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応援します! 探究する女性たち

2018.01.10

ファーウェイ・ジャパンは、ファーウェイがグローバルで取り組むICT人材育成の一環として、国内の科学技術の振興を支援する活動を行っています。その主な取り組みが、自然科学分野を学ぶ学生の自主研究の祭典『サイエンス・インカレ』と、科学技術をわかりやすく伝える優れた映像作品を選奨する『科学技術映像祭』への協賛です。ファーウェイ・ジャパンは協賛企業として、両イベントで優れた研究や作品に「ファーウェイ賞」を授与しています。

奇しくも、今年の『サイエンス・インカレ』でファーウェイ賞を受賞した秋元渓(あきもとけい)さん、『科学技術映像祭』でファーウェイ賞を受賞した作品の主人公・藤原結菜(ふじわらゆいな)さんはともに女性。そこで今号のHuaWaveでは、科学技術や自然への好奇心を育み、未来に向けて研究を重ねるお二人に焦点を当て、科学技術分野で探究を続ける女性たちにエールを送ります。

サイエンス・インカレ

自然科学分野を学ぶ大学の学部生などが自主研究の成果を発表する場として、文部科学省の主催により2012年から開催。ファーウェイは2015年から協賛し、新規性・実用性・グローバルに活躍できるコミュニケーション力を備えた研究に「ファーウェイ賞」を授与しています。今年度は、早稲田大学創造理工学部総合機械工学科4年(当時) 秋元渓さんの再生医療分野の研究「マイクロチタン線を用いた細胞シート間における人工細動脈の作製」に同賞を授与しました。

科学技術映像祭

科学技術への関心を高めることを目的に1960年から開催されている映像祭。日本科学技術振興財団・映像文化製作者連盟・つくば科学万博記念財団の主催により第58回を迎えた今年は、43作品の中から優秀作品10作品と特別奨励賞が選定されました。そのうち内閣総理大臣賞受賞作品『日本のチカラ #60 つかまれ!のぼれ!~カエルと少女とシュロの糸~』を製作した山口放送株式会社に「ファーウェイ賞」を授与しました。

バイオエンジニアリングで医療への貢献を目指す

サイエンス・インカレで「ファーウェイ賞」を受賞
秋元 渓さん

再生医療の将来につながるアイデア

今回ファーウェイ賞を受賞した秋元さんの研究は、再生医療において人工の3次元組織を作製する方法の1つである細胞シート法でマイクロチタン線を用いて血管構造の作製を可能にするというものです。細胞シート法は患者の細胞のみを使用してより生体組織に近い人工組織を作製できる一方、きわめて薄い2次元シートで厚みのある複雑な3次元構造を実現することは難易度が高いと言われています。積み重ねたシートには栄養分や酸素を運ぶ血管構造が必要ですが、それを任意の場所に作製する方法はまだ確立されていません。秋元さんはこの研究で細胞シートの間にマイクロチタン線をはさんで抜くことで血管構造を作製できる可能性を実証し、その新規性と再生医療の将来につながる実用性が今回の受賞の決め手になりました。

「サイエンス・インカレで発表した時には、研究を始めてまだ1年弱しか経っていなかったのですが、自分がやってきたことを評価してもらえた、これからも続けていくことに意義があるんだと実感できたのがとてもうれしかったです」と秋元さん。

また、さまざまな分野の学生や研究者と交流できたことも貴重な体験だったと言います。「まったく違う分野の研究をしている人が興味をもって質問をしてくれたり、論文などでお名前を拝見していた研究者の方と意見交換ができたりと、有意義な機会でした」

根気よく細胞と向き合う

幼いころから祖父母の付き添いで病院へ行くことが多く、医療を身近に感じていたという秋元さん。高校1年生の時に体験学習で大学の医学部を訪問し、初めて本物の臓器を目にしました。「病気になった臓器を見て、人はこうして亡くなるのかと悲しい気持ちになったんです。なんとか解決する方法はないだろうかと考えるようになりました」

医療の進歩に貢献したいという想いから、医療機器の開発を志し、早稲田大学創造理工学部機械工学科に入学。4年生で梅津信二郎准教授の研究室に所属することになり、現在の研究テーマと出会いました。

「もともとは手術用ロボットなど医師が治療に使う機器を作りたいと思っていたのですが、縁あって梅津研究室に入り、ちょうど先生が始めようとしていた血管作製のプロジェクトに携わることになりました。バイオエンジニアリングについてはそれから勉強を始めたので、学ばなければいけないことばかりですが、すべてが新鮮で、楽しんで実験をやっています。機械と違って細胞が相手だと計算どおりにいかないことも多く、結果が出るまでじっと待たなければなりません。根気が要りますが、新しい発見ができた時には大きな達成感があります」

梅津研究室はバイオエンジニアリング以外にも、3Dプリンター、太陽電池、バイオミメティクス(生物模倣)や、衛星などの宇宙構造物に使われる材料まで幅広い領域の研究を手がけています。「他分野の学生とのディスカッションから研究のヒントを得ることもあります」と秋元さんは言います。

