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現地の強みを生かしたR&Dに注力 ファーウェイ・フランス

2017.07.03

世界170か国以上に事業拠点を持つファーウェイ。このコーナーではその中から毎回ひとつの国を取り上げ、各国の通信事情や市場の動向、ファーウェイの事業展開や社会貢献活動について、現地の広報部員に聞きます。

ファーウェイ・フランス

設立 :2003年
所在地 :ブローニュ=ビヤンクール(本部)、パリ、イシー=レ=ムリノー、ボルドー、リール、ナント、ソフィア・アンティポリス
従業員数 :約700名、うち80%以上が現地採用(2015年6月現在)

フランスの通信事情

固定電話加入者数・普及率 :3,908万人・60.8%
携帯電話加入者数・普及率 :6,332万人・98.5%
インターネット普及率(利用者ベース) :81.9%
固定ブロードバンド加入者数・普及率 :2,494万人・38.8%(ITU調べ、2013年現在)
主要通信事業者 :オランジュ(Orange)、ニュメリケーブル-SFR(Numericable-SFR)、ブイグ・テレコム(Bouygues Telecom)、フリー(Free)

今回登場するのは…

ファーウェイ・フランス広報部ディレクター
イザベル・ルン(Isabelle Leung)

中国人の父とフランス人の母を持ち、西アフリカで18年間を過ごす。政治学院(Institut d'Études Politiques)を卒業し、環境法の修士号を持つ。ブリュッセルの欧州委員会環境総局、スイスのフィリップ モリス インターナショナルを経て、パリのマイクロソフトで政府担当マネージャーを7年間務め、2012年2月にファーウェイに入社。広報部ディレクターとして、メディアや政府などのステークホルダーとのコミュニケーションを通じてファーウェイがフランス国内のエコシステムに貢献できるよう取り組んでいる。プライベートでは乗馬やヨガ、バレエ鑑賞を楽しむ。ファーウェイがスポンサーとなっているサッカー・チーム、パリ・サンジェルマンFCのサポーターでもある。

昨秋、ファーウェイはフランスでのR&D投資とパートナー企業との協業をより強化していくことを発表しました。これはどのような計画なのでしょうか?

昨年9月、ファーウェイの任正非(レン・ジェンフェイ)CEOがフランスのマニュエル・バルス(Manuel Valls)首相と会談し、対仏投資の強化がファーウェイとフランスの双方にとって有益なものであることを強調しました。具体的には、フランスが得意とする領域に特化したR&Dに注力し2018年までに600人の雇用を新たに創出すること、国内のサプライヤーからの調達を拡大して中小企業の発展に貢献すること、高等教育機関との連携を図りICT人材の育成をサポートすることを目指しており、2014~2018年の5年間で6億ユーロ(約810億円※)相当の対仏投資を計画しています。

マニュエル・バルス首相(右)と会談するファーウェイの創業者兼CEO任正非

どのような分野で研究開発を行っているのですか?

現在、ファーウェイはフランス国内にコネクテッド・ホーム、チップセット、デザイン、数学の各分野に特化した4つの研究所を設置しており、全体で100名以上が研究に携わっています。いずれもフランスが強みを持つ分野です。フランスは数学界でもっとも権威のあるフィールズ賞受賞者を含む多くの優れた数学者を生み出している国であり、ファーウェイの数学研究センターではその優秀な人材を生かし、国内有数の大学や研究機関とも連携しながら、ネットワークの大容量化や省電力化といったICTへの応用を念頭に置いた数学研究を進めています。今年3月に設立されたデザイン研究センターは、ファーウェイがデザインにおけるイノベーションを専門とした研究センターとして初めて開設したもので、スマート・ウェアラブル製品『TalkBand B2』(P27参照)をはじめ、さまざまな端末製品のデザインを手がけています。ラグジュアリー・デザイン、ファッション、自動車、3D、デジタル、ブランド戦略などを専門とする10人のデザイナーが所属し、サイエンス、芸術、技術など多彩な分野で活躍するフランスの著名デザイナー、マチュー・ルアヌール(Mathieu Lehanneur)がチーフ・デザイナーを務めています。

