このサイトはCookieを使用しています。 サイトを閲覧し続けることで、Cookieの使用に同意したものとみなされます。 プライバシーポリシーを読む>

多様化するニーズに応えるファーウェイのTEシリーズ

ファーウェイの法人向けICTソリューション事業は、IP(ネットワーク機器)、IT(クラウド、データセンターなど)、UC(ユニファイド・コミュニケーション)の3つの分野でさまざまな企業のビジネス課題に対応する製品・ソリューションを提供しています。日本でも、2012年4月に法人ビジネス事業本部を設立して以来、各分野の製品を国内企業のお客様にご提供しています。

 今回のHuaWaveでは、この3分野のうちUCに焦点を当て、特にビデオ会議システムの市場動向や製品トレンド、ファーウェイの戦略と製品特長などについて、同事業部ユニファイド・コミュニケーション事業推進部部長の鈴木敦久と、同ソリューション&マーケティング部シニアプロダクトマネージャーの中山和弘がご紹介します。

堅調な普及と価格の下落傾向

 現在の日本のUC市場規模は約2,000億円で、そのうち従来型のビデオ会議システムが150億円、ウェブ会議システムが110億円で、両方を合わせても260億円です。IPテレフォニーが中心のUC市場では相対的に小さい分野ですが、成長率で見れば、ここ数年のIPテレフォニーの成長率が2~3%であるのに対し、会議システムは6~7%の成長を示していることから、今後の拡大に期待が持てる市場と言えます。

 3~4年前には、ウェブ会議の急成長にともなって従来からのルーム型ビデオ会議は衰退するとの見方もありました。しかし、米国の調査会社ウェインハウス・リサーチ(Wainhouse Research)の調査でも、依然として遠隔会議を行う場所は会議室が最も主流という結果が出ています。この調査結果を裏づけるように、従来型のビデオ会議システムは急成長ではないものの台数ベースでは堅調に伸びており、数年前は1万5,000台でしたが、2012年には2万台を突破しました。

 一方、同時にビデオ会議製品の価格下落も起こっており、質を考慮しなければ10万円台で手に入るビデオ会議端末も登場しています。個人的には、720pのHD(ハイビジョン)ビデオ会議システムがエンド・ユーザー価格で40万円台まで下落してきているという現状から、低価格競争もそろそろ底を打ちつつあるのではないかと感じています。価格の下落はウェブ会議でも同様であり、1ユーザーあたり月額1,000円のウェブ会議サービスなど、従来では考えられない価格のサービスも出てきています。

用途の多様化

 私見としては、従来型のビデオ会議サービスかウェブ会議サービスの二者択一ということではなく、お互いが近寄っていくことで両者の線引きがいっそう難しくなると考えています。ただし、それなりの広さの部屋でビデオ会議を行うにはPC+ウェブ・カメラではまだまだ無理があり、ビデオ会議専用端末が必要ですし、会議の参加者が多い場合にもMCU(Multipoint Control Unit:多地点接続装置)というビデオ会議専用装置がなければスムーズな遠隔会議は実現できません。したがって、カジュアルなミーティングにはウェブ会議、ある程度の頻度で役員会議などにも使うのであれば専用の従来型ビデオ会議システムという使い分けが進むものと思われます。

 市場の変化としては、複数拠点を結ぶ多地点会議の需要が伸びています。特に、店舗を多数保有する業態、たとえばチェーン店などの小売業、金融業など、これまであまりビデオ会議を使わなかった業態での導入が進んでいます。それにともない、多拠点の規模も大型化しており、数百拠点の店舗を結ぶ会議なども出てきています。導入例としては、これまで全国から毎月招集していた店長会議をビデオ会議で行うことで、より頻繁な開催が可能になるとともに、店長以外の一般の社員の教育、情報伝達などにも会議システムを利用するといったケースが挙げられます。

 さらに、最近では本来の「会議」という用途にとどまらない利用法も見られるようになりました。中国では2012年2月に火鍋料理の全国チェーン店「海底捞(Hai Di Lao)」の北京と上海の店舗でファーウェイのビデオ会議システムTP3106を導入し、双方の店舗の利用客が大画面で会話をしながら鍋を囲むというサービスが話題を呼んでいます。

製品トレンドと今後の課題

 技術的観点では、映像はH.264符号化技術を使ったHDがスタンダードになってからは、あまり大きな変化は見られません。H.265や4K、8Kといった新たな映像技術も将来的にはビデオ会議、ウェブ会議に取り入れられることが予想されますが、今後3~4年は現状の基礎技術のブラッシュアップが中心になるでしょう。

 一方、ユーザーにとっての使いやすさという点では、改良が進むと見ています。ビデオ会議にしろ、ウェブ会議にしろ、まだまだ一般ユーザーがストレスなく、IT部門のサポートなしに使えるレベルには達しておらず、特にユーザー・インターフェースには改良の余地がおおいにあります。今後は、どのメーカーも使いやすさの技術を磨いてくると思われます。