医療の力でがんをなくしたい

今年4月には修士課程に進学し、現在は東京女子医科大学との共同研究として修士論文に向けた研究を続けています。「再生医療の分野に足を踏み入れてみて、考えていたほど順調に進んでいるわけではなく、未解決の課題がたくさんある領域だということがわかってきました。研究者としてそうした課題に取り組んでいくのも1つの道ですが、人を治すというところにより近づくには、企業に入ってすぐに現場で使えるものを作るのもいいなと思い始め、進路はまだ迷っているところです」

長期的な目標は、とたずねると、「一番の死因であるがんをなくすことです。医療を進歩させていけば、必ず何らかの方法で解決できるようになるはずだと信じています」と力強く答えてくれました。

共同研究先の東京女子医大で実験する秋元さん。細胞の培養開始から結果がわかるまで2週間はかかる

生きものへの想いと地道な研究でカエルを救う

科学技術映像祭「ファーウェイ賞」受賞作品に登場
藤原 結菜さん

写真提供:山口放送

数年越しで開発した「シュロの糸」

豊かな自然に恵まれた山口県美祢市で生まれ育った藤原さん。小学校2年生の時に参加した自然観察会でカエルに魅せられ、自宅でカエルを飼い始めました。その後、田んぼの側溝に落ちたカエルが這い上がれず流されていることを知り、なんとか助けられないかと考えた藤原さんは、11種類115匹にも及ぶカエルのジャンプ力や壁にくっつく力を調べあげます。その結果をもとに、いろいろな素材でカエルを助ける道具を試作し、シュロの繊維をロープ状に編んで側溝につり下げるという方法を開発しました。名づけて「お助け!シュロの糸」。これを周辺の農家にお願いして田んぼの側溝に設置させてもらい、助かったカエルの数を記録してその機能を検証しました。「2年生から6年生まで、自由研究は毎年カエルでした」と藤原さんは言います。

数年越しで開発したシュロの糸は、単なる自由研究のテーマにはとどまりません。カエルを救うことで生物多様性の保護に貢献する取り組みとして、日本自然保護大賞(子ども・学生部門)を受賞。さらにできるだけたくさんのカエルを助けたいと、作り方を解説したパンフレットと動画を作成しました。インターネットでこの情報を知った台湾の環境コンサルタントが作り方を学びに来日したり、地元のコンクリートメーカーから製品化の提案を受けたりと、藤原さんのアイデアはどんどん広がりを見せていきます。

疑問に思ったことはとにかく試す

科学技術映像祭でファーウェイ賞を受賞した『日本のチカラ #60 つかまれ!のぼれ!~カエルと少女とシュロの糸~』は、こうした藤原さんの取り組みを3年間にわたって追い続けたドキュメンタリーです。山口放送の田村康夫ディレクターは、情報番組の取材で藤原さんと出会い、その想いと行動力に感銘を受けてこの番組を企画しました。「カエルを助けたいというまっすぐな気持ちと、地道な観察と実験を重ねて問題を解決するという姿勢を通じて、科学の本質、発見の楽しさを伝えたいと思いました」と田村氏は語ります。

中学3年生になったいまも、藤原さんはカエルの飼育と研究を続けています。長い時間をかけてシュロの糸の開発に至った過程には、疑問やアイデアはとにかく試してみる、という探究心があります。「最初は観察していただけだったのですが、見ているうちに知りたいことが出てきて、1つひとつ探っていきました。シュロの糸の開発を始めてからも次々と新しい課題が見つかり、調べては試すという繰り返しでした」と藤原さん。

企業との協業でも新たな学びがありました。「設置したシュロの糸がなくなったり、ゴミが溜まったりという問題があり、どうにかしたいと考えていたところに、メーカーの方から相談があったんです。コンクリート製品について教わりながらさまざまな方法を提案し、実験を重ねました」

試行錯誤を経て、三つ編みにしたシュロの糸を据え付けた側溝は製品化が完了し、今年4月に発売されました。

多くの人に問題を知ってもらいたい

「これからもシュロの糸がもっと広がって、生きものや生態系を取り巻く課題についてたくさんの人に知ってもらえたらうれしいです」と語る藤原さん。将来は医療関係の職業に就きたいと考えているそうです。その夢に向けて、これからもさらなる発見と探究を続けていくことでしょう。

側溝にシュロの糸を取り付ける藤原さん。カエルは編み込まれた糸の間に隠れて天敵から身を守りながら脱出することができる

To The Explorers あくなき探究者たちへ

ファーウェイは、旺盛な好奇心と地道な努力の積み重ねによってイノベーションの道を切り拓く探究者たちを応援します。ファーウェイの企業キャンペーン「To The Explorers あくなき探究者たちへ」特設ウェブサイトでは、ロン・ギャラン(宇宙飛行士)、ジェイ・ハーマン(起業家・発明家)ほか、さまざまな分野の探究者たちを紹介する動画をご覧いただけます。