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ファーウェイ輪番CEO兼取締役副会長 徐直軍(エリック・シュー)より、2017年に向けてのメッセージ「お客様に価値を創出し、持続的な成長を」

2016.12.31

不畏浮雲遮望眼 吹尽狂沙始到金

浮雲に望眼を遮らるることを畏れず 狂沙を吹き尽くして始めて金に至る

何事にも動じず惑わされず、たゆまぬ努力の先に輝かしい未来がある)

2016年は世界の政治経済情勢に暗雲が立ち込め、混沌とした一年でしたが、当社は一貫して戦略的集中、たゆまぬ努力と一意専心を方針とし、お客様への価値創出に取り組んでまいりました。この結果、同年の売上高は前年同期比32%増となる5,200億元(約8兆7,048億円)を達成する見込みとなりました。また長らく取り組んできた統合サービス・デリバリー・プラットフォームの運用開始を機に、製品・サービスのデリバリーにおける効率および品質の大幅な向上を実現しました。さらに2016年は在庫管理の徹底という面でも成果を上げることができました。これらの実績は一朝一夕に実現できるものではありません。経営陣を代表して当社に信頼と支持を寄せてくださったお客様や協力パートナー各社、会社のために尽力してくれた世界各地の従業員の皆さん、そしてご家族の皆さまに心より感謝いたします。

2016年を振り返ると、当社は通信事業者向けネットワーク事業においては通信ネットワーク機器・サービス分野における市場ポジションを強化しつつ、クラウド、動画サービス、事業変革を戦略の柱に据えて、産業の一層の拡大や進化をサポートしてまいりました。こうした取り組みの結果、高い成長を継続しつつ、当事業グループにおける資本効率を大幅に改善することができました。

法人向けICTソリューション事業においては、パートナー各社との緊密な連携によりお客様のデジタル変革における課題解決を支援する革新的なICT製品・ソリューションを提供するとともに、成功の共有を促進する協創的なエコシステム構築を進めています。これら一連の取り組みにより、スマートシティやエネルギー、金融、交通・運輸、製造などの重点産業において利益を伴う持続的な成長を実現しました。

コンシューマー向け端末事業においても、世界のハイエンド・スマートフォン市場で数々のブレークスルーを成し遂げ、ファーウェイのブランド力を次の段階へと引き上げることができました。

クラウド・コンピューティングやIoT、動画サービス、ビッグデータ、人工知能(AI)などの急速な進展とともに、スマート社会の到来が現実のものとなりつつあります。世界各地の通信事業者による通信ネットワーク構築も「投資」から「価値創造」へとその原動力がシフトしつつあります。これを踏まえ、ファーウェイはより多くの接続に対応可能な通信ネットワークを実現し、動画を基盤サービスに据えた通信事業者のビジネスの成功をサポートしていきます。また従来型ITシステム基盤のクラウド化を図り、事業運営のデジタル変革と、リアルタイム(Real-time)、オンデマンド(On-demand)、すべてがオンライン(All-online)、DIY(Do it Yourself)、ソーシャル(Social)という完全に“つながった”世界における究極のユーザー・エクスペリエンスの実現を支援していきます。今日のファーウェイはグローバルな視野に立ってより高い次元で通信事業者の変革、収益改善を支援しなければなりません。これは新しい時代におけいて当然下すべき戦略的決定です。

法人向け事業の分野では、企業のデジタル変革が加速するにつれ、各社のITシステムは企業のサポート役から生産システムにおける主役へと進化しています。当社はそうしたなかでも、垂直産業におけるデジタル変革がもたらすエコシステム再構築という商機を確実に捉え、パートナー各社と成功を共有し、弾力性・柔軟性に優れた、セキュアなオープン・プラットフォームを構築していきます。また、デジタル変革を通じてお客様、パートナー、ファーウェイがともに成長していける成長モデルを築き、デジタル変革の牽引役となると同時に、お客様に選ばれるパートナーとなることを目指していきます。