 もうひとつ向上が期待されるのが、ネットワーク・フレンドリーな製品です。現在のビデオ会議には、高速・大容量の非常にクリーンなネットワークが必要です。しかし、現実には会議室に十分なネットワークが備わっておらず、ビデオ会議やウェブ会議を導入する前にまずネットワークの見直しが求められる場合が多いのが実情です。ネットワークの問題をビデオ会議システム側で解決できれば、導入はいっそう容易になるでしょうし、そのような製品も出はじめています。ファーウェイも、この点については競合他社に先駆けて取り組みを進めています。

 また、上述のように従来型ビデオ会議製品の価格は底値に近づいていますが、日本市場では現状の機能で20万円以下、つまり固定資産の設備にならない価格を望む声も多く聞かれます。一つひとつの部品を見るとなかなか難しいハードルですが、最終的にはこの価格帯に向けてさらなる下落が続く可能性があります。もちろん、それにともない販売台数もさらに伸びると考えられます。

ファーウェイのビデオ会議システム戦略

日本におけるファーウェイのビデオ会議システム事業ははじまったばかりですが、グローバルでは当社のビデオ会議システムは20年の歴史を持っています。2012年末までに全世界60以上の国と地域で14万台の出荷実績があり、世界シェア第3位、そのうち3,500台以上を占めるテレプレゼンス・システムでは第2位となっています。

 先に述べたように、市場ではユーザー・フレンドリー、ネットワーク・フレンドリーな製品が求められています。ビデオ会議システムに加え、端末製品とネットワークの分野でも豊富な実績を持つファーウェイは、その強みを生かし、ユーザー・インターフェースの改善とネットワーク環境を考慮した製品の開発に注力していきます。

 また、販売地域の戦略的な拡大も目標のひとつです。日本をはじめ北米、西欧など世界各地で販売を強化していく予定です。日本ではこの1~2年で販売パートナーを開拓し、ビデオ会議を扱うシステム・インテグレーターを15~20社に増やしていきたいと考えています。

高画質・高音質のビデオ会議を既存のネットワークで可能に

 ファーウェイ製品の最大の特長は、ネットワークへの適用性がきわめて高いことです。従来の技術ではパケットロスが1%でも生じるとビデオ会議の映像と音声に影響が出ていましたが、ファーウェイのTEシリーズでは最大20%のパケットロスがあっても支障なく会議ができます。実際、パケットロス1%未満のネットワークを実現するのは難しい課題ですし、ビデオ会議のために新たに社内のネットワークを整備するというのはなかなかハードルが高いですが、当社の製品は既存のネットワークでも問題なく稼働させることができるので、ビデオ会議システムの導入がより容易になると言えます。

 これを可能にしているのが、SEC(Super Error Concealment)と呼ばれるファーウェイ独自の特許技術です。これは、コーディング段階で生成した冗長パケットによって転送時のパケットロスを補正するもので、最新の映像符号化技術H.264 / SVC(Scalable Video Coding:拡張映像符号化)との組み合わせにより最大20%のパケットロスを補正し、画質と音質を維持することができます。

 また、人物の顔や動きのある箇所など人が注視するエリアを最適化して処理するVME(Video Motion Enhancement)技術も、ファーウェイの独自技術です。VMEとH.264ハイプロファイルにより、使用帯域を50%抑制することに成功しています。デモをご覧いただいたお客様やシステム・インテグレーターの皆様は、フルHD(1080p/30fps)の会議を512kbpsの回線で実施できることに対してたいへん驚かれています。

世界初のWi-Fi対応

 TEシリーズは設定が簡単であることも大きな利点です。設定内容を入力したUSBカードを本体背面のスロットに差し込むか、リモコンやウェブ上のインターフェースを通じた設定により、5分もあれば設置が完了します。また、コーデック、カメラ、マイクが一体となったオールインワン型のTE30は幅16.7cm・奥行23.5cm・高さ15.7cmと非常にコンパクトなサイズで、設置スペースの心配もいりません。

 さらに、TEシリーズはビデオ会議システムとしては世界で初めてWi-Fiに対応しています。最近ではネットワークをワイヤレス化する企業が多くなり、LANケーブルのない会議室も出てきていますが、Wi-Fi接続なら場所を選ばず使用できる上、ケーブル接続による障害も約80%削減できます。

 他社製品との相互運用性も高く、2013年6月にポルトガルで開催されたSuperOp!2013(ICT各社が製品を持ち寄って相互接続試験を行うイベント)でもTE30を含めたファーウェイのビデオ会議システムの相互運用性の高さが証明されました。

 これらさまざまな特長により、ファーウェイのTEシリーズは既存のインフラやプラットフォームなどの資産を無駄にすることなく簡便に導入できるため、わずかなTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)で高性能なビデオ会議を実現することを可能にします。エントリー・モデルとなるTE30は2013年4月末にグローバルで発売を開始し、5か月間で1,500台以上を出荷しています。日本では2013年10月下旬から国内のディストリビューターを通じて販売しており、その後ハイエンド・モデルの3製品やMCUなどのインフラ製品も順次発売していく予定です。