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テレノール・インド

2017.08.24

ノルウェーの通信事業者テレノールのインド法人であるテレノール・インド(Telenor India)は、現在4,800万人以上のユーザーにモバイル通信サービスを提供している。そのうち22%がデータ通信を利用しており、同社はその割合を2017年までに50%まで引き上げることを目指している。テレノール・グループが掲げる「Internet for All(すべての人にインターネットを)」という長期的な戦略目標は、昨年インド政府が発表した「Digital India」イニシアティブにも通じるものがある。テレノール・インドCEO(取材当時、現在はテレノール エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高マーケティング責任者)のヴィヴェク・スード(Vivek Sood)氏に、消費者のニーズにフォーカスした同社のモバイル・インターネット戦略について聞いた。

『WinWin』(ファーウェイ刊)編集部 リンダ・シュー(Linda Xu)

Telenor India

ノルウェーを本拠地とする通信事業者テレノールのインド法人。2009年にユニノール(Uninor)としてスタートし、2015年にテレノール・インドと改称。インド国内の22の通信サービス・エリアのうち6つの区域で事業を展開し、6区域を合わせた市場シェアは4位となっている。

手の届く料金設定で成長

WinWin:テレノールは2009年にインド市場に参入して以来、どのような戦略で事業を展開してきたのでしょうか。

スード氏:テレノールは、インドではマス・マーケットを対象とした通信事業者というポジションです。インドの通信市場は変革のさなかにあり、ここ数年でインターネットが急速に拡大してきましたが、その大きな要因はスマートフォンが手頃な価格で手に入るようになったことです。より低料金のインターネット接続に対する需要はますます高まっています。そのため、当社は基本的なサービスをベストな品質で提供するとともに、多くのお客様に手の届く料金設定にしていくことを目指しており、コスト意識の高いインドの消費者に向けて「サブス・サスタ(Sabse Sasta:ヒンディー語で最安の意)」というブランド価値をアピールしています。インド市場では、サービスの料金が成長のカギとなるのです。

未来への変革を推進

WinWin:2016年内に4G LTEの商用サービス開始を計画されていますね。

スード氏:テレノールはインドの4Gでは最前線にいると言えます。昨年、当社はファーウェイと協同でネットワークの大規模なアップグレードに着手しました。未来に向けて自らを変革するという決意を込めて、このプロジェクトは「パリヴァータン(Parivartan、ヒンディー語で変革の意)・プロジェクト」と名づけられています。2017年までに2万4,000ある当社の基地局すべてをアップグレードする計画で、昨年末までに5,000か所での作業をわずか90日間で完了しました。このプロジェクトでファーウェイとはマネージド・サービスでもパートナーシップを締結しており、両社の契約はインドの通信業界、またテレノール・グループ全体でも最大のものとなっています。ネットワークに加えてITにおいても変革を進め、BSSを主軸にクラウド技術を活用して、CRMシステムをよりアジャイルでシンプルに使えるものにすることを目指しています。

端末については、4G対応スマートフォンの価格は大幅に下がっていますが、3Gが主流のインドではまだ高価です。当社はファーウェイをはじめさまざまなパートナーと協力し、消費者の真のニーズに合うよう端末をカスタマイズしています。価格面ではバンドリングや販売奨励金なども活用していきます。

WinWin:カスタマー・サービスではどのような新しい取り組みをしていらっしゃいますか。

スード氏:多くのお客様は、問い合わせのためにコールセンターに電話をかけるのは面倒だと感じています。そこで、お客様がウェブ上で必要なサポートを自分で受けられる高度なセルフ・カスタマー・サービスの提供を進めています。同時にコールセンター業務をさらにデジタル化していくほか、現在2,000近くある店舗の展開もさらに強化します。店舗数を拡大するとともに、販売やサポートだけでなく、お客様に新しいテクノロジーやウェブ・アプリケーションの使い方を学んでいただける体験型の店舗づくりをしていきます。

「Digital India」の実現に向けて

WinWin:「Digital India」イニシアティブについて、テレノールとしてはどのようにお考えですか?

スード氏:当社の戦略に合致したものとして非常に好意的にとらえています。このイニシアティブには、「デジタル・インフラの整備」「サービスのデジタル化」「デジタル・リテラシーの向上」という3つの柱がありますが、インドが国全体でこうした目標を達成して成長するためには、地方部にラスト・ワン・マイルの接続を確実に提供することが最も重要だと考えています。今後必要とされるのは、固定回線ではなくモバイル接続です。インドのインターネット・ユーザーは昨年だけで40%増加しましたが、そのうちの50%はモバイル接続だけでインターネットを利用しています。モバイル・インターネット・サービスをマス・マーケットに普及させ、「すべての人にインターネットを」というテレノールの目標を実現できる大きなチャンスがあるのです。サービスのデジタル化についても、当社は金融、医療、教育といった分野のモバイル向けアプリ開発に力を入れています。

WinWin:デジタル・リテラシーの向上に対してはどのような取り組みをしていますか?

スード氏:インドでインターネット普及の最大の障壁となっているのは、消費者がインターネットを自分の生活にさほど関係ないものと思っていること、あるいはその使い方を知らないことです。まずはインターネットがなぜ必要なのか、どうやって使えばいいのかを知ってもらわなければなりません。昨年4月、当社は国内各地にGSK(Grahak Shiksha Kendras:顧客教育ハブ)と呼ばれる情報センターを立ち上げました。GSKではテレノールのサービスについて詳しく知ることができるほか、インターネットの利点や安全な使い方を学べるワークショップも開催しています。2015年前半に200の販売店をGSKに改装し、今後も増やしていく計画です。