モバイル・ブロードバンドが実現する新たな産業革命
ファーウェイ・テクノロジーズ輪番CEO兼取締役副会長 胡 厚崑(ケン・フー)
今年2月、スペイン・バルセロナで開催されたMWC (Mobile World Congress)2014に合わせて、ファーウェイは『Broader Way』と題するフォーラムを開催しました。今回のHuaWaveは、同フォーラムでファーウェイの輪番CEO兼取締役副会長、胡厚崑(ケン・フー)が行った基調講演の抄訳をもって巻頭のごあいさつとさせていただきます。
ICTはすべての産業の変革を誘引する触媒
今年のMWCは「Creating what’s next(次なるものを創造する)」をテーマに開催されました。では、「次なる大きな展開」は一体どんなものなのでしょうか。私は、それはICTが牽引する新たな産業革命だと考えています。
この新たな産業革命において、ICTは今後もデジタル世界と現実世界の融合をリードしていくでしょう。ICTはもはや効率を高めるツールであるだけでなく、すべての産業の変革を誘引する触媒です。ICTインフラストラクチャは電気や道路のように私たちの社会に不可欠なものとなり、その整備が国や経済の競争力を決定づけることになります。インターネットとICTの利用がビジネスにおける思考の基盤となり、お客様をあらゆるビジネスの中心に据えること、お客様の体験に注力することがこれまで以上に求められます。こうした新しいマインドセットにより、教育や運輸、金融といった従来からの産業にも新たな風が吹き込まれつつあります。
モバイル・ブロードバンドの発展における課題
この新たな産業革命では、モバイル・ブロードバンドがきわめて重要なインフラストラクチャとなります。しかし、その発展にはいまだいくつかの課題があります。
ひとつめの課題は、モバイル・ブロードバンドへの投資を促進するような規制環境を整えることです。過去20年の間に、世界各地で通信業界の民営化と消費者の利益保護が大きく前進しましたが、今後は投資家の利益と消費者の利益のバランスに配慮した規制が求められます。さらに、デジタル社会におけるバリュー・チェーンの変化に合わせて、ベンダー、コンテンツ・プロバイダー、消費者間のより合理的な価値分配と費用分担を促すことも必要です。
2つめの課題は、モバイル・ブロードバンド・ネットワークの構築と運営にかかるコストをどのように削減するかです。ネットワークの構築にはまず帯域の取得に多額なコストがかかり、これが新規参入のハードルを上げ、市場の競争を妨げています。加えて、地域ごとに帯域の利用方式が異なることも費用増加に拍車をかけています。そのため当社では各国政府に対し、より健全な周波数割り当て方法を策定して周波数の利用効率を高め、帯域取得の費用を削減できるように働きかけています。
また、用地取得と工事の費用も大きな負担です。電波塔や送電線などの工事を分担してコストを削減するため、官民が連携をとってより合理的な規定や標準を定め、業界をまたがる協力体制を築く必要があります。
さらに、ネットワーク機器やソリューションにおけるイノベーションを通じた総コストの削減も求められます。単一のプラットフォームで2G、3G、4G技術に対応するファーウェイのSingleRANソリューションや、帯域リソースの効率的な利用を可能にするキャリア・アグリゲーション、サービス提供とトラフィック負荷の分散を自動化するSDN(Software Defined Networking:ソフトウェア定義ネットワーク)など、新たな技術によるコスト削減が期待されています。
3つめの課題は、業界の枠を超えた協力体制を築き、技術を幅広く応用することです。モバイル・インターネットの可能性を最大限に生かし、すべてが距離を感じさせることなくつながりあうためには、これまでのような業界ごとの縦割りの運営を見直し、他の業界とフラットな関係で協力していかなければなりません。また、デバイス、ネットワーク、クラウド間の連携も必要です。
世界をもっと「つなげる」ために
モバイル・ブロードバンドを原動力とするこの産業革命の立役者たりえることは、ファーウェイにとって、たいへんな名誉です。当社はこれからもイノベーションとオープンな協力を続け、持てる知識とグローバルで得た経験を生かして通信業界全体の発展に貢献していきます。そして、世界を「つなげる」ことで人々の生活を豊かにするという目標に向けて、たゆまぬ努力をしていく所存です。