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テレコム・イタリアとファーウェイの挑戦

2013年8月、テレコム・イタリアのネットワーク・トラフィックが、特に南イタリアの観光地で劇的な急増に見舞われた。ファーウェイは支援を依頼され、突然起こったこの混乱の収拾にあたった。対策チームは、テレコム・イタリアと緊密に協力し、最も混雑した地域においても短期間でサービス品質の低下を最小限に抑え、この試練が過ぎ去るまでサービス品質を保証した。

ファーウェイ・イタリア アシュアランス&マネージド・サービス部

ファビオ・ファオロ(Fabio Faoro)

Telecom Italia

固定、モバイル、インターネット・サービスを提供するイタリアの通信事業者。1994年に複数の国営通信事業者が合併して設立された。『TIM』ブランドによりイタリアおよびブラジルでモバイル通信を提供するほか、テレビ局を有するテレコム・イタリア・メディア、プリンターや携帯端末を製造・販売するオリヴィエッティ(Olivietti)などを傘下に持つ。

観光シーズンのトラフィック急増

スマートフォンの普及がトラフィック急増の一因となっていることは周知のとおりである。実際、長期的な増加レベルは、最も大胆な予想さえも上まわっている。季節ごとに変動するトラフィックについては、予測がいっそう難しい。観光客の動きは、天候、世界経済、さまざまな偶発的な出来事の影響を受ける可能性があるからだ。

特に観光名所が集中するイタリア南部の通信事業者にとって、夏は常に過酷な季節である。2013年8月には、前年比で音声が98%、HSDPA+接続が55%、HSUPA接続が81%、HSPA+スループットが17%増加するなど、複数の数値がこれまでにないほど上昇した。より詳しく見ると、8月12日~18日の1週間に、そのわずか5週間前と比べて音声が37%、HSDPA+接続が52%、HSUPA接続が51%、HSPA+スループットが14%増加している。

ただし、ここで注意すべきなのは、厳密にはデータ量やスループットの増加が主要な問題ではないことだ。問題は、データ・サービスにアクセスするユーザー自体が急増したということである。つまり、テレコム・イタリアが経験したのは、1か月に及ぶシグナリングの嵐だったと考えられる(図1)。

8月初め、テレコム・イタリアは、特定の基地局でアクセスに関する深刻な問題が発生していることに気づいた。ピーク時のアクセシビリティが40%まで落ち込むこともあった。そこで、ファーウェイがこの問題の解決に取り組むことになった。

図1 2013年7月~8月の観光地における音声通話とHSPAデータ通信のアクセシビリティ

ファーウェイのアシュアランス・サービス

図1には、8月1日頃にシグナリングの状態がどのように悪化し始めたかが示されている。ファーウェイは8月5日までにアシュアランス・チームを投入した。ワースト・ケース・サイトの一覧が定義され、ファーウェイは、リアルタイムのE2Eモニタリング、状況分析、早急なパラメーターの最適化に着手した。これにより、即時に問題を識別し、機器の故障や異常な指標に対するトラブル・シューティングを確実に行うことができた。 数日で正常な指標値まで復旧し、8月半ばには常に許容レベルに到達するようになり、8月末には非常に良好なレベルを達成することができた。復旧プロセスは、E2Eファーウェイ・ネットワーク性能分析から始まり、これによりネットワーク構成のいくつかの弱点が明らかとなり、機能とパラメーターが微調整された。具体的には、ファーウェイは伝送ネットワークに設定されていた制限を取り払うとともに、無線リソースの可用性を最大限に増加させた。また、シグナルを最も多く使用するHSPAサービスのユーザビリティをピーク時に制限。問題が収束した後は、これらのほとんどは規定値に復旧された。

世界で積み重ねた実績

しかし、2013年8月は、さらに大規模な増加傾向の始まりにすぎなかった。ファーウェイは、ネットワークのキャパシティと計画をより綿密に管理し、このような混乱が二度と起きないようにするために、同社のプロフェッショナル・サービスをテレコム・イタリアに勧めた。2014年には、夏が来る前の早い段階から総合的なアシュアランス・プランを提案している。このプランにより、リスク予測の精度を高めることと、ネットワーク指標を監視し、ピーク時に発生する問題の対策リストを作成するチームを配置することを目指す。

2013年夏のファーウェイの貢献は、テレコム・イタリアのネットワーク・メンテナンス・ワイヤレス・サービス・マネージャーであるG. エンソリ(Ensoli)氏から高く評価された。同氏は、「南イタリア、シチリア、サルディニアなどのリゾート地で起こったトラフィックの急増と大規模なアクセシビリティ上の問題に関して、あらゆる課題の解決に強力な支援をいただいたファーウェイのチーム全員に感謝しています。ファーウェイの先制的で高いプロ意識を持った対応により、テレコム・イタリアはあらゆる問題を迅速に解決し、お客様への悪影響を抑えることができました。今後もこのようにプロフェッショナルな協力関係を続けていきたいと思っています」と述べている。

ファーウェイのKEA(Key Event Assurance:重要イベント時におけるアシュアランス)ソリューションは、世界中の100以上もの大規模なイベントやフェスティバルなどのトラフィック管理で成功を収めてきた。ファーウェイは2005年以来、メッカへの大巡礼期間中の通信を保証している。また、2008年の北京オリンピック、2010年のトロント冬季オリンピック、2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールド・カップ、2012年のロンドン・オリンピックなどの世界的に注目されるイベントで各地の通信事業者から高い評価を受けている。今後、世界中で起こりうるトラフィックの急増に対しても、ファーウェイのKEAソリューションは大きな成果をもたらすだろう。