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ファーウェイ・ピープル

2017.07.01

世界170か国で事業を展開するファーウェイは、各国で現地の優秀な人材を採用し、専門分野で活躍してもらうことで、ローカル+グローバル=グローカルな経営を目指しています。従業員が事業の基盤であるという理念のもと、着実なキャリアアップを実現する人材開発制度や、充実した研修プログラム、独自の利益分配制度など、人材活用のためのさまざまな取り組みを行っています。

ブラッドリー・ウィリアム・ホール(Bradley William Hall)
ファーウェイ グローバルHRビジネス・パートナー部門 バイス・ディレクター

米テュレーン大学で産業組織心理学を学び、日本企業におけるグローバル人材管理をテーマとした論文でPhDを取得。AT&Tほか複数の米国企業で人事管理の上級職を務めたのち、IBMアジア・パシフィックの執行役員として日本に7年間滞在し、経営リーダーシップと組織効率化を統括。オランダ国有のABNアムロ銀行でのシニア・バイス・プレジデントを経て、2010年にファーウェイに入社。著書に『人的資本新戦略(The New Human Capital Strategy)』があり、デューク・コーポレート・エデュケーション( 米デューク大学系列のビジネス・エグゼクティブ教育機関)で講師も務めている。

ファーウェイでの職責について教えてください。

 ファーウェイの人事管理機能を多角的に強化し、世界中の優秀な人材から選ばれる魅力的な就職先にすることが私の役割です。人事戦略の策定や効率的な組織づくりを推進するほか、評価システムや研修プログラムの質の向上にも取り組んでいます。

ご自身を含め、世界各地からファーウェイに集まる人材はどんなところに魅力を感じているのでしょうか?

 ファーウェイは、ICTという変革しつづける業界で、もっとも成功している企業のひとつです。創業から28年とまだ若く、今後グローバル企業としてもっと成長していこうというパワーと情熱があります。これまでの経験を生かしてこの若い企業の成長に貢献できること、発展途上ならではの新たな挑戦に出会い自分自身もさらに成長できることが、大きな魅力だと思います。 私の場合は、グローバル企業で米国と日本を含むアジア各国との異なる文化どうしの橋渡しをしてきた経験から、中国発の企業であるファーウェイが、世界で真のグローバル化を成し遂げる過程に寄与したいと考え、入社を決めました。

人材を引きつけるための制度や取り組みにはどのようなものがありますか?

 ファーウェイには、透明性の高い人事評価制度に加え、キャリアパスを明確に描くことができる人材開発制度があります。C&Q(Competency and Qualification)と呼ばれるシステムでは、職種と職位ごとに求められる要件と評価基準がはっきりと定義されており、どのようなスキルを身につければ昇格できるのかが明示されています。従業員は自ら希望するタイミングで評価面接を申請でき、各職種のシニア・エキスパートが評価担当者として基準に沿った客観的な評価を行ったうえ、結果は部門内の委員会のレビューと承認を経て公表されます。これは他のグローバル企業でもほとんど見られない洗練された仕組みだと思います。

 従業員向けの研修プログラムも充実しています。深圳本社のトレーニング・センター「ファーウェイ・ユニバーシティ」では技術講習から経営に関するトレーニングまでさまざまなプログラムが提供されているほか、オンラインでいつでもどこでも研修が受けられるiLearningというプラットフォームもあり、継続的なスキルアップが可能です。

 さらに、報酬体系も従業員の長期的なコミットメントと成長を促すものになっています。給与水準は業界内でも高いレベルで、成果の大きい従業員には豊富なインセンティブも用意されています。ファーウェイには従業員持株制度があり、本社の社員は持株数に応じた配当金を受け取っていますが、近年は海外拠点でもTUP(Time-Based Unit Plan)という仕組みを導入し、同様に会社の利益を分配しています。

ファーウェイ・ユニバーシティで行われる上級管理職を対象としたセミナーでは、世界各地から集まったマネージャーたちが企業文化やコア・バリュー、経営理念などについての活発な討論と実践的でユニークなトレーニングに参加する

より効果的なグローバル人材活用に向けて、どのような人事戦略を取っているのですか?

 ファーウェイはこれまで、製品の開発・技術力を強みに世界市場に進出し、成功を収めてきました。こうした技術主導の事業運営では本社の研究開発機能がより重視されており、海外拠点には本社から自社製品の知識豊富な従業員を数年単位で派遣し、本社R&Dとの橋渡しの役割を務めてもらえれば十分でした。しかし現在は、ICTの発展にともなってビジネスの主力が製品や個々の製品から総合的なソリューションへと移り、現地のお客様のニーズや商慣習を深く理解し、お客様とより緊密なコミュニケーションが取れる人材の必要性が高まっています。これは日本のような先進市場では特に顕著です。ビジネスのフロントラインにより多くの権限を委譲するとともに、そうした職責を担うことのできる人材を各国で確保するため、これまで以上に現地採用に力を入れていきます。

 また、ファーウェイは地域ごとの人材の強みを生かし、世界各地にさまざまな領域の専門知識を結集した重要拠点を設置しています。たとえば、世界の金融の中心地であるロンドンには金融リスク管理センターを、ファッションと芸術の街パリにはデザイン研究センターを置いているほか、R&Dにおいてもイタリアではマイクロ波、ロシアではアルゴリズム、インドではソフトウェアと、各国の得意分野に特化した研究開発を行っています。優れた技術を持つ部材メーカーが多い日本にソーシング・センターを置いているのもこうした背景からです。

戦略を実行していく上での課題は?

 2014年、ファーウェイはLinkedInが発表する「世界で最も求められている就職先100社(World’s 100 Most InDemand Employers)」に唯一の中国企業としてランクインしました。しかし、世界中で現地採用をさらに強化し、優秀な人材を引き付けていくには、企業のブランド力をさらに高める必要があります。そのためには、まず現在ファーウェイにいる従業員が、働きがいがあり、自分自身が成長できる企業だと実感できることが第一です。組織や制度を継続的に改善し、従業員の満足度を上げることで、より多くの人たちに「この会社で働きたい」と思ってもらえる企業にしていかなければなりません。また、世界中から集まる優れた人材に十分に能力を発揮してもらえるよう、管理職の能力向上と、多様な文化や商習慣を尊重する企業文化の醸成にも引き続き注力していきたいと考えています。