パリに設立したデザイン研究センター。オープニング・セレモニーにはファーウェイの輪番CEO胡厚崑(ケン・フー、左から4人目)のほか、国会関係担当大臣ジャン=マリー・ル・グエン(Jean-Marie Le Guen)氏(右から4人目)、パリ副市長ジャン=ルイ・ミシカ(Jean-Louis Missika)氏(右から3人目)などが出席。右から2人目がチーフ・デザイナーのマチュー・ルアヌール

そのほかに、フランスならではの取り組みはありますか?

国内の中小企業やベンチャーの成長促進はフランス政府にとって重要課題のひとつです。そこで昨年ファーウェイは、フランス企業振興機構(UBIFRANCE、現Business France)および国内のイノベーションを促進する各団体の協賛により、「Digital In-Pulse」というスタートアップ企業支援のためのイノベーション・コンテストをスタートしました。このコンテストでは、フランスの起業エコシステムのさらなる発展を支援するとともに、デジタル経済におけるフランスと中国の関係を強化することを目標としています。第1回のコンテストでは200社近いICT分野のスタートアップ企業がビッグデータ、IoT、スマート・シティの3つのテーマでビジネスのアイデアを競いました。審査委員会はフランスのICT業界における著名な専門家、投資家、研究者16名の審査員からなり、2010年にフィールズ賞を受賞したフランス人数学者セドリック・ヴィラニ(Cédric Villani)氏が審査員長を務めています。各テーマの優勝者は5万ユーロ(約675万円※)の賞金を授与されたほか、中国・深圳にあるファーウェイ本社で中仏企業間の交流とイノベーションの推進を目的に開催された「DigitalIn-Pulseフォーラム」にも招待されました。今年はさらに内容を拡大し、中国のスタートアップをフランスへ誘致することで、両国の交流をよりいっそう深めることを目指しています。

2014年の「Digital In-Pulse」コンテスト授賞式。数学者セドリック・ヴィラニ氏(左から9人目)が審査員長を務めた

CSR活動にはどんなものがありますか?

2013年から、フランス最大のNPOとしてホームレス支援を行うエマウス(Emmaüs)とともに、貧困によるデジタル・デバイドの解消を目指し、ホームレス・シェルターで暮らす人々に通信手段を提供するプログラムを実施しています。ファーウェイがスマートフォンを、通信事業者ニュメリケーブル-SFRが通信回線を無償で提供するこのプログラムにより、これまで2,000人以上のホームレスの方たちが就労や家族・友人との連絡に必要な通信手段を得ています。そのほかにも数々のNPOに協力し、障害を持つ子どもたちや高齢者の支援、環境保護活動などさまざまな目的でスマートフォンやタブレットなどの端末を寄贈しています。

また、電子廃棄物を削減し、環境責任意識のある消費者行動を奨励する活動として、使用済みの携帯端末を下取りしてリサイクルや再利用を行う「スマート・エクスチェンジ」プログラムを実施しています。同プログラムのウェブサイトでは使用済み端末の状態などを入力して下取り価格の計算ができるほか、他社製品も含めた各メーカーの新しい端末を下取り分を割り引いた価格で購入でき、使用済み端末は専用パッケージで郵送して回収します。

このほか、ファーウェイがグローバルで実施しているICT人材育成プログラム「Seeds for the Future」の一環として、毎年15名のICT分野を専攻する学生を中国での研修プログラムに招待しています。

フランスの作家、ヴィクトル・ユゴーは「武力による侵略には抵抗できるが、アイデアが広まるのには抵抗できない(On résiste à l'invasion des armées;on ne résiste pas à l'invasion desidées)」と述べています。国境を越えて世界中でイノベーションを推進するファーウェイは、ここフランスでも、革新的な技術とアイデアで社会に価値をもたらしつづけています。

※1ユーロ135円換算