独ベッコフとファーウェイ、ハノーバーメッセ2018で 未来の5G工場に向けたデモを実施
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)と独ベッコフオートメーションは4月23日、「ハノーバーメッセ2018」(4月23日~27日、ドイツ・ハノーバー)で、未来の工場を実現するうえでカギとなる第5世代移動体通信(5G)技術を活用した無線PLC(プログラマブルロジックコントローラー)のデモを実施しました。2社は会場で実施した概念実証(PoC)実験において、従来のケーブルではなく、5G対応無線産業ネットワークのプロトタイプを用い、協調する2つのPLC間で通信が行われる様子を披露しました。今後、移動体通信技術を産業用PLCに直接統合することで、今日の有線よりも経済的で環境面でも持続的な産業向け自動制御が実現される見通しです。
(左から)ベッコフオートメーション オーナー兼マネージングディレクター ハンス・ベッコフ氏、
同EtherCATテクノロジー担当シニアプロダクトマネージャー トーマス・レッティグ氏、
ファーウェイ ワイヤレスXラボ 副ディレクター ロビン・ディン、
ベッコフオートメーション シニアマネジメント 制御システムアーキテクト グイド・ベックマン氏、
ファーウェイ ワイヤレスXラボ シニアエキスパート兼3GPP SA2首席代表 張万強(チャン・ワンチャン)
ABIリサーチ プリンシパルアナリスト ピアス・オーウェン(Pierce Owen)氏は次のように述べています。「現在、無線PLCはZigBeeなどの低電力な近距離無線通信で接続することが多いですが、5Gを使うことによってさまざまな利点が生まれます。例えば、より遠くから遠隔制御ができるようになり、接続性や遅延の面でもより高い性能を得ることができます。遅延が1ミリ秒にまで短縮されれば、事故への対応時間を改善し、より安全な自動化や迅速な故障診断などが行えるようになります」
製造業界は過去数10年間、リーン生産方式、デジタル化、そして現在の産業IoTへと変化してきました。一方でこの間、生産性、効率性を最大化し、お客様の注文と需要に対応し、ダウンタイムを最小化するという課題は変わっていません。安全性に最大の注意を払い、同時にコストも最小化する必要性から、無線技術を使って機械どうしの通信や工場作業者との情報のやりとりをより効率よくできるようにする新たな技術の導入が模索されています。
ファーウェイ 無線ソリューション最高マーケティング責任者 周躍峰(ピーター・ジョウ)は次のように述べています。「ベッコフとファーウェイの共同イノベーションプロジェクトにとって、ハノーバーメッセにおけるPoCの成功はマイルストーンとなりました。これにより、移動体通信ベースのスマートファクトリー向けリアルタイム制御を検証することができました」
また、ベッコフオートメーション シニアマネジメント 制御システムアーキテクト グイド・ベックマン(Guido Beckmann)博士は次のように述べています。「ベッコフは産業オートメーション分野での活用に向けて先進的な通信技術を評価しています。ベッコフのラボで実施した共同試験によると、5Gのライブデモでは5Gが持つ重要な機能が明確になり、500ナノ秒のクロック同期で1ミリ秒という低遅延を実現しました」
デモでは、2つの標準的なPLC間でEtherCATプロトコルを使ってレイヤー2上のEthernet通信を実現し、オートメーション分野の中でも高いパフォーマンスが求められる動的システムの遠隔制御という活用例を実証しました。
ベッコフオートメーションは5Gの専門家が定めるターゲットを活用して無線通信を新たな形で応用することを目指しています。例えば、工場内の機械間の水平連結や機械とグローバルクラウドの垂直接続などです。また、機械にセンサーを追加して無線で監視を行えば、低遅延を活かした状態監視や予防保全を実現できます。ファーウェイ ワイヤレスXラボとの協力の最初の成果として、こうした仮定が正しいことが確認されています。
【ベッコフオートメーションについて】
ベッコフオートメーションはPC ベースのオープンな自動制御システムを提供しています。産業用PC、各種フィールドバス対応I/O、ドライブテクノロジ、自動制御ソフトウェアで豊富な製品ラインナップを誇っています。ベッコフが提案する「New Automation Technology」とは、世界中で使用されるCNC 制御工作機械から高度なビルディングオートメーションまで、幅広い用途に応用できる汎用的でオープンな自動制御ソリューションを意味します。ベッコフオートメーションはハノーバーメッセ2018 ホール9 F06で展示しています。詳細は以下をご覧ください。