スマート社会では、デバイスは多種多様な形をとり得るでしょう。そのため、コンシューマー向け端末事業においては人工知能(AI)やヒューマン・マシン・インターフェース、ビッグデータなどの先端技術に投資を続け、スマート・デバイスに対する消費者ニーズの目まぐるしい変化に応えていかなければなりません。

2017年、世界の政治経済はさらに不透明感が深まる一方、ICT産業における変革が止まることはないでしょう。当社は課題を把握し、事業、運営、組織、人材の各分野において将来を見据えた次の取り組みを実施していきます。

利益ある成長と健全なキャッシュフローの確保には、契約や事業運営などの品質向上がカギに

ファーウェイは過去数年にわたって売上高の2桁成長を継続してきましたが、事業運営の効率とキャッシュフローにはまだ課題が残っています。販売管理費の増加スピードは売上高と売上総利益のそれを上回り、売上高に対する現金比率は低下傾向にあります。一方、今後のマクロ環境を見ると、当社はビジネス・チャンスを掴むことに注力しつつ、ICT産業で進む変革、お客様が直面する経営課題の増大、世界経済の先行き不安などのリスクへの対応を強化することも重要になってきます。

そのため、各事業グループは利益ある成長と健全なキャッシュフローの確保を追求し、事業運営における効率向上、販売管理費の削減、超長期在庫と長期売掛金のより適切な管理、キャッシュフローの改善に取り組まなければなりません。

また、各国拠点は権限とそれに伴う責任を踏まえた上で、真のプロフィット・センターとならなければなりません。経営計画や予算、管理会計システムの最適化を図り、経営資源の適切な配置により、各拠点が自立的に管理・統制し、事業運営を発展させられるよう促していきます。

コンシューマー向け事業は引き続き利益を重視し、ハイエンド・ブランドの確立、機能的なリテール体制の構築に引き続き取り組むと同時に、事業運営を支援する堅牢なITシステムを整備する必要があります。また、業務全般に対する監督体制も確立しなければなりません。

木々は深く地中に根を張らなければ葉が茂らないのと同様に、プロジェクト運用と契約における品質管理は会社運営の重要な基盤です。これらを強化することでリスクを管理し、品質、効率、コスト効率を高めた上で経営目標を達成していきます。

形式主義を排除し、お客様への価値創出、お客様の課題解決に注力

当社は2017年、以下に重点的に取り組みます。

●  形式や規模、派手な演出ばかりを追求する販促イベントや展示会よりも、お客様としっかり対話しながらともに課題解決を探求することに注力する

●  トレンドやビジョン、新しいコンセプトなどを語るのは控え、実践、経験から得られたシナリオ・ベースの報告書やケース・スタディを作成する

●  オフィスで机上の空論に興じるのではなく、マシンルームや基地局設備、販売拠点などの「現場」に足を運ぶ

●  自社について根拠のない自信を持つのではなく、従業員一人ひとりが自ら思索し、危機感を持って将来に備える

● 「社内での価値を示す」のではなく、お客様への価値創出にすべてのエネルギーを注ぐ

また、こうした現状を根本的に変えていくために、当社は人事評価システムを見直し、仕事に向かう姿勢を正していく必要があります。

戦略と事業の変化に基づいて能力を構築し、お客様の課題解決を支援

産業変革が進むにつれ、技術ベンダーはお客様のニーズに対応してさえいればよいという時代は終わりました。お客様はファーウェイに対し、単なるベンダーではなく、ビジネス・ソリューション・プロバイダー、ビジネス・パートナーとしてともに未来を拓き、課題やリスクに立ち向かうことを期待しています。これらのお客様の期待や要望に応えるには、お客様の事業変革における自らの立ち位置や創出価値を再考しなければなりません。これはまた、これまでの姿勢やマインドセット、アプローチを変え、経営戦略やビジネス・モデル、経営管理ならびに人事評価システムを全般的に見直すと同時に、それにふさわしい組織とスキルセットを確立するよう求められていることを意味します。当社は今後、事業と組織の変革を推し進めるとともに、通信事業者へのビジネス・コンサルティングやインテグレーション・サービスの強化に注力し、複雑化が進む将来の通信ネットワークの保全と運用のための能力を構築していきます。さらにIT変革に向けた人員構成の最適化に取り組むほか、戦略的リソースに富んだ地域で研究開発、イノベーション、精密機器製造、リスク管理の拠点構築を進めるなど、グローバル競争力を高めていきます。

管理職全員がお客様への価値創出に注力し、「種まき、収穫、土壌作り」を

管理職の人事評価は枝葉末節ではなく、責任に応じた貢献、個々の強み、価値創出といった本質に目を向けるべきです。管理職として求められている役割や職責とのギャップを反省し、改善の道筋を考えなければなりません。管理職向けに定められた行動指針「管理職8か条」を満たしているかどうか、評価や職位が実状に見合っているかどうかを把握し、自分と向き合うことによる自己批判が必要でです。また管理職のジョブ・ローテーションは全社に適用します。これまで繰り返し強調してきたように、本社における管理職ポジションと各国拠点をサポートする管理職ポジションは現場経験のある者が担当すべきです。2017年はこの点において一歩大きく前進しなければなりません。また、各レベルの管理職は引き続き管理業務を簡素化し、業務プロセスにおけるチェック項目数を減らすとともに、報告用資料に過度に重きを置くことを慎んでほしいと思います。

人事ポリシーにより組織のエントロピーを抑制し、活性化を図る

従業員は常にスキルを磨くとともに、チームのエンゲージメントを向上しなければなりません。そのためにはあえて組織の安定を崩し、高度なスキルを有する人材を集めた戦略的人材プールを活用し、より多くの専門家と管理責任者を現場に送る必要があります。全レベルの管理職の流動化を図り、それを制度化していきます。現場とバックオフィスの管理職をローテーションさせ、実績やマネジメント経験を持つ人材が能力を発揮できる機会を作ります。さらに人員構成の最適化を図り、外部の優秀な人材を積極的に招き入れ、適性のない従業員の配置転換を実施することで社内の新陳代謝を促します。また引き続き職責に応じた貢献を基本とした利益分配方針を徹底し、浸透を促していきます。成果を上げた従業員には適切な時期にインセンティブを与えることなどにより報酬に差をつけ、実績ある者を抜擢します。優秀な人材がベストなタイミングで最適なポジションにつき、最高の成果を出せるように導き、然るべき報酬を与えることで能力の最大化を図ります。

法令を遵守し、良好なビジネス環境を構築

ビジネス環境が複雑化していくなか、当社は国際政治の不確実性に対応するための確実な拠りどころとして法令順守を徹底し、マクロ環境における予期せぬリスクを乗り越えていかなければなりません。金融危機発生に備えた計画を策定し、組織作りや管理人材の配置を通じてリスク管理とコンプライアンス・チェック機能のいっそうの充実を図っていきます。さらに産業界のパートナーや研究機関との協業を強化し、現地社会に着実に貢献していかなければなりません。社外コミュニケーションにおいては、常に事実に基づいた客観的なコミュニケーションを心がけ、当社のコア・バリューをわかりやすく発信し、ステークホルダーの信頼を獲得していくべきです。

目まぐるしく変化する時代には、その変化から商機が生まれます。自信を持って時代の変化への適応力を高めていきましょう。過去の成功体験や先人の業績に安住してはなりません。成功体験は必ずしも未来の成功につながるものではなく、功績に胡坐をかいた先には企業の終焉が待ち受けているかもしれないのです。これをしっかり認識した上で、揺るがぬ向上心で目標に向かってまい進しましょう。社員全員がしっかりと地に足をつけて力を合わせれば、必ず商機を掴みスマート社会の発展を牽引する企業になれると信じています。

最後に、新年における皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。

※1人民元=16.74円で換算(2016年12月31日現在)

※売上高の対前年比成長率は人民元をベースに計算しています。

※本参考資料は2016年12月30日(現地時間)に中国・深圳で発表されたプレスリリースの翻訳版です。