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新たなクラウド時代への変革に向けて

2017.12.08

今号の巻頭メッセージは、『HUAWEI CONNECT 2016』での
3名の輪番CEO兼取締役副会長による基調講演の抜粋をお届けします。


胡厚崑 (ケン・フー)

Think Big, Act Small ――――― 大きなビジョンを持ち、小さなアクションを積み重ねる

クラウド化はどんな企業にとっても、徹底した変革を要する大きな一歩です。重要なのは、そこからどんな価値を生みだすかです。クラウド化は単なるテクノロジーの導入プロセスではなく、企業のマインドセットと能力が試される過程なのです。

クラウド変革を進めるには、企業には大きなビジョン、すなわち長期的で体系だった戦略が必要です。そのうえで、小さなアクションを積み重ねていかなければなりません。少しずつ周到に着手し、課題を一つひとつ解決し、価値を生み出していくのです。こうした段階的な取り組みを通じて、新たなテクノロジーやそれがもたらす成功に対し、ゆるぎない自信を構築することができるでしょう。

ファーウェイもこれを実践してきました。当社は世界中に16か所の研究開発拠点と1万5,000以上のラボを持っており、8万人の従業員が研究開発に従事しています。かつては研究開発に必要なコンピューティング・リソースが広く分散し有効に活用できていませんでしたが、2013年に全世界の研究開発リソースを統合し、研究開発とコーディングの機能をクラウドへ移行しました。こうした研究開発プロセスの再構築により、リソースの再利用が2.5倍に、研究開発の全工程で作業量が平均50%削減され、効率が大幅に向上し、製品を市場に投入するまでの期間も著しく短縮することができました。

どんな過程をたどるかはそれぞれ異なりますが、あらゆる企業に言えるのは、変化は希望だ、ということです。クラウド時代においては、行動を起こす者だけが未来を作り出せるのです。


徐直軍 (エリック・シュー)

クラウドを受け入れ、入り込む ――――― 真のデジタル変革に必要なこと

企業のデジタル化を可能にするものは何でしょうか? 私は、クラウドを受け入れ、クラウドに入り込み、クラウドの技術とコンセプトを活用して新たなビジネスモデルや運営モデルを作り出し、体験の質と効率を向上させることだと考えます。

この10年間にクラウドを活用して誕生したインターネット企業は、すばらしい体験を生み出し、多くの産業のビジネスモデルを変革してきました。従来型の企業や産業も、こうしたクラウドの技術と発想を活用して自らのビジネスモデルや運営モデルを刷新できれば、これからの競争や変化を生き抜くことができるでしょう。お客様の層や製品の種類は変わらなくとも、ビジネスモデルや運営モデルはクラウドによってシンプルかつ高効率、低コストなものに変革することができるのです。

真にデジタル化した企業になるためには、CEOと経営陣がその目標に向けて覚悟を決め、ぶれることなく取り組みを推し進めるのはもちろんのこと、CIO(最高情報責任者)が果たす役割も再考する必要があります。CIOの「I」はいまや3つの意味を持ちます。最も重要なのが、Innovation(革新)です。ICTに対する確固たる理解を持ち、クラウドの技術や発想を受け入れているCIOが、その知見をビジネスに融合させれば、ビジネスモデルや運営モデルの変革の強力な推進力となりえます。もともとの意味であるInformation(情報)の面では、ITインフラのクラウド化を進めることになります。さらには、お客様やパートナーと企業とをつなげるInterconnect (相互につなげる)という役目を果たすこともできるでしょう。


郭平( グォ・ピン)

エコシステムへの貢献が、競争優位の源泉に

企業はこれまで、自社の中核となるリソースを管理することで、コア・コンピテンスを築いてきました。しかし、産業の統合と消費者ニーズの進化が進むにつれ、企業にはよりオープンで柔軟な姿勢が求められています。企業の優位性を組織の内側のみならず、その外側からも得る必要があるのです。自社に属していないリソースをも有効活用するには、先進的な技術や潤沢なリソースだけでなく、組織の弾力性を高め、制度を変革してさまざまなものを取り入れていく力が必要とされます。

新たなICTエコシステムは、成功の共有に基づく共生的なものになっていきます。独自の付加価値を持ってこのエコシステムの発展に貢献できれば、規模の大小を問わずあらゆる企業がその一員となることができます。

クラウド・エコシステムから優位性を得る唯一の方法は、シェアの拡大よりもパイの拡大を重視し、市場を成長させていくことです。ファーウェイは業界のリーダーとしてこれを責務とし、他のプレーヤーとつながりあい、互いのリソースを活用することで、誰もが恩恵を得られるエコシステムを醸成していきます。デジタル変革という巨大なパイのうち、当社はわずか1%のシェアしか想定していません。残りはパートナーのものです。これは当社の創業者、任正非(レン・ジェンフェイ)が長年実践してきたことです。彼は創業以来、自社の利益の1%程度しか得ていないのです。

これからのスマートなデジタル社会において、ファーウェイはICTエコシステムの「土と肥料」となることを目指し、市場の成長と社会の前進に貢献していきます。