業者の売上に対するOPEXの比率は同期間に62%から75%に増加しました。また、その比率は増加し続けています。そのため、5G時代には、OPEXの継続的な増加を抑え、さらには減少させることができるかどうかが、通信事業者のビジネスの成功の鍵となります。5Gに向けて、OPEXの削減を戦略的優先事項とする必要があります。

ファーウェイは業界と連携して5Gのミッションを果たす

3GPPは、Release 15でスタンドアローン5G NRの標準仕様策定を完了しました。また、一部の国では5G向け周波数が利用可能になりました。5Gの大規模展開はまもなく開始されるでしょう。ファーウェイは、世界各地の通信事業者による5Gネットワークの展開を支援するため、2018年9月30日にエンドツーエンドでのノンスタンドアローン5G商用システムを、2019年3月30日にエンドツーエンドでのスタンドアローン5G商用システムをリリースします。また、2019年中に5G対応のKirinチップを、2019年6月に5Gスマートフォンを発売する予定です。より高速な通信体験を求める消費者の皆様は、近いうちに素晴らしい5G体験をお楽しみいただけるようになります。ファーウェイは業界のパートナーと協力し、また、投資とイノベーションを進め、5Gのミッションをともに果たしてまいります。

※本参考資料は2018年6月27日(現地時間)に中国・上海で発表されたプレスリリースの翻訳版